2014年6月28日土曜日

GL敗退を受けまずはしっかり総括を!

まさにデジャヴ。絶対に勝たなければならないという状況でコロンビア相手に撃ち合いを挑んだ結果は1対4と惨敗。グループリーグ3戦目にしてこの大会で一番良い試合をしたが、世界トップクラスのチームには、たとえ相手が一軍半であっても、大舞台で勝つことはできなかった。岡崎のゴールで前半終了間際に追いついたが、後半ハメス・ロドリゲスの登場で一気に差が出てしまった。残念ながらここが日本の現在地なのだろう。ザッケローニの4年間はアジアカップの優勝や、(親善試合とはいえ)アルゼンチン、フランス、ベルギーといった強豪相手に勝利するなどポジティブな面もあったが、本番では最後まで調子の出なかった本田に依存して敗れた。選手を固定して戦うことのリスクという意味で、今大会はドイツ大会の轍を踏んでしまった。

ザッケローニの後任が誰になるか、マスコミは早くもそんなことばかり取り上げているが、ロシア大会は勿論、その先を見据えて日本サッカーの将来を考えるためにも、まずはしっかりと総括をしてもらいたい。この4年間における問題点の一つは本当の意味で「若手」が台頭しなかったことだ。確かに「ロンドン世代」はW杯メンバーに入っていたが、主力は香川を含む「北京世代」で、南アフリカの時ほどの融合はできていなかったのではないか?柿谷・大迫・青山・山口をもう少し前に使っていたら結果は多少異なっていたのではないか?この辺については特に総括して欲しい。

新監督の下、まずは来年1月のアジアカップ連覇が目標になる。何人か「代表引退」が予想される中、9月の親善試合では国内の若手を招集し、経験させることが必要ではないだろうか?4年後はアジアの出場枠が削減される可能性があるので、これまで以上に厳しい予選を覚悟する必要がある。今大会の教訓を生かし、海外組・国内組、ベテラン・中堅・若手、様々な組み合わせができ、かつここ一番で結果を残せる。そんな代表を作り上げて欲しい。

読了:
「歴史家が見る現代世界」(入江昭)

  • ハーバードの名誉教授である著者には今の世界・日本がどのように映るのか。グローバル化が進む世界では、従来のパワーゲームが成り立たなくなると国家の役割が変わることや、国家主義・地域主義を超えたトランスナショナリズムが説かれるなどリベラルな観点からの一冊。保守化する日本への批判となっている。(評価A)

「非線形科学 同期する世界」(蔵本由紀)

  • 17世紀にホイヘンスが発見した振り子の同期化エピソードに始まり、ホタルの明滅など自然界に存在する同期化、体内時計や心臓のメカニズムなど生理的な現象、更には同期化メカニズムが街の交通管制システムにつながっている話など、様々な事例を基に同期(シンクロ)の研究の最前線が描かれている。(評価A)

「数学は世界をこう見る」(小島寛之)

  • 素数の見方から始まり、方程式の解の公式、整数と多項式の考え方、更には写像の考え方まで、数学の考え方とはどのようなものかが解説されている。ただ、中学数学がベースになっているとはいえ、残念ながら全てを一度で肚に落ちるというところまで理解はできなかった。(評価B)

「『本質直観』のすすめ」(水越康介)

  • なぜスティーブ・ジョブズはマーケットリサーチをしなかったのか?ビッグデータがあったら全てが解決するのか?自らの直観を疑い、問い直す作業が重要である。著者はキットカットやレッツノートなどの成功(&失敗)例も交えながら、マーケティング・経営における「本質直観」の重要性を説いている。参考にすべき一冊。(評価A)

「社会保障亡国論」(鈴木亘)

  • 厚労省は本書を「発禁」にしたいのではないだろうか?それとも「この先ホントのことが言えるようになる」と案外歓迎するのだろうか?社会保障財政が如何に危機的なものか、「100年安心」とされる年金の危うさ、待機児童対策や失業保険など現在の制度の問題点と経済学的にマトモな対策が説かれている。(評価A+)


購入:
「なぜローカル経済から日本は甦るのか」(冨山和彦)、「法務の技法」(芦原一郎)、「サイエンスの発想法」(上杉志成)、「職場の人間科学」(ベン・ウェイバー)、「ビジネスゲームセオリー」(御立尚資、柳川範之)、「経営参謀」(稲田将人)

2014年6月21日土曜日

進歩なく8年前を再現することになるのか???

日本代表はギリシャとスコアレスドローで2戦終了も勝ち点1のみ。初戦逆転負けから第二戦スコアレスドローというここまでの流れは8年前のドイツ大会とオーバーラップする。開幕前のテストマッチに勝利したときに遠藤が危惧していた通りになってしまった。

試合後にマスコミが一斉に書いているが、昨日のギリシャ戦は消化不良の度合いが酷い。F.マリノス推しからすれば「切り札」、「ジョーカー」であったはずの齋藤はなぜ使われなかったのか?一人少ない状態が続き終盤疲労の溜まった相手が嫌がるのは齋藤のようなすばしっこい選手のはず。それがザッケローニは青山を考えていたという。ザンビア戦の夢の再来を期待したのか??新聞報道によれば入れてもドリブルするスペースがなかったということらしいし、攻撃陣の人数を増やす考えはなかったとも報じられている。ではいつ使うのか???

ここまでの2試合に関してはこのほかにも、遠藤を途中投入する意味はあったのか?柿谷はファーストチョイスではなかったのか??パワープレー???などザッケローニの采配について「?」だらけだ。中田英寿氏がNumber誌で、藤田俊哉氏がTVで語っていた通り「違和感」という表現が相応しい。このままでは、コロンビア戦に勝つのはほぼ不可能だ。TVでラモスが「日本代表の誇りを見せろ!」と言っていたが、自分たちの闘いは今後の日本サッカー盛衰のカギを握るのだ、という気概を持って戦ってほしい。

他の組では番狂わせが続き、スペイン・イングランドの敗退が決まった。本番前日本に敗れたコスタリカがウルグアイに続きイタリアも撃破している。この先もヨーロッパ勢は苦戦しそうだ。

読了:
「失敗しないとわかっていたら、どんなことをしてみたい?」(ジョン・C・マクスウェル)

  • 世界No.1メンターの最新作。英語のタイトルにある通り、「人生における最大の学びは我々の失敗から得る」のだということが多くの事例から説かれている。最後に成功する人になるためには、謙虚であること、現実をみること、逆境を恐れないことなどなどが必要という。学ぶ姿勢がなければ失敗を繰り返すだけ、意識して一歩ずつ理想の自分に近づきたい。(評価A)

「史上最大の決断」(野中郁次郎、荻野進介)

  • Dデイからちょうど70年。史上最大の作戦と言われたノルマンディー上陸作戦はどう計画され、どのように実行されたのか。アイゼンハワーが最高司令官に選ばれたのはなぜか、連合軍とドイツ軍の組織・意思決定の相違、チャーチル・レーニンなど政治家の関わり方、現場リーダーの実践知など様々な観点から説かれている。「失敗の本質」などと同様に企業経営においても参考となる点が多い。(評価A+)

「図解でわかる!『戦略実行』読本」(クリス・マチェズニ―、ショーン・コヴィー、ジム・ヒューリング)

  • 「戦略を、実行できる組織、実行できない組織。」の内容に関する実戦のための手引書。前著の要点が数ページ単位でまとめられ、実行のためのテンプレートが示されている。戦略実行PDCAサイクルにおける目の付け所が分かるが、結局一番重要なのは、第4の規律で示される「アカウンタビリティのリズムを生み出す」ことではないか。(評価A)

「チームが機能するとはどういうことか」(エイミー・C・エドモンソン)

  • 「知識経済において組織はいかに学習し、改革し、競争するか」(英語の副題)を考える時、学習と実行を同時にできるようなチームを如何に構築していくかが重要。このプロセスは”チーミング”という「進行形」が相応しい。本書の説く率直に意見を言う、協働する、試みる、省察するという4つを意識してチーム運営に取り組むことを意識したい。(評価A)


購入:
「天体衝突」(松井孝典)、「生命誕生」(中沢弘基)、「社会保障亡国論」(鈴木亘)

2014年6月15日日曜日

ワールドカップ開幕!日本の初戦は逆転負け

W杯ブラジル大会が開幕した。2日目にして早くも優勝候補2チームの明暗が分かれた。地元ブラジルはクロアチアに勝利。(西村主審の判定が一部物議を醸している。しかし、今朝ジムのトレッドミルに乗りながら改めてスロー再生を見たが、ロブレンがフレッジを掴んでいたのは見るとはっきり分かった。)一方で前回優勝のスペインはオランダに大敗。暫定ではあるがグループ最下位でのスタートになった。この結果、ブラジルとスペインがベスト16で当たる可能性が高まった。

日本はコートジボワールに逆転負け。前半本田のゴールで先制するも、後半同じような形から立て続けに左サイドを突破され2失点。全体につまらないミスが多く、中盤でボールを奪われてゴール前に攻め込まれる場面が多く、ザッケローニの狙った主導権を握る戦いには程遠い状況だった。次はコロンビアに0対3で敗れたギリシャとの「最下位決定戦」。正に「絶対に負けられない戦い」に追い込まれた。更に吉田と森重がカードをもらったことで、次戦のFBをどう組むかという新たな課題が生まれた。今日機能しなかった攻撃陣、特に香川には「喝!」だ。奮起して欲しい。

(読了)
「変わった世界 変わらない日本」(野口悠紀雄)

  • レーガン・サッチャー登場以後世界、特にアメリカとイギリスがどのようにして経済を立て直したか、それに対比して日本がその期間本質的な改革ができていないことを説いた一冊。アベノミクスの評価など著者の意見に賛成できない部分はあるが、日本経済が変わるべき方向については、その通りと同意する。抜本的な改革なしでは中長期的な沈没が避けられない。(評価A)
「インサイドボックス 究極の創造的思考法」(ジェイコブ・ゴールデンバーグ、ドリュー・ボイド)
  • イノベーションを起こすには”Out-of-box Thinking"ではなく、制約の中で著者たちの説く5つのテクニック(引き算、分割、掛け算、一石二鳥、関数)を活用することが有効だということが、自分自身の経験からも納得できた。"Out-of-box"と思っていたのは、実は引き算や一石二鳥などのテクニックだった!より重要なのは、固定観念を排除することなのだろう。「目から鱗」の一冊だった。(評価A+)
「『戦略』大全」(マックス・マキューン)
  • 戦略を立案し実行す各プロセスにおいてどのような問いかけを行い、どのように進めていくか、戦略論のGuruたちの理論・フレームワークはどのように役立つのかが戦略ツールキットと共に纏められている。経営戦略策定に携わるにあたりかなり有効なハンドブックになっている。イギリスの本(ファイナンシャルタイムズ社ビジネスシリーズ)なので、日本ではあまり知られていない学者も紹介されている。(評価A)
「戦国時代の組織戦略」(堺屋太一)
  • 信長、秀吉が戦国時代を勝ち抜くために、拡大する組織をいかに取りまとめようとしたか、そのポイントおよび限界についてコンパクトに纏められている。信長の兵農分離や秀吉にとっての補佐役(秀長)が果たした役割はいままでの歴史書と異なる著者一流の視点であり、面白く読んだ。黒田官兵衛のような参謀はいかに使うべきかといった観点は企業経営でも大いに参考になるだろう。(評価A)
「信じよ!」(イビチャ・オシム)
  • ブラジルW杯に臨む日本代表の強み弱みを中心に、日本サッカーがこの先どう進むべきかなどオシム氏独自の説が展開されている。現代表メンバーに対する辛口の評価が興味深かった。今更ながらオシム氏率いる代表がW杯に出場していたらどのようなメンバーを選び、どのようなサッカーが見られただろうかと思わざるを得なかった。ギリギリでコートジボアール戦前に読み終わることができた。(評価A)
(購入)
「『本質直観』のすすめ」(水越康介)、「非線形科学 同期する世界」(蔵本由紀)、「数学は世界をこう見る」(小島寛之)、「歴史家が見る現代世界」(入江昭)

2014年6月6日金曜日

ハワイ旅行。W杯開幕直前

早すぎる夏休みを取って久々ハワイに行ってきた。妻にとっては新婚旅行以来のハワイ。到着翌日にはツアーに参加、チョコレート工場の見学、「この木何の木」で有名な木を前に写真を撮り、ジュラシック・パークなどの映画が撮影されたKualoa、North Shore(Haleiwa)とめぐりPearl Harborにも立ち寄った。また、Kailuaにも足を伸ばしたり、Cafe KailaやEggs'n Thingsといった今話題の店でPancakeを食べたりと充実した4泊6日だった。


6月初めというのに何処に行っても日本人旅行客。行きの飛行機では九重親方(=元横綱千代の富士)、佐の山親方(=元大関千代大海)はじめ九重部屋御一行様と一緒で、力士たちが狭そうにシートに座っているのが微笑ましかった。今回感じたのはまだまだハワイでは日本語が通じる度合いが高いこと。ただし、Duty Freeは中国人の方がMajorityだったのが、今後を現わしているようにも思われた。

日本代表のコスタリカ戦は早送りしながらサッとチェック。先制を許したのはいただけないが、同じ出場国相手に逆転勝ちしたことは評価できる。遠藤が「本番前好調なのはドイツ大会と同じ」と警戒しているという報道があったが、選手自ら過去の失敗を繰り返すまいと気を引き締めているのは頼もしい。そんな中、長谷部、長友等の状態以上に心配は本田の調子だ。明日朝のザンビア戦でも調子が上がってこないのであれば決断が必要ではないか?幸い香川が復調し、大久保も持ち味を発揮しているので、さほど攻撃力が落ちることはないだろう。

購入:
「チームが機能するとはどういうことか?」(エイミー・C・エドモントン)、「図解でわかる!『戦略実行』読本」(クリス・マチャズニー、ショーン・コヴィー、ジム・ヒューリック)、「戦国時代の組織戦略」(堺屋太一)、「史上最大の決断」(野中郁次郎、荻野進介)、「信じよ!」(イビチャ・オシム)