2013年6月30日日曜日

日本代表の現在地

コンフェデの決勝は期待通りブラジル対スペインとなった。ブラジルはウルグアイを下し、スペインは大健闘のイタリアにPK戦で辛勝し決勝に進出した。明日朝の決勝は日程的にはブラジルが優位だが、スペイン相手なので丁度良いハンディキャップという感じもする。結果はどうあれ日本にとって「世界のトップとの差」を見ることができる一戦になるだろう。

「Foot」の特別版でのマリーニョさんのコメントがこの大会における日本代表およびマスコミの浮かれ方を示していた。日本はまだまだチャレンジャーなのに、何となく行けるという空気になっていたという趣旨で、まさにおっしゃる通りだと膝を叩いた。欧州チャンピオンズリーグの常連であるビッグクラブにいるのは香川と長友の2人だけ。仮にシャルケを常連に加えても内田までだし、実際インテルは来季の出場権を逃している。本田にしても「動く動く」と報道が先行するが今はまだそうした常連クラブのメンバーですらない。今回4強に残ったチームの主力メンバーとは「格」が違う。優勝するという夢は重要だが、現実との差を認識してどのように達成するか道筋を立てられるまでのレベルには残念だがまだ至っていない。我々もその点を認識したうえで、暖かく&厳しく代表を見ていきたいと改めて考えた。

読了:
「西郷隆盛 命もいらず名もいらず」(北康利)

  • 明治維新の立役者の中で、なぜ西郷隆盛は未だに愛されているのか分かっただけでなく、どのような思想を持っていたのかが理解できた。歴史に「タラレバ」は禁物だが、西郷が残っていたら明治政府はどうなっていただろうか?と考えずにはいられなかった。ただ、おそらく日本の近代化のペースは却って遅くなっていたのではないか、逆にいうと大久保利通のやり方でないと維新以後の日本は回らなかったのだろう、というのが自分の答えだ。(評価A)
「不格好経営 チームDeNAの挑戦」(南場智子)
  • DeNAという会社のDNAは創業者である南場氏のDNAなのだろう。マッキンゼーを辞めて会社を立ち上げて以降今日までの歩みが初めて明かされたのではないか。また、コンサルタントと経営者の違い、MBAの価値など著者の考え方も明かされている。日本にもメグ・ホイットマンやシェリル・サンドバーグにも負けない女性経営者がいることが証明されている一冊だ。思わずDeNAの株を買って応援したくなった。(評価A+)
購入:
「増補改訂版 戦略プロフェッショナル」(三枝匡)、「増補改訂版 V字回復の経営」(三枝匡)、「『信用』を武器に変えるマーケティング戦略」(平久保仲人)、「ライク・ア・ヴァージン」(リチャード・ブランソン)、「天佑なり」(上)(下)(幸田真音)、「銀行王 安田善次郎」(北康利)

2013年6月23日日曜日

3戦全敗(イタリア戦&メキシコ戦)

コンフェデレーションズ杯A組の3試合が終了。日本は準決勝進出を逃し、結局3戦全敗でブラジルを去ることになった。

イタリア戦は本当の強豪と日本との差を明らかにした。ブラジル戦の反省から日本のパフォーマンスが上がるのは予想できたし、イタリアよりも1日インターバルが多かったこともプラスしていた。その意味では今回ほどイタリアに勝てる可能性が高かったゲームはない。その試合で2対0から逆転負けを喫したことを「惜しかった」で片づけてはならないだろう。長友や香川が「勝たなければ何も意味がない」と言っていたのが救いだ。ゲーム運びの拙さをこれから1年で修正するのは難しいが、「ドーハの悲劇」から学んだように次へつなげていかなければならない。

メキシコ戦は消化試合とはいえ何としても勝ちたい試合だったが、ロンドンオリンピックをはじめ世代別の大会(U-17やU-20)で世界トップクラスの結果を残してきたメキシコは流石に強かった。後半立ち上がりやセットプレーといった日本の弱点をしっかり突いて2得点。日本には追いつき逆転する力はなかった。

来年の本大会で今回のような組み合わせになることはないが、ブラジル&メキシコもしくはイタリア&メキシコと一次リーグで同じ組になることは考えられる。しかもコンフェデよりも体力的には楽な日程で戦うことになる。今回分かったことは、世界との差が依然として大きいということであり、今のメンバーの実力では本大会は戦えないという事だ。今後1年で必要なのは、欧州組は自らのチームで万人が認めるレギュラーを確保することであり、国内組はまず7月の東アジアカップで、中途半端な欧州組より自分を選べとアピールし、ひいては初優勝することだ。ザッケローニにもプレッシャー&ノルマを与えるべきだ。東アジアカップ優勝とウルグアイ戦の勝利、9月欧州遠征後のFIFAランク30位以上復活ぐらいを合格ラインとするのはどうか?韓国は(契約満了であったとはいえ)W杯出場を決めても監督交代に踏み切った。仮にザッケローニを解任しても今の日本代表監督なら立候補者がいるはずだ。協会がこのぐらいの姿勢を見せて欲しい。来年再び3戦全敗するのは見たくない!


読了:
「人類20万年 遥かなる旅路」(アリス・ロバーツ)

  • アフリカで誕生した人類がいつごろどのようにして世界各地に移り住むようになったのか?ネアンデルタールや北京原人との関係は?といった興味深い質問に関する最新理論の到達点が、著者の旅とともに説かれている。本のオリジナルになったBBCのドキュメンタリーが近々放送されるので併せてみようと思う。(評価A)
購入:
「国家はなぜ衰退するのか?」(上)(下)(ダロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソン)、「戦略を実行できる会社、実行できない会社」(クリス・マチェズニ―、ジム・ヒューリング、ショーン・コヴィー)



2013年6月16日日曜日

コンフェデ開幕

ワールドカップブラジル大会まで1年を切り、コンフェデレーションズカップが始まる。この時期にブラジル・イタリア・メキシコと本大会の会場で3試合できるのは、貴重な経験であるのは勿論だが、前回も書いたようにブラジル以外「本気」の国はないので、日本にもチャンスはある。更に、この大会を通じ、来年まで代表に残れる選手がある程度選別されるだろう。

ということで期待したブラジル戦だったが、結果は0対3と惨敗。前半3分の得点がなかったらとは思うが、昨年10月ポーランドで戦った時よりもダメだった。ワールドカップ常連国を相手にするときには、まだ2010年のような守備的な戦い方しかできないのかもしれない?イタリア戦でどう立て直せるか?



読了:
"The End of Competitive Advantage" (Rita Gunther McGrath)

  • Hypercompetitveな環境の中では従来の競争戦略理論が掲げていたSustainable Competitive Advantage(持続的競争優位)は望めない。これからはTransient Advantage(変化に適合して競争優位構築する能力)が競争を決するという著者の指摘は鋭い。Yahoo Japanを含む10社のケーススタディも参考になる。我々の働き方にも変化が求められていることを理解すべきだろう。(評価A)
「ファスト&スロー」(上)(下)(ダニエル・カーネマン)
  • 行動経済学のGuruでノーベル経済学賞受賞者である著者が、エイモス・トヴェルスキーとの共同研究を含むこれまでの成果や、発展の歴史、最新の研究結果までを一般向けに分かり易く解説した一冊。行動経済学はこれ一冊読めば分かるといえる内容。直観のシステム1、熟考のシステム2という整理が様々な局面での我々の意思決定を解き明かす上で有効であることが理解できる。(評価A+)
購入:
「不格好経営」(南場智子)、「西郷隆盛 命もいらず 名もいらず」(北康利)

2013年6月9日日曜日

ブラジル行き決定

火曜日のオーストラリア戦は仕事のため見ることができず、電車の中ネットで経過を追いかけていた。後半押し気味に見えたので、そろそろ日本が得点するだろうと思っていたところ、センター北に着く直前0-1の表示。事故みたいな失点に違いないが、これでイラクの結果待ちになるのか・・・と考えながら家のそばまで歩いてきたら、どこからか大きな歓声がもれてきた。これは日本の得点に間違いないだろう・・・気を取り直して家に着くと1-1で試合終了だった。

試合結果は物足りないが、今回も予選突破一番乗り達成。ここから1年、最終メンバー23名の争いが始まる。ザッケローニが「クラブの日程かと思った」とジョークを飛ばすぐらい代表戦が組むことが出来たし、アジアカップ予選免除で欧州遠征もできる。本田や長友の言うとおり本大会で優勝するためには「強い個」が23人集まらなければならない。欧州組は勿論、国内組がクラブでどれだけ活躍できるか、がカギだ。東アジアカップでは柿谷、大迫、柴崎あたりが招集されるのでは?FW、Central MF、CBは最終メンバー入りに大きなチャンスがある。

来週はイラク戦を終えるといよいよコンフェデだ。ブラジル以外は各大陸の予選が重要なので、本気度は低いはず。準決勝・決勝進出、更には優勝も決して夢ではない。(実際2001年は決勝まで進んだではないか!)前回スペインを破ったアメリカのような旋風を巻き起こして欲しい。

読了:
「会社の老化は止められない」(細谷功)

  • 先週読んだ「崩壊する組織にはみな『前兆』がある」にも通じるが、組織も発足時から成長段階を経るにつれ社内の利害関係者が増え、スタンプラリーが始まり、官僚主義がはびこるようになる。人間の動脈硬化みたいなものだ。こうした劣化は止められないというのが著者の主張。ではアンチエイジングは?社内の「子供」への期待?もう少し聞いてみたい。(評価A-)
"Playing to Win" (A.G. Lafley, Roger L. Martin)
  • 最近復帰が発表されたP&GのCEOとコンサル出身の経営学者による経営戦略立案の手順書。ポーター等のポジショニング理論とバーニー等のリソースベース理論を組み合わせる事で有効な戦略を構築するステップは大いに参考になる。スタートが「ヤル気」というのは経営者らしい。(評価A+)

2013年6月2日日曜日

ブルガリア戦は・・・

木曜日のブルガリア戦は日本代表にとってどんなインパクトをもたらすのだろう?セットプレーからの2失点と無得点という結果、3-4-3へのチャレンジをこの時点で、しかも長友を使わずに行ったこと、さらに相変わらずのメンバー編成。ザッケローニ限界説も大きくなってきた。。。全ての回答はオーストラリア戦に???

ブルガリアは強かったが、日本のリズムの時間帯もそれなりにあった。香川ー清武ー乾のトリオはパス交換だけなら良いのだが、全員が足下にボールを受けるタイプなのでゴールに迫る迫力に欠けた。岡崎と本田がいるときのようなバリエーションがないとこのレベルの相手には通用しないのが改めて証明されてしまった。

オーストラリアはこの試合を見て「引き分けでOK」から「勝てる!」と意識が変わったのではないか?そこを突くだけの精神力があるか???

全ては6月4日に分かるだろう。

今日は久々に映画「オブリビオン」を見てきた。映像が美しく、出てくるメカのデザインも「カッコよく」、ストーリーも意外性があって十分楽しんだ。やっぱり映画は良いものだ。

読了:
「経営戦略全史」(三谷宏治)

  • テイラー・メイヨ―から始まりドラッカー・チャンドラー、更にポーター・バーニーを経て最新の戦略論まで、20世紀初めからの経営戦略論進化が網羅されている。意表を突いた「もしも・・・」対談やエピソードの数々。読みやすいし、抑えるべきポイントは全て抑えられている。三谷教授ならではの1冊と言っていいだろう。(評価A+)
「達人と読むビジネス名著」(日本経済新聞社編)
  • 続編を先に読んだが、こちらで選ばれた本の方が幅広いジャンルから選定されている。ドラッカーの2冊、「フラット化する社会」や「失敗の本質」に加えウェルチやシュルツという経営者の著作も含まれている。1冊を除きすべて読んだ本だが、こうした解説で内容を思い出した。(評価A)
「俺のイタリアン、俺のフレンチ」(坂本孝)
  • 行列ができる店、本格的な料理がリーズナブルな価格で食べられると話題の「俺の・・・」がどうやって誕生したか、なぜブックオフの創業者が始めたのか、といった疑問が本書を読むことにより解けた。また、「ブルーオーシャン戦略」の見本のような戦略が展開されていることが分かる。稲盛和夫氏との師弟関係の強さも意外だった。(評価A+)
「コトラー8つの成長戦略」(フィリップ・コトラー、ミルトン・コトラー)
  • 低成長の中であっても成長のヒントは隠されている。マーケット・シェアの獲得、コミッテッド・カスタマー(ステークホルダー)の拡大、ブランド力向上、新製品・サービス、国際展開、M&A・パートナーシップ、CSRそして政府/NGOとの提携。言われてみれば当たり前だが、自社がとるべき途が明確になっていないとその当たり前もできないのが実際だ。(評価A)
「崩壊する組織にはみな『前兆』がある」(今村英明)
  • 読んでいて「あるある」と納得することが多かった。スティーブ・ジョブズの例があったが、彼も一度は組織を崩壊させアップルを追われている。企業のライフステージ別に危機の前兆が描かれているが、結局これらの兆候が全くない会社の方がありえないように感じた。多少の問題点がある方が健全な組織ではないか?(評価A)
「日本企業は何で食っていくのか」(伊丹敬之)
  • 日本企業とりわけ製造業が反転攻勢するため何が必要か、極めてまともな議論がなされている。提案されている方向性も納得感が高いし、実現可能だ。アベノミクスでいう3本目の矢はこういうことであるべきだ。問題は毎度の事ながら政と官にある。首相が強いリーダーシップを発揮して推進するしか第3の敗戦から這い上がる術はない。(評価A+)
「スティーブン・R・コヴィー永遠の知恵」(フランクリン・コヴィー・ジャパン編)

  • 「7つの選択」、「第8の選択」といったコヴィー教授の著作から18の原則を抽出し、再整理した内容になっている。何回も読み直すべき1冊。(評価A)
購入:
「会社の老化は止められない」(細谷功)、「ファスト&スロー」(上)(下)(ダニエル・カーネマン)、「人類20万年 遥かなる旅路」(アリス・ロバーツ)、"Playing to Win" (A.G. Lafley, Roger L. Martin), "The End of Competitive Advantage" (Rita Gunther McGrath)