2010年7月25日日曜日

日本的社会とリーダー

 昨晩のマリノスはロスタイムに劇的なゴールで勝利。結果は良かったが、それよりも面白かったのは今朝の新聞にあった秋春制への移行を促すような俊輔のコメント。まさにサッカー協会の犬飼会長が「解任」されることが決まったところだったので、結果的にタイムリーなコメントだった。
 報道されている通りだとすれば、改革の方向性は良いがプロセスが急すぎたということだが、強引さでいえば昔の「キャプテン」の方がすごかったと思うし、そもそもトップが考えている事がすぐに実現できない組織の方が問題だと思う。秋春制に関してはそれが、少なくとも世界のトップリーグでは常識になっているし、このままでは「ガラパゴス化」するばかりで優秀な選手にとっては移籍のチャンスを狭くするだけで、日本サッカーの将来を考えたら当然の方向性に思える。何かあると「検討します」と問題解決を先送りするJリーグの方がおかしい。残念ながら、今度の体制ではガラパゴス化を勧めるばかりだろう。
(いっそW杯で3連敗してくれたほうがスッキリした理由で解任できたのにね・・・)

読了:
「ケチャップの謎 マルコム・グラッドウェルTHE NEW YORKER傑作選Ⅰ」
  • The New Yorkerという雑誌は「ライアーズ・ポーカー」のような傑作を世に出すという意味で面白い雑誌だと思う。この傑作選も先々ベストセラーを生み出すグラッドウェルの視点の面白さが充分出ている。「まぐれ」、「ブラック・スワン」の著者であるナシーム・ニコラス・タレブのエピソードなどはファイナンスに関わる身としては非常に興味深かった。Ⅱも楽しみだ。(評価A)
「民の見えざる手」(大前研一)
  • 国家戦略局構想を交代させた現政権からは絶対に出てこない大戦略がここにはある。成長戦略の前提は国家ビジョンなのに、なぜか産業ビジョンになるのは政治家の構想力の貧弱さ以外何者でもない。著者の言っている事に100%賛成できるかという事では多少留保条件をつけたいが、「最小不幸社会」などという草食系の社会に未来はない。(評価A)
「日本の持続的成長企業」(野中郁次郎監修)
  • 取り上げられているのがトヨタやキャノンなど「前世紀」の企業ばかりだし、その要因も日本社会でしか通用しない話にしか見えない。これまでの成長要因を述べるのであればそれで良いだろうが、これからの経営に対する示唆であるならば、もっとグローバルな要素、ICTの影響など考慮すべきところが多いはず。(評価B)
「フリーライダー」(河合太介、渡部幹)
  • うちにもこういう輩が多いなと思いながら読んだ。フリーライダーへの対応だけでなくフリーライダーを作らないために必要な事も述べられており、それもすぐに実践できる内容なのが良い。うちの管理職全員に配って読ませたいと思う。(評価A+)
購入:
「リーダーのための中国古典」、「中国古典に学ぶ人を惹きつけるリーダーの条件」(ともに守屋洋)、「究極の鍛錬」(ジョフ・コルヴァン)、「経営戦略ワークショップ」(河瀬誠)、「ビジネス構造化経営理論」(武井淳)、「ビジョナリーカンパニー③衰退の五段階」(ジェームズ・C・コリンズ)

2010年7月18日日曜日

祭りの後

 スペイン対オランダの決勝はカップの決勝戦としては見ごたえのあるものだった。質という点では、確かに杉山茂樹氏の「悪いときのバルサを倒せなかった」という感想どおりだろう。ただ、1点を如何に取るか、または阻止するか、チャンピオンになるにはどんな覚悟がいるのか、といった事を示してくれたように思う。スペインが優勝したことは、(希望はあったけどどうせ南米が優勝だろうと予想していたので)素直に嬉しい。

 Jが再開。フロンターレは厳しいがそれでも昨日の試合を見ると地力はしっかりあるのだと納得した。マリノスはどうかな?

 腰の状態がイマイチ。ピリッと電気が走るような痛みがでている。テニスは今週も休み・・・いつまで続くのか???

読了:
「リ・ポジショニング戦略」(ジャック・トラウト、スティーブ・リプキン)
  • 競争環境の変化に対し、いかにポジションを取り続けるか。「ポジショニング」は実は相対的なものであるという事が良く理解できる。ただ、気をつけないと競合の戦略に対しリアクティブな反応ばかりになってしまうのではないか?という危惧も持った。一方ではケイパビリティをしっかり抑え、時にプロアクティブなリ・ポジショニングをして相手を出し抜くよう準備する必要がある。(評価A)
「トレードオフ」(ケビン・メイニー)
  • 一番不満なのは表紙にも帯にもジム・コリンズの方が大きく書かれている事。内容は決してプアな本ではないのに、売らんが為に著名な序文の書き手を前面に打ち出す出版社のやり方は「?」である。上質と手軽さを両立させるのは困難という事よりも、「手軽さ」を本当に達成するのが難しいのだということが数々の失敗例で示されている点で参考になった。(評価A)
購入&読了:
「モチベーション3.0」(ダニエル・ピンク)
  • 「フリーエージェント社会の到来」および「ハイ・コンセプト」と全米ベストセラーを生んだ著者の最新作。内面から湧き出すモチベーション(Drive)が如何に重要か説かれている。自分の経験でも「やらされ感」ばかりの仕事では並の成果しか出せないということがあるので、考え方自体は納得する。しかし、現実、今の会社の現場を見ると、モチベーション2.0すら不十分で、まだまだ「飴と鞭」でドライブしないといけないなと思う。(評価A)
購入:
「ケチャップの謎 マルコム・グラッドウェルTHE NEW YORKER傑作選1」、「民の見えざる手」(大前研一)、「日本の持続的成長企業」(野中郁次郎 監修)、「フリーライダー」(河合太介、渡部幹)、「仕事で成長したい5%の日本人へ」(今北純一)

2010年7月11日日曜日

痛い!夏休み

 貴重な夏休みが、一瞬の油断で楽しさ半減。すべってころんで腰を強打したため、2日目の予定キャンセルで帰らざるを得なかった。今も腰が痛い。アウトレットで色々買ったのと、食事のチョイスが良かったので満足としよう。旧軽はまたもお預け。次回はまた2~3年後?

 W杯はいよいよ決勝を残すのみ。最終盤に来て蛸の予想ばかり取り上げられているのもご愛嬌?一番良いサッカーをするところは優勝できないというのが「最後のジンクス」だったと思うが、今回は「史上初」づくしの大会なので、スペイン(というかバルサ)優勝ではないか?ペドロがここでもゴールという予感がする。今夜は選挙特番を早々に切り上げ決勝の生観戦に備える事としよう。

読了:
「グローバル・イノベーション」(藤井清孝)
  • 「ビジネスモデル、ガバナンス、リーダーシップのイノベーションなくして日本企業の復活はない」というメッセージが極めてロジカルに語られている。基本的なコンセプトはその通りだと思うが、結局日本企業がそうしたコンセプトを具現化するにはToo lateではないかといのが読後の結論だ。自分としては、外資に勤めているメリットをフルに活かし、日本以外のマーケットでも通用するスキルを持っている事をアピールして活躍の場をグローバルに広げるべく努力しようと思った。(評価A)
「流れを経営する」(野中郁次郎、遠山亮子。平田透)
  • 「知識創造企業」(思えばビジネススクール時代に英文で読んだっけ)に始まる一連の研究の集大成といった趣のある1冊。SECI理論など「お馴染み」のフレームワークが日本企業の中で如何に定着しているかが語られている。ただ、ティースの解説でも触れられているが、今の企業経営を取り巻く環境ではネットワークでの知識創造の必要性が高まっており、そのあたりにどう活用できるかは課題だと思う。(評価A)
「いかにして問題をとくか」(G.ポリア)
  • Microsoftが社員必読書としているという1冊。数学(幾何・代数)の問題を如何に解くかが題材になってはいるが、経営における問題設定や問題解決の際のヒントがいたるところにあった。会社のデスクに是非置いておこうと思う。(評価A+)

2010年7月4日日曜日

ジンクスはついに破られる?

 昨日は「78年大会決勝の再来?」と書いたが、「74年決勝の再来(オランダ対(西)ドイツ」になるかも。そのくらい昨日のドイツは強かった。メッシにしてみると、自分が普段バルサでやっているようなサッカーを相手に(それもまさかドイツに)やられるとは夢にも思わなかったのではないか?スペインはしぶとく準決勝まで進んできたが、2008年ユーロのような輝きはないので、厳しい戦いになるだろう。今回はこれまでのジンクスのうち「開催国は予選突破」が破られた。このままだと「ヨーロッパ以外ではヨーロッパは勝てない」というのも破られる可能性が非常に高くなった。これでウルグアイが優勝したらすごいことだ・・・

購入:
「トレードオフ」(ケビン・メイニー)、「リ・ポジショニング戦略」(ジャック・トラウト、スティーブ・リプキン)

2010年7月3日土曜日

決勝は78年の再現?

 まずは日本代表の話から。パラグアイ戦はW杯ならではの「凡戦」だったが、「『勝負はこうして決まるのだ』ということが良く分かった」という意味で意義の大きな試合だった。今までの日本の悪かったところは、こうしたレッスンを充分消化しないで次に進んでしまったこと(「オシムが」発言はその典型)。今回はしっかりやって欲しい。時期監督もその流れで決めるべきだ。
 一方「買い手」がついた選手にはどんどん海外へ出て行って活躍して欲しい。「海外組」が多ければ多いほど、代表の試合もアウェーでやりやすくなるし、本当にベスト4を狙うための道筋ができると思う。
 準々決勝ではブラジルが敗退。オランダが決勝に近づいた。油断さえしなければウルグアイには勝つでしょう。そうすると、今夜のアルゼンチン対ドイツ戦が益々興味深くなってきた。これまでのジンクスでいくと今大会はアルゼンチンかウルグアイが優勝ということになるが、オランダの方がウルグアイより強そうなので、私の決勝予想はオランダ対アルゼンチン。78年は延長戦までもつれ込んだので、今回も面白い試合になるだろう。

読了:
「リーダーは自然体」(増田弥生、金井壽宏)
  • 日本人にもこんなリーダーがいたのだ、というのが感想。うちのボスも増田氏と同様に、日本がメインではあるが、外資系企業でバリバリやってきた人物なのだが、増田氏と似ていることに気づいた。どこか肩の力が抜けていて、だけど思いは非常に強い。周りは結構好き勝手にやれるのだが、勘所は押さえている。そんなリーダーに近づきたいものだ。(評価A)
「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」(松下幸之助 述、松下政経塾 編)
  • ベストセラー「知っておいてほしいこと」シリーズの最新策。今回は何となくターゲットが政治家の卵に向いている記述が多かったように思う。ただ、経営をするうえで、現場がどのように動いているかを知ることは基本だし、「日本的経営」(この言葉は大嫌いなのだが)のいい所だと思う。(評価A-)
「伝説の教授に学べ!」(浜田宏一、若田部昌澄、勝間和代)
  • 非常に中身の濃いマクロ経済学入門書と言って良いだろう。「勝間本」と意識しないで読むべき一冊だと思う。ケインジアンやマネタリストの考え方、デフレの問題点その他日本と海外の経済学史まで盛り込まれている。木曜日に外国特派員協会のクラブに行った時、前日(=この本を読んでいた当日)そこで浜田教授が講演をしていたという事を知った。(評価A+)
「これからの『正義』の話をしよう」(マイケル・サンデル)
  • アリストテレス、ベンサム、カントなどが如何に正義を考えていたか、5人を救うために一人を殺せるかといった「課題」を例に解説。ハーバードの人気講座のネタなので内容は極めて高度だが、決して難解ではないと思う。こういう本を読んだ後で、参院選挙関連の記事を読むと、日本の政治家の「底の浅さ」がクローズアップされ、とても残念だ。(評価A)