2014年12月28日日曜日

俊輔契約更新。補強は???

俊輔や齋藤を含む主力の契約更新が進む一方、藤田のベルマーレ完全移籍が発表された。これで噂のハーフナーのために一枠できた。年内に何か進展はあるのだろうか?

年明け早々アジアカップが始まるが、自分自身前回までと違いピンときていない。W杯予選の方式が変わり、アジアカップでしっかり基盤を固め、かつ優勝しなければならないはずだが、監督のスキャンダルが目立ち、少し冷めてしまった。大会が始まると変わるのかもしれないが・・・

読了:
「日本思想全史」(清水正之)

  • 古事記・日本書紀から始まって現代まで、日本人がどんなものから影響を受け、それが考え方・生き方に繋がってきたかがおぼろげながら理解できた。古代・中世における仏教や近世におけるキリスト教の影響は勿論、昔日本史で出てきた林羅山、新井白石、本居宣長といった学者の業績も要約されており、正に「全史」だ。(評価A)
「慟哭の海峡」(門田隆将)
  • 「狼の牙を折れ」で企業連続爆破事件という昭和史の一ページをテーマとした著者が、今回は第二次大戦において「バシー海峡」で弟を亡くしたやなせたかし氏と自らは奇跡の生還を果たし、その後台湾に鎮魂のための寺を建立した中島秀次氏の生涯を描いた。二人が直接交わることはないが、それぞれが戦争をどのように捉えていたか、さらには「アンパンマン」誕生のいきさつも描かれている。(評価A+)
「反グローバリズムの克服」(八代尚宏)
  • TPPへの参加決定の遅れ、その後の交渉への参加姿勢などを見ても、日本における「反グローバリズム」が根深いと考えていた。本書は各地域におけるグローバリズムを前提とした経済政策を紹介し、いかに日本における「反グローバリズム」が経済の先行きに悪影響を及ぼすか考察している。ドイツのシュレーダー氏の改革と小泉改革の対比が10年を経過した今、大きな差になっているのが歯がゆい。(評価A)
「新・戦争論」(池上彰、佐藤優)
  • インテリジェンスに長けた池上氏と佐藤氏の対談は、日本のマスコミだけでは到底知りえない政治の奥の奥を歴史的・民族的・宗教的観点から掘り起こしている。ウクライナ、「イスラム国」などの本質が明らかになるとともに、集団的自衛権や北朝鮮政策にみる日本政府・とりわけ官邸の危うさが浮き彫りになる。総選挙の大勝を受け、外交面が益々漂流しないよう監視が必要だ。(評価A+)

購入:
「夢をかなえるゾウ3」(水野敬也)、「エッセンシャル思考」(グレッグ・マキューン)、「賢者の戦略」(手嶋龍一、佐藤優)、「地球進化46億年の物語」(ロバート・ヘイゼン)、「使える経営学」(杉野幹人)、「なぜ大国は衰退するのか」((グレン・ハバード、ティム・ケイン)、「ザ・ファーストマイル」(スコット・D・アンソニー)、「信頼マネジメント」(スティーブン・M・R・コヴィー、グレッグ・リンク、レベッカ・R・メリル)、「宇宙を創る実験」(村山斉 編著)

2014年12月21日日曜日

契約更新選手の発表始まる

F.マリノスの新監督がエリク・モンバエルツ氏(モンベールではなかった)に決まった。また、ラフィーニャとファビオを含む選手7名の契約更新が発表された。中町・藤本のような中堅、喜田・天野・北谷という若手、それぞれ新監督の下でどう機能するだろう。育成の実績がある監督ということなので、個人的にはこれまで不得手だった若手を使って成長させるという「戦略」を成功させてほしい。

俊輔がセルティック・パークに凱旋した。YouTubeで見たが、マンU戦のFKよりレンジャーズ戦のゴールが印象に残っているというコメントは地元で愛されるに相応しいものだった。現役の間ですでにレジェンドの一人として観客の大歓迎を受けている姿はF.マリノスサポーターとしては勿論日本人として誇らしく思う。「あの頃」のベストプレーを思い出して来シーズンに臨んでくれたら嬉しい。


読了:
「意思決定トレーニング」(印南一路)
  • 生まれてくる子供を含む家族に適した中古車を購入するという、どこにでもありそうな事例を基に、意思決定の手順とそのポイントが説かれている。先週読んだ「ビジネス意思決定」と比べるとアカデミックなところはないが、意思決定に必要な「キモ」は押えられている。日常における意思決定には有効な一冊。(評価A-)
「通訳日記」(矢野大輔)
  • ザッケローニ監督と日本代表の4年弱の歩みが、通訳だった著者の日記を通じて甦った。本書を読むと信念を貫き日本のサッカーを変えようとした監督に対し、選手は最後までどこか自信なく、半ば渋々従っていたように感じられた。途中までの過程を考えるとブラジル大会ではもっとやれたはずなのに、もったいなかったと改めて考えた。(評価A+)
「交渉は創造である」(マイケル・ウィーラ―)
  • 「ハーバード流交渉術」(Getting to Yes)のBATNAなどのコンセプトの問題点(交渉を静的にとらえ過ぎている事)を踏まえ、修正した理論となっている。自分の有利な立場を使いすぎない、トラブルは起きるものと覚悟すること、最悪のシナリオは複数用意すること、など実践で使える技が、実例と共に網羅されている。(評価A)
購入:
「その女アレックス」(ピエール・ルメートル)、「東京ブラックアウト」(若杉冽)



2014年12月14日日曜日

2014シーズン終了

アジアカップの日程と国立競技場の解体で異例の12月@日産スタジアム開催となった天皇杯決勝はガンバの3冠達成で終わった。途中モンテディオに押される場面もあったが、宇佐美とパトリックで3点取ってしっかり勝ちきった。かつてのようにボールを繋いでばかりでなく、パトリックへのにロングボールやカウンターで点を取れるところが強みになっている。

これで今シーズンは終了。年明けのアジアカップにもF.マリノスの選手は選ばれないだろうから、しっかり今年の反省をして来年につなげましょう。報道によると監督はモンベール氏でほぼ決まりだという。Under世代のフランス監督経験を持つ人だというので、伸び悩んでいる若手が育ち、ベテランと良い競争ができるようなチームにして欲しい。

読了:
「ビジネス意思決定」(大林厚臣)

  • 帯に書かれている通り、ビジネスに関わる意思決定理論が解説されている最新版のMBA教科書と言って良いだろう。ディシジョン・ツリー、ゲーム理論について考え方だけでなく使い方についても言及されている。最終章の八甲田山行軍とキューバ危機の事例を見ると、どのように応用されるべきか理解が進む。(評価A)

「Thinkers 50 イノベーション」、「Thinkers 50 リーダーシップ」(スチュアート・クレイナー、デス・ディアラブ)

  • 「Thinkers 50」シリーズの2冊。マネジメント、ストラテジーの2冊同様この2冊も、最新理論について多くの著者へのインタビューを通じ分かり易く解説されている。21世紀に入って以降あまり新理論が出ていないと感じたのも前2作の時と同様で、それだけ現実の経営が速いスピードで変化しているのだろう。(評価:ともにA)

「日本の論点2015-16」(大前研一)

  • プレジデント誌に連載されている記事の再録だが、近いテーマを纏めて読むと、毎度の事ながら著者のカバーする領域の広さと深さに驚かされる。現政権の危うさ、日本企業・社会の問題点を考えると、これも毎度の事ながら先細りの未来が見えて仕方ない。今回の選挙で何か変わるのか、それともこのままなのか?(評価A)
購入:
「国家経営の本質」(戸部良一、寺本義也、野中郁次郎 編著)、「反グローバリズムの克服」(八代尚宏)、「ケインズの逆襲 ハイエクの慧眼」(松尾匡)、「新・戦争論」(佐藤優、池上彰)

2014年12月7日日曜日

And the winner is・・・

J1の優勝争いが決着した。最終節は優勝の可能性があったガンバが引き分け、レッズとアントラーズが敗れるという波乱、というか何とも情けない状況だったが、結果的にガンバが9年ぶりの優勝を成し遂げた。ガンバはW杯中断前は16位と低迷していたが、宇佐美の復活、効果的だったパトリックの補強で順位を上げ、レッズのもたつきにも助けられて頂点に上り詰めた。逆にレッズは後遺症が残る結末になった。

F.マリノスはFC東京とドロー。何とか賞金圏内の7位を確保してシーズンを終えた。最後3試合で「定位置」の10位を抜け出したこと、遅すぎたとはいえ伊藤がようやく機能したこと、リーグ最少失点で終えたことは来季につながると思う。残念なシーズンだったけれど、お疲れ様でした。

続いてDukeネタ:
  • フットボールはレギュラーシーズンを9勝3敗で終了。最終的にはトップ25に入れなかったが、2年連続9勝というのは史上初らしい。かつてはローズボウルなど有名なボウルゲームに出たことがある大学なので、これからどこまで復活できるか楽しみだ。
  • バスケットボールは今週強敵(ランキング2位で昨年のFinal 4)のウィスコンシン大にアウェーで勝利、8戦全勝となった。Okafor、T.Jones、Winslowという1年生トリオと4年生Cookが好調を維持しているので、5年ぶりのNCAAトーナメントFinal 4、更にはタイトルを期待したい。
読了:
「ゴースト・スナイパー」(ジェフリー・ディーヴァ―)
  • リンカーン・ライムシリーズの最新作。あとがきによると本書で10作目だという。今回は政府機関が絡む暗殺事件の捜査という初めてのパターンだが、本当は・・・という毎度おなじみのどんでん返しがある意味心地よい。マンネリ感もあるが、「水戸黄門」のような楽しみ方になってきた。次回作もアメリカでは刊行されているということなので、期待しよう。(評価A)
「原則中心」(ジェームス・スキナー)
  • スティーブン・R・コヴィー博士が残した「原則中心のリーダーシップ」を、「7つの習慣」の翻訳を手がけた著者が説き起こした一冊。自分自身のミッションは何か、から始まりリーダーシップの役割(モデリング、メンタリングシステム作り、エンパワーメント)や会社のスコアカード、さらにはコーチングまでが一貫した体系で示されている。(評価A+)
「インデックス」(誉田哲也)
  • 姫川玲子シリーズの最新刊。姫川が捜査一課を出され、「ブルーマーダー」事件を経て捜査一課に戻り、さらに菊田とのコンビが復活するまでが描かれている。途中には学生時代の姫川が登場したり、捜査一課に戻ってからは新たな部下が登場したりと次の長編への布石が打たれている。リンカーン・ライムシリーズ同様に自分の中では「鉄板」なシリーズになっている。(評価A)



2014年11月30日日曜日

ホーム最終戦で勝利。ホーム通算200勝!

今季最後のホーム、アルビレックス戦は伊藤のゴールで勝利。ホーム通算200勝を達成した。また、わが観戦試合の連敗もやっと止まった。
 試合開始早々にCKから決定機が続き、これなら早いうちに先制できそうだと思っていたが、ここで取れないのがF.マリノスらしいところだ。徐々にアルビレックスのカウンターに脅かされるようになり、スコアレスで前半を終了。後半も、泥臭いゴールで先制した後、齋藤のドリブル突破から追加点のチャンスがあったのだが、決めきれず、終盤はFWを交代したアルビレックスに押しこまれ、榎本の活躍でなんとか凌ぎきったという感じだ。昨年の雪辱というわけではないが、苦手としてきた相手にきちんと勝てたのは、来年につながると信じよう。
 来週はいよいよ最終節。F.マリノスはFC東京とのアウェー戦で、7位争いの直接対決になる。今年はホームで負けているので、しっかりお返しをして締めくくって欲しい。優勝争いはここへきてガンバが有利になった。次節アウェーのヴォルティス戦に勝てば、レッズがグランパスに大量得点で勝たない限り優勝できる。にわかに3冠達成の可能性が膨らんだ。名門とはいえ5月の中断時点では降格圏にいた昇格チームが3冠というのは、他のチームのだらしなさの裏返しでもある。。。

3連休に見た映画「インターステラ―」は「ダークナイト」・「インセプション」同様私のお気に入り映画リストに加わった。流石クリストファー・ノーランというべきだろうが、単なるSFではなく、親子愛がきちんと描かれてたので今回も2時間49分飽きることなく楽しんだ。

読了:
「国家の暴走」(古賀茂明)

  • 安倍政権が持つ潜在的な「危うさ」、特に世論操作がどのように行われているかについて警鐘を鳴らす一冊。保守的な政策実現が優先され、アベノミクス第三の矢である改革、特に岩盤規制への取り組みを期待した者には残念な現状だ。かといって本書にある通り「リベラルな改革派」はいないし・・・選挙でどこを支持しようか、真剣に悩む。(評価A)
「なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか?」(久世浩司)
  • 「『レジリエンス』の鍛え方」の著者が、多くの実例を引用しながら、改めて「レジリエンスのある人」になるための3つの習慣(ネガティブ連鎖をその日のうちに断ち切る、ストレス体験のたびにレジリエンス・マッスルを鍛える、ときおり立ち止まり、振り返りの時間をもつ)を説いている。自分としては、比較的レジリエンスがある方だとは思うが、やはりネガティブ連鎖は解消できないし、立ち止まることもできていない。意識して実践してみよう。(評価A)
「売国」(真山仁)
  • 「ハゲタカ」シリーズなど社会派小説のヒットメーカーである著者の最新作。宇宙産業を巡る日米の暗闘がテーマであるが、主人公が京都の老舗和菓子店の息子だったり、「モデルはあの人では?」と考えたくなる政界の黒幕がいたり、ヒロインが元レスリング代表候補の宇宙工学大学院生だったりと設定が面白かった。テーマがテーマだけにエンディングが唐突なのは仕方ない所か。(評価A-)
購入:
「慟哭の海峡」(門田隆将)、「交渉は創造である」(マイケル・ウィーラー)、「日本の論点2015-16」(大前研一)、「原則中心」(ジェームス・スキナー)、「ビジネス意思決定」(大林厚臣)、「Thinkers 50イノベーション」(スチュアート・クレイナー、デス・ディアラブ)、「Thinkers 50リーダーシップ」(スチュアート・クレイナー、デス・ディアラブ)、「通訳日記」(矢野大輔)、「インデックス」(誉田哲也)、「日本思想全史」(清水正之)、「意思決定トレーニング」(印南一路)

2014年11月23日日曜日

ヴィッセル戦勝利で7位に浮上

樋口監督退任発表後初めての試合、ヴィッセル戦は伊藤と兵頭のゴールで2対1で勝利、定位置を脱して7位に浮上した。ただ、すぐ下にはFC東京、サンフレッチェ。ヴィッセルがいるので、勝ち続けないとすぐ10位に逆戻りしてしまうという状況だ。次節はホーム最終戦。今年4度目の生観戦になる。9月のグランパス戦であまりの酷さに「もう今年は見に行かない!」と宣言したが、やはりもう一回チャレンジすることにした。ホーム200勝を達成して欲しいのは勿論、昨年のホーム最終戦、相手も同じアルビレックス戦から始まった「生観戦連敗記録」をストップさせて欲しい。

代表のオーストラリア戦は用事があってVTRも見ていない状況。90分でオーストラリアに勝ったのは久々で、アジアカップには良い影響があると信じたい。ただし、1月のメンバーに新顔を期待することができなくなったのも確かだ。世代交代は来年に持ち越された・・・


読了:
「フラッシュ・ボーイズ」(マイケル・ルイス)

  • 電子取引におけるナノセカンドのタイムラグを利用し、先回りして儲ける「フラッシュ・ボーイズ」。こんなビジネスモデルがあったのか、と衝撃を受けると共に、「強欲資本主義」が形を変えて存続しているのだと考えた。RBCを辞めてこうした業者を排除するためにあらたな取引所設立に奮闘する日系カナダ人、ブラッド・カツヤマはドン・キ・ホーテのようでもあり、読み進むうちに感情移入していった。(評価A+)

「How Google Works」(エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ)

  • Googleがどのように経営されているか。文化・戦略・人材・意思決定・コミュニケーション・イノベーションという順序で説かれている中で、いかに人材(スマート・クリエイティブ)を集め、彼らに仕事をさせるか、を第一に考え、経営を行っているということが理解できた。100%のマネは無理でも、そこにチャレンジしていくことがこれからの経営者に求められていると思う。(評価A)

「現場論」(遠藤功)

  • 「現場力を鍛える」から10年。著者の現場訪問はこの4年間で100を超えたという。そうした「観察」から、改めて「現場」とは何か・現場力を高めるために何が大切かなど、タイトル通りの現場論が多くの事例と共に展開されている。著者が言うとおり、愚直に、一貫して課題に取り組み改善を目指していくことが必要なのだ、と再確認した。(評価A)

2014年11月16日日曜日

久々の快勝、ホンジュラス戦。Fuqua as No.1!

日本代表のホンジュラス戦。先発メンバーは武藤以外の10人がブラジル大会代表ということで、どんなサッカーになるのか、と興味があったが、長谷部のアンカー、遠藤と香川のインサイドハーフが前からプレスをかけ続け、奪ったらショートカウンターという戦術が予想以上にはまっていた。一点目は遠藤のCKから流れたところに吉田が詰めた。前半半ばに少しプレスが甘くなったが、前半終了間際に本田の独走と遠藤のミドルで3対0として試合を決めた。後半は更に攻撃の歯車が噛み合い乾(2ゴール)と豊田が代表初得点を上げ快勝した。

得点を決めた選手や長谷部はもちろん良かったが、久々の内田はタイミングの良いオーバーラップで相手を引き付けたし、インサイドハーフとしての香川も守備で頑張りを見せてアジアカップに不可欠なメンバーだと印象付けた。更に長友不在の左サイドでは酒井高徳が穴を感じさせない出来だった。ホンジュラスが良くなかった点を割り引いても、このサッカーができればアジアカップ連覇は可能だろう。

Dukeの話題3つ:

  1. Bloomberg BusinessweekのアメリカMBA(ビジネススクール)ランキングでわが母校Fuqua School of Business, Duke UniversityがNo.1にランクされた。在学中(94年~96年)はトップ10に入れず、「クラスの人数が少ないFuquaは採用企業の評価が大きなウェートを占めるBusinessweekのランキングでは苦しい」と言われていた。最近はその壁も乗り越えてトップ10の常連に位置付けられてはいたが(前回は6位)、それでもHBS、ウォートンやシカゴの壁は高いと半ばあきらめていた所があったので、このニュースは本当に嬉しかった。まだ日本では販売していないようだが、販売されたらすぐに購入しよう。
  2. 2014-15のカレッジバスケットボールシーズンが開幕した。Pre-seasonランキング4位のDukeは初戦を113対44で大勝した。2015年NBAドラフト1位指名候補と称されるJahlil Okaforをはじめとする1年生4人が揃って10点以上を上げる活躍を示した。このところシーズン後半での失速が続くので、油断なく最後まで突き進んで欲しい。
  3. 一方Footballはここまで8勝2敗。今節のVirginia Tech戦は1点差の惜敗だったが、今年も勝ち越しが決定。今世紀初めの頃にはACCで1勝することもできなかった事を考えると、素晴らしい復活を遂げている。次節UNCに勝ち、ボウルゲームへの出場&勝利を期待している。

日本中が錦織圭の快挙に沸いている。フェデラーとジョコヴィッチには勝てなかったが、ツアー・ファイナルズ初出場での準決勝進出は素晴らしい。これでランキング5位でシーズンを終えることになる。来シーズンこの地位を確実にし、更に上位を目指すには今年以上にハードな日程を勝ち抜く必要がある。勿論グランドスラム優勝への期待も高まる。来シーズンに備え日本のマスコミに振り回されることなく、しっかり休み、かつ体力をつけて全豪に臨んで欲しい。

読了:
「キャズム2」(ジェフリー・ムーア)

  • ハイテク・プロダクトのマーケティングを行う上で欠かせないのが本書「キャズム」。原書第三版の翻訳では、実際に著者の説くマーケティング手法を取り入れキャズムを乗り越えたプロダクトに事例が置き換わっている。このことが、ホール・プロダクトの重要性など著者が提唱してきたことの有効性を明らかにしている。キャズムのコンセプトは別にハイテク・プロダクトに限定されるものではないだろう。(評価A)

「経営の失敗学」(菅野寛)

  • 長年BCGでコンサルタントとして活躍し、現在は一橋大大学院教授を務める著者が、これまでの経験から示す「経営の『べからず集』」。ビジネスはそもそも同質化しても異質化しても失敗する運命にある、というジレンマとソニー・パナソニック(松下電器)がかつて如何にしてそのジレンマを乗り越えたか、という事例が面白かった。「合理的なのに愚かな戦略」を立てたり、「失敗から『学んだつもり』の経営」にならないためにも本書が有効だ。(評価A)

「大統領のリーダーシップ」(ジョセフ・S・ナイ)

  • 「スマート・パワー」の提唱者で、かつて駐日アメリカ大使の候補として名前の挙がった著者が、アメリカの歴代大統領のリーダーシップスタイルを分析し、解説している。必ずしも変革型リーダーシップ礼賛になっていないこと、民主党に近い著者がジョージ・W・H・ブッシュ氏に対する評価の高さなど以外な部分もあるが、納得できる内容だ。日本で同様の分析をしたらどうなるだろう?(評価A)

2014年11月9日日曜日

レッズに敗戦。ホーム200勝はまたお預けに・・・

11月3日のレッズ戦。お互いに決め手を欠いた試合だったが、最後には「個の力」の差が出てF.マリノスは0対1で敗戦。順位は10位のままとなった。ファビオのボランチは良かったが、俊輔が15分で退いた後は攻撃に見るべきところはなし。ある意味で今年典型的な試合と言えるだろう。残留は決まったし、上位にも行けない状態であと3節。さて、この「中断期間」をいかに使い、残り試合をどのように戦うべきなのだろう?勿論3戦3勝で一つでも順位を上げるという考えはあるが、俊輔抜きの布陣の本格テスト、ボンバー・栗原・ファビオの3バック、喜田の起用など来季を見据えた試合も見てみたい。ただ、ホーム最終戦のアルビレックス戦については、観戦予定でもあるので、結果にこだわり、昨年同じくホーム最終戦で優勝を阻まれた相手にリベンジしホーム通算200勝を達成して欲しい。

今年最後の代表戦2試合に臨むメンバーが発表され、遠藤、今野、長谷部、内田が復帰した。この2試合は勝負に拘るということで、「ザックジャパン」復活祭となるようだ。メンバーが同じでも新たなコンセプトが示せるのか?それとも元にもどるのか?オーストラリア戦はアジアカップの予行演習として興味深い。

錦織はツアーファイナルに向け調子を戻してきたようだ。(録画でパリ・マスターズの映像を少しだけ見たが、サーブが入らないし、酷い状態だった。逆にそんな状況でもマスターズで準決勝まで勝ち上がれるというのは真に実力がついた証拠だ。)ツアー・ファイナルのラウンドロビン初戦は過去全敗でかつ「ホーム」のマレーが相手だが、今年は様々な壁を越えてきた錦織なので、大いに期待したい。

久々にDukeネタ。フットボールは昨年の勢いそのままに、ここまで8勝1敗でランキングトップ25に上がってきた。残りは3試合。今季もぜひボウルゲームに出て、今度こそは勝利を飾って欲しい。一方バスケットボールは有望な新人が揃って、プレシーズンランキングは4位につけている。今月中旬にはシーズンが始まるのでこちらも楽しみだ。

読了:
「組織が動くシンプルな6つの原則」(イヴ・モリュー、ピーター・トールマン)

  • リエンジニアリング・リストラクチャリングといった経営への「ハード」アプローチも、チームビルディングのような「ソフト」アプローチも組織力を向上させる事はできない。著者らが属するBCGは①従業員の行動を理解し、②協働の要をみつけ、③権限の総量を増やし、④助け合いを仕組化、さらに⑤その結果をフィードバックして、⑥助け合った人に報いる、という6つの原則からなる「スマート・シンプリシティ」を提唱している。実行した改革を定着させるには良いアプローチだとは思うが、やはり「ハード」アプローチの必要性は変わらないのではないか、と感じた。(評価A)

「合理的なのに愚かな戦略」(ルディー和子)

  • 「顧客志向」、「プライシング」、「ブランド」、「コミュニケーション」、「経営戦略」、「イノベーション」。いずれも日本企業が実は苦手な分野であるということが現実の失敗例を踏まえ説かれている。経営者が論理的な意思決定・判断をしていないことが究極的には問題の本質と考える著者の主張は素直に耳を傾ける価値がある。(評価A+)

「英エコノミスト誌のいまどき経済学」(サウガト・ダッタ)

  • エコノミスト誌に2008年のリーマンショック前後を中心に掲載された記事が収録されている。「いまどき」というには少し時間が経ってはいるが、マクロ経済学、ミクロ経済学、行動経済学など研究者がいかに現実の世界に起きている出来事を理解しようとしているかが分かり易く解説されている。かつて毎週読んでいた記事なので懐かしさもあった。(評価A)
「ソロモンの偽証」(5)(6)
  • やっと読了した。途中で結末が見えていたが、それでも最後まで飽きずに読むことができたのは著者の技だ。特に学校内裁判については毎日当事者一人の視点から進展が語られているというのは面白い手法だと感じた。文庫版に「オマケ」として収録された中編で主人公の20年後が描かれており、こちらも成程と思わせる内容だった。(評価A)
購入:
「ゴースト・スナイパー」(ジェフリー・ディーヴァ―)、「売国」(真山仁)

2014年11月1日土曜日

10位に逆戻り・・・錦織また快挙

F.マリノスはセレッソとスコアレスドロー。勝ち点は44になったが、また「定位置?」の10位に逆戻りしてしまった。全般に(マリノスよりもっと)出来の悪いセレッソを押してはいたが、俊輔のシュートが枠に飛ばず、後半藤本のヘッドはキーパーのナイスセーブに防がれてしまった。結果的に残留争いを面白くするのに一役買っただけで前節は終了してしまった。次は3日のレッズ戦。こうなったら首位いじめで優勝争いも面白くさせよう!あと4戦は来季につながるような戦いを期待します。(というか、こうしか言えないのが実態だということだ。)

錦織圭がパリ・マスターズ1000で準決勝に進出。ついに自力でマスターズ・ファイナルへの出場権利を獲得した。試合内容については伝聞でしかないが、初戦から3試合続けてフルセットまで行っているので、必ずしも調子は良くないのだろう。それでもロブレド、ツォンガ、フェレールを破っているということは、錦織が本当のトップ選手になった証拠だと思う。次は準決勝ジョコビッチ戦。またハードルは上がるが、この大会で優勝すればバブリンカを抜いて世界ランキング4位になれる。上にはジョコビッチ、フェデラー、ナダルしかいないという状態だ。ファイナル出場で安心することなく、更なる高みを目指して欲しいし、その実力は備わった!

読了:
「熟断思考」(籠屋邦夫)

  • ダニエル・カーネマンが「ファスト&スロー」で説いたスロー思考の手引きといった一冊。著者はスタンフォードで意思決定理論を学び、マッキンゼーやStrategic Decision Groupでコンサルティング実務でそれを応用してきた。ロジカル思考の限界を如何にして超えるのか、感覚というか主観的な価値観にも配慮している点で、「後悔しない」意思決定が可能となるというのが面白い。(評価A)
「戦略思考ワークブック【ビジネス篇】」(三谷宏治)
  • 営業・販売、サービスといった専門分野から事業戦略・ビジネスモデル、さらにオフィスワークまで、著者の「重要思考」モデルが応用できることを20の質問を考えることで訓練していく。AC時代プロジェクトでご一緒させていただいた頃、三谷さんが本書のように分かり易い言葉と見やすいスライドで、本質に迫っていたのを思い出した。(評価A)
「60分で名著快読 クラウゼヴィッツ『戦争論』」(川村康之)
  • クラウゼヴィッツの「戦争論」について、その内容の解説だけでなく、ナポレオン戦争などの時代背景、一時ロシア軍に入隊していたという事などクラウゼヴィッツの一生、内容が誤解されてきた歴史と更に近年の再評価まで、本書を読むと理解が一層深まる。(評価A)
「ビジネススクールで身につける会計力と戦略思考力 ビジネスモデル編」(大津広一)
  • ユニクロ、しまむら、三越伊勢丹3社の決算書比較から始まって、ビジネスモデルによってキーとなる財務指標が異なること、逆に「業種」が違ってもビジネスモデルが近ければ決算書が似てくることなど、本書を読むとビジネスパーソンが身につけるべき「会計力」の中身が明確になる。(評価A)
購入:
「ソロモンの偽証」(5)(6)(宮部みゆき)、「なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか?」(久世浩司)、「国家の暴走」(古賀茂明)

2014年10月26日日曜日

2連勝で定位置から脱出

F.マリノスは先週末のエスパルス戦に続き、ミッドウィークのアルディージャ戦にも勝利。勝ち点43でやっと定位置だった10位から8位へとランクアップした。

前節に続き、降格を逃れようと必死のチームと目標が作れないF.マリノスの対戦だったが、アルディージャ戦ではここのところ深刻な得点不足だったのがウソのような攻撃を見せた。珍しい撃ち合いは俊輔の2アシストで佐藤・藤田が決めて3対2で逆転勝ち。NACKスタジアムでの初勝利というオマケまでついた。今節も下位に低迷するセレッソが相手。しかもここのところ勝てていない「苦手」でもあるが、「平等に」勝ち点3を加えて欲しい。怪我人続出に対応する苦肉の策で兵藤がボランチに入ったことで、攻撃にメリハリがついてきている。フィニッシュも改善の気配があるので、俊輔が直接FKで得点を決められれば賞金圏内確保が可能になってきた。

読了:
「ソロモンの偽証」(4)(宮部みゆき)

  • 学校裁判開始に向け、少しではあるが「真実」が見えてきた。新聞によると文庫版には主人公たちの「その後」が追加されたとのこと。そちらも含め楽しみだ。
「Thinkers 50マネジメント」、「Thinkers 50ストラテジー」(ともにスチュアート・クレイナー、デス・ディアラブ)
  • 世界で最も影響力のある経営学者&経営者を毎年ランキング形式で発表しているThinkers 50(ちなみに2013のランキングはクレイトン・クリステンセンが第一位)が各分野の発展の歴史と最新理論をまとめたシリーズの翻訳。著名な学者(中には日本では知られていない人、例えばHypercompettionのリチャード・ダベニなどもいる)へのインタビューを通じ、著書の裏側が少しではあるが理解できる。Leadershipなど他の本の翻訳も期待する。(評価:ともにA)
「ブランド論」(デービッド・アーカー)
  • ブランド論の第一人者アーカー教授が自らの著書のエッセンスを20のポイントとして纏めた一冊。ブランドをどのように資産化し、顧客にとりRelevantなものと育て、拡張するか、アメリカだけでなく各国企業の実例を交えて解説している。(評価A)
「Zero to One」(ピーター・ティール with ブレイク・マスターズ)
  • 「Pay Palマフィア」と呼ばれ、その後You Tube、テスラ・モーターズなどの企業を立ち上げてきた起業家の中心人物である著者がスタンフォード大学で行った講義録。ゼロからワンを生み出すことに挑戦することの重要性、そのために何が必要か、起業後に注意すべきことなどなどが自身の経験から説かれている。内容は万国共通だ。(評価A)
購入:
「キャズム2」(ジェフリー・ムーア)、「組織が動くシンプルな6つの法則」(ボストン・コンサルティング・グループ イヴ・モリュー、ピーター・トールマン)、「大統領のリーダーシップ」(ジョセフ・S・ナイ)、「フラッシュ・ボーイズ」(マイケル・ルイス)、「経営の失敗学」(菅野寛)、「How Google Works 私たちの働き方とマネジメント」(エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル)、「合理的なのに愚かな戦略」(ルディー和子)、「現場論」(遠藤功)、「英エコノミスト誌のいまどき経済学」(サウガト・ダッタ)

2014年10月18日土曜日

ブラジル戦・・・U-19・・・F.マリノス勝つには勝ったが、また1対0

フル代表のブラジル戦は良い所なく、結局ネイマールの引き立て役に終わった。4試合で1勝1分2敗となったことに加え、ブラジル戦で「ベストメンバー」を出さなかった事で、早くもアギーレ批判が始まっている。ブラジル戦の交代カードの切り方を見て、この監督は攻撃の引き出しが少ないのではないか、と不安になったのは事実だ。11月の2試合でも新戦力探しをしているようでは、アジアカップ連覇は厳しい。アジアはそんなに甘くない。

そのアジアでの闘いに参加していたU-19代表は南野の活躍で韓国に勝って希望を繋いだが、準々決勝で北朝鮮にPK戦負け。4大会連続でU-20ワールドカップ出場を逃した。前回書いたことを繰り返すつもりはないが、このまま育成世代が世界大会を逃し続けるようなら、フル代表のW杯連続出場にも早晩黄色信号が付くだろう。サッカー協会が一刻も早く根本的な対策に乗り出さないと手遅れになる。どこまで危機意識を持っているのか?覚悟を示してもらいたいと思うのは私一人ではないはずだ。

F.マリノスは代表ウィークにカップ戦がなかったため2週間ぶりのエスパルス戦となった。結果は藤本のシュートがディフェンダーに当たりコースが変わったというラッキーな1点で、9月23日以来の勝利を挙げた。ただ、シュートが枠にさえ行けば、というシーンがいくつもあり、フラストレーションが解消するような訳にはいかなかった。どんなに精力的にボールをチェイスし、チャンスを作っても、ゴールという結果がなければムダになるのがサッカーです。プロなんだから、もっと正確に蹴れるよう練習しましょう!これで勝ち点が40になったので、まず残留は確実になった。次は賞金圏内を目指しましょう。

読了:
「ハーバード・ビジネス・レビューBEST10論文」(Diamondハーバード・ビジネス・レビュー編集部)

  • クリステンセン、ドラッカー、キム&モボルニュ、コッタ―、ポーター、ミンツバーグ、ハメル&プラハラードなどの執筆陣は確かにBest 10と呼べるメンバーだ。また、全て読んだことのある論文だが、今読み返しても改めて考えさせられた。しかし選ばれている論文は必ずしも「代表作」ではないし、もっとインパクトのある論文集が作れたのではないかと思うと残念だ。(評価A-)
「エッセンシャル版 ミンツバーグ マネジャー論」(ヘンリー・ミンツバーグ)
  • 上の論文集に掲載された「マネジャーの仕事」から約40年。ミンツバーグは今でもマネジャーの重要性を誰よりも考えているのだ、と本書を読んで感じた。本書ではマネジメントの多様性、マネジャーの抱えるジレンマなどが29人の様々な階層のマネジャーの実例から解説されていて、明日からの役割を考え、実践するのに大いに参考となった。(評価A)


2014年10月11日土曜日

A代表ジャマイカ戦

アギーレに代わって3戦目のジャマイカ戦。日本はオウンゴールの1点どまりだったが新体制での初勝利となった。先月の2戦で4失点と問題のあったディフェンスは、長友の考えられないミス以外は無難な出来。相手が弱かったこともあるが、森重と塩谷のCFに細貝のアンカー、更にGKの西川は合格点だろう。MFでは細貝に加え柴崎が不動の位置を獲得した。香川も後半は良かったが、脳震盪の影響もあってか、決定機を外したのはマイナス。一方FWは全員追試。本田はシュートを打つも判断がイマイチ、岡崎も同様。柿谷は見せ場作れず、このままでは11月は呼ばれないのでは?ブラジル戦にだれが使われるかでアギーレの評価が分かるだろう。

代表ウィーク前のサガン戦を落としたF.マリノスはここしばらく10位のまま。ラフィーニャのケガが長引き一時帰国という中で、5試合でPK1得点どまりの攻撃陣では残り6戦で賞金獲得圏内まで這い上がるのはほぼ不可能だろう。現実的な目標が一試合も早い残留確定とは・・・、何とも情けない・・・

U-19はW杯出場はおろか、アジア予選グループリーグ敗退の危機にある。(先ほど終了した格下のベトナム戦もロスタイムの2得点で辛うじて勝つという状況だった。)この状況はクラブレベルにおけるACL敗退と同様に、近い将来日本サッカーの地盤沈下をもたらしかねない。リーグ戦でアンダー世代の出場枠を設けるなど試合経験を積ませることは勿論だが、精神力の弱さはどうやったら克服できるのだろう?先日ニュースで見たシンクロの井村コーチのような人(=昔いた「鬼コーチ」のように厳しいが、ちゃんと理論を学んでいるし、愛情に溢れている人)が必要なのではないか?「若いからこそ無理をする。100%の力を出すことで満足するのではなく、常に120%を出す。」という教えが、復帰から半年という短い期間で選手たちの体型からして見違えるような逞しさを生んでいた。実際アジア大会では中国に僅差まで迫るという結果にもつながっている。個人スポーツであるが、テニスの錦織圭にとってのマイケル・チャンも同じような存在だ。基礎練習の反復が体力・精神力を鍛え、今やトップ5に手が届く位置まで上がってきた。この先サッカーで世界一を目指すのであれば、A代表だけでなく、アンダー世代からこうしたコーチを、国内にいないのなら海外から呼んできてでも立て直すべきではないのか?

読了:
「不祥事は、誰が起こすのか」(植村修一)

  • 最近の日本企業の不祥事での第三者委員会報告書の記載を基に、それらが起こるメカニズム、特に企業文化に焦点を当てて解説、また、不祥事を予防するためのポイントについて説いている。人間は弱いものである、ということを前提に考える事がいかに大事か。上に立つものほど高い倫理観、インテグリティが求められるのだということを再確認しなければならない。(評価A)

「ビジネスモデル全史」(三谷宏治)

  • 「経営戦略全史」に次ぐ1冊。ビジネスモデルとは何ぞやについての著者の定義を踏まえ、古くはイタリア・メディチ家や三井越後屋から始まり、最近の企業まで、ビジネスモデルがどのように革新してきたかがまとめられている。ビジネスモデルを革新するために必要なリーダーシップ、企業文化などが説かれている最終章は素晴らしい。本書もベスト経営書の有力候補だろう。(評価A+)

「グッドワークス!」(フィリップ・コトラー、デビッド・ヘッセキエル、ナンシー・リー)

  • 昔ながらの寄付から最近よく耳にするコーズ・リレイテッド・マーケティングまで、企業がいかにして社会的責任を果たすのか、アメリカ企業中心に成功事例がどのような点に留意して実践されているか、落とし穴は何かといった点がまとめられた実践ガイド。社会との共存なくしては企業経営が成り立たない時代だということが良く分かる。(評価A)


購入:
「ビジネススクールで身につける会計力と戦略思考力ビジネスモデル編」(大津広一)、「60分で名著快読 クラウゼヴィッツ『戦略論』」(川村康之)、「戦略思考ワークブック【ビジネス編】」(三谷宏治)

2014年10月4日土曜日

不満&不安なアジア大会の結果

アジア大会のサッカーは前回期待した結果を得られなかった。U-21で臨んだ男子は準々決勝で地元韓国に敗れ、また国内組のなでしこは決勝で北朝鮮に完敗し男女とも連覇を逃してしまった。

男子は「リオ五輪予選突破」が目標とはいえ、イラクに勝てず、韓国にも防戦一方では先が思いやられる。特にしばらくU-20W杯出場を逃している中、若手の国際経験のなさが心配だ。予選では「各チーム1名」などど言ってはいられない。協会とリーグは一体になり、勝ち点の補償も含め真剣に考えなければならない。

なでしこの方がまだ希望がある。今回何人かの「若手」は代表として定着可能だということが証明されたのではないか。しかし来年のカナダW杯で連覇を狙うには大儀見や熊谷など海外組がいなければ厳しいということも現実として突きつけられた。ベテラン依存が続くようでは「その先」はない。若手の奮起を期待する。

F.マリノスは今節サガンとのアウェー戦。小椋、齋藤の故障はあるが、俊輔が戻れそうなので、監督交代後苦しんでいるサガンには勝って、取りあえず残留圏内を確保して欲しいところだ。

読了:
「ソロモンの偽証」(3)(宮部みゆき)

  • いよいよ学校内裁判に向けた準備が始まった。まだまだ紆余曲折がありそうだ・・・
「競争戦略」(加藤俊彦)
  • 経営戦略の基本ロジックを明確にし、5フォースモデルを基にして業界構造を分析し大口顧客への依存度を下げる事、「買い手の買い手」のニーズまで把握する必要があることなど、、競争に勝つためにはどこに目をつけるべきかが明快に説かれている。新書ではあるが、内容が濃い一冊。(評価A)
「ハーバード流ソーシャルメディア・プラットフォーム戦略」(ミコワイ・ヤン・ピスコロスキ)
  • Facebook、Twitter、LinkdiInなどのソーシャルメディア自身は勿論、NikeやAmex、ハーバード・ビジネス・レビューなどの企業がソーシャルメディアを如何に自社の戦略に取り込んでいるかについて新たな分析フレームワークが提供されている。これまでの「リアル」の経営戦略をいかに進化させるべきか、一般企業にとっても有効な戦略論だ。タイトルがミスリーディングで本書の価値を下げているのが残念だ。(評価A)
購入:
「Thinkers 50 ストラテジー」(スチュアート・クレイナー、デス・ディアラブ)、「Thinkers 50 マネジメント」(スチュアート・クレイナー、デス・ディアラブ)、「熟断思考」(籠屋邦夫)

その他:
錦織圭の快進撃が続いている。マレーシアの優勝に続き、楽天ジャパンオープンでも決勝進出を決めた。臀部の痛みに耐えながらの闘いなので無理はして欲しくないが、ツアーファイナル出場への正念場なので、来週の上海マスターズまでは頑張って欲しい。

2014年9月28日日曜日

アジア大会は今後につながる結果が欲しい!

アジア大会。男子サッカーは決勝トーナメント1回戦でパレスチナに快勝し、準々決勝は地元韓国との一戦となった。リオ五輪は勿論、さらにA代表を目指したいのなら絶対に勝たなければならない。体を張って、PK戦でも何でも良いので突破してもらいたい。アンダー世代ではお馴染みの「準々決勝j韓国戦に負けW杯を逃す」というパターンを繰り返してはならない!

なでしこは香港に9対0で勝って準決勝ベトナム戦に進んだ。相手のGKがミスを連発してくれたので点差は割り引いて考える必要がある。自陣に引きこもっている相手にサイドからクロスというのは分からなくもないが、精度が低く、ワンツーで中央突破という形を交えないと厳しいだろう。ただ、ミドルシュートの本数がそれなりに多く、フィニッシュの意識が高かったのは良かった。こちらは来年のW杯連覇が目標なので、決勝(恐らく北朝鮮戦)で欧州組抜きでも楽勝というのが求められる結果だ。

F.マリノスは前節サンフレッチェに勝利したが、得点力不足は変わらず、今節ヴァンフォーレとはスコアレスドローに終わった。結局今週も10位のまま残り試合が減るだけ・・・今後上位および降格争いのチームと戦うことが多い中、どうモティベーションを保てるか???

読了:
「オーガニゼーションズ」(ジェームズ・S・マーチ、ハーバート・A・サイモン)

  • 「現代組織論の原典」というサブタイトルが示すように、組織研究の上で大きな意味のある1冊。古典的な組織論の問題点を明らかにし、構成員個人の行動と組織との関係などが説かれているが、如何せん難解だった。翻訳を手がけた高橋教授自身が認めているくらいなので、一般の読者には難解なのは当然だろう。(評価A)

「隠れたリーダーはなぜ『立ち止まる』のか」(ケヴィン・キャッシュマン)

  • 「U理論」にも通じるところがあると思いながら読んでいると、やはり言及されていた。また、スティーブン・コヴィー博士のリーダーシップ論のように、自分自身を内省し、高めていくことが出発点とされるインサイド・アウトのアプローチが取られている。いったん立ち止まり、本質をとらえる努力をすることが重要ということを再認識させられる。(評価A)

「逆転!強敵や逆境に勝てる秘密」(マルコム・グラッドウェル)

  • "David and Goliath"というタイトルをAmazonの洋書で発見し、原書を読むかどうか迷っていたが、待望の翻訳が出た。ゴリアテが先端巨人症だったという最新学説も面白いが、本書は土俵をどのように設定し、相手をいかに自分のペースに引き込むのかなど、弱者がどうしたら勝てるか、また、障害や逆境を乗り越えた人のエピソードを通じ、「常識にとらわれない」ことの意味を説いている。それにしても毎回面白い題材を見つけてくるものだと感心するほかなかった。(評価A+)
購入:
「競争戦略」(加藤俊彦)、「ソロモンの偽証」(3)(4)(宮部みゆき)、「ブランド論」(デービッド・アーカー)、「エッセンシャル版 ミンツバーグ マネジャー論」(ヘンリー・ミンツバーグ)、「「ハーバード流ソーシャルメディア・プラットフォーム戦略」(ミコワイ・ヤン・ピスコロスキ)、「ビジネスモデル全史」(三谷宏治)、「グッドワークス!」(フィリップ・コトラー、デビッド・ヘッセキエル、ナンシー・リー)、「ハーバード・ビジネス・レビューBEST 10論文」(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部編)、「不祥事は、誰が起こすのか」(植村修一)、「Zero to One」(ピーターティール)

2014年9月20日土曜日

アジア大会開幕。F.マリノスは連敗。

アジア大会が開幕。サッカーは男女とも前回に続く金メダルを目指しているが、どちらも前途多難だ。男子はイラクにまたも敗戦。予選リーグ2位通過が予想される中でいかにチーム一丸となって戦うことができるか。女子は日程調整の失敗で初戦中国とスコアレスドローに終わり、得失点差争いをせざるを得なくなった。こうした試練を乗り越えて金メダルが取れればチーム力向上になり、次の目標(リオ五輪、2015W杯)への大きなアセットができる。日の丸を背負う責任をしっかり果たして欲しい。

F.マリノスはアウェーでアントラーズに完敗。これでナビスコカップ準々決勝から通算4連敗となってしまった。榎本がPKを止めたのでスコアこそ0対1だが、相手のシュートを浴びる一方でシュートゼロ(公式記録では1本というが・・・)に完封され、前節以上に全く点を取れる気がしなかった。アントラーズの守備は確かに良かったが、俊輔がズルズルとポジションを下げてフォワードの伊藤と距離が開き、かといってそこを埋める選手もなく・・・アタッキングサードに入った回数は数えるばかりで、横パス&バックパスの数だけが徒に増えていった。ラフィーニャが復活したのが唯一の明るい材料では・・・順位は変わらないが、レッズとの勝ち点差はついに17まで広がった。本人たちはどう考えようと、第三者の目にはチームの状態は最悪に映る。前回書いた通り、このままでは降格争いに巻き込まれるところまで行きかねない。選手の奮起を促すにはショック療法が必要だ。

(余談)レイソルのネルシーニョ監督が今シーズン限りで退任するという。F.マリノスの弱点を一番分かっていたネルシーニョは来季監督にベストだと個人的には考える。

読了:
「ソロモンの偽証」(1)(2)(宮部みゆき)
  • 「火車」以来久々に読んでいる。主人公はじめ登場する中学生の心理描写が丁寧なのでページ数が多くなるが、それもこの先の伏線なのだろう。様々な事件を受け主人公の「決意」がどこに進むのだろうか?来週末に(3)、(4)が刊行されるので楽しみだ。(評価は全巻読了後まで保留)

「名家老たちの危機の戦略・戦術」(加来耕三)
  • 直江兼続や片倉小十郎、渡辺崋山といった「有名な」家老、二宮尊徳のように有名だが功績は知られていない家老、更には一般には無名な名家老(迷家老含む)が、内紛や財政危機という共通の課題にどのように取り組んだかが分かる。危機におけるリーダーと参謀の役割分担という点では現代日本の企業経営にも通じるところがある。(評価A)

2014年9月14日日曜日

A代表ベネズエラ戦、F.マリノスは連勝ストップ、香川復帰戦でゴール

A代表(監督が主役ではないのでアギーレジャパンとは呼ばないでA代表で行く)のベネズエラ戦は2対2のドロー。全般にはウルグアイ戦より戦えてはいた。新戦力の武藤と柴崎がゴールを挙げたのは収穫だし、得点場面以外でも前半終了間際の柿谷のシュートなどカタチが作れた場面もあった。一方で守備はまたもミスから2失点。監督が監督なら水本も川島も今後招集されない位のエラーだ。アギーレ本人も言っているようにアジアカップのメンバー決定は11月のオーストラリア戦までかかるだろう。個人的には、森重はやはりCB、細貝をアンカーに「戻して」戦った方が守備が安定するように思う。来月どんなメンバーが試されるのか興味深い。

F.マリノス対グランパス戦は約4か月ぶりの生観戦だったが、相手の速攻に良いようにやられ0対2の完敗。観戦時の連敗が4に広がってしまった。ラフィーニャのいない攻撃陣はアタッキングサードで工夫がなくシュートを打たない。エリアの外からのシュートは枠を大きく外れ、セットプレーも俊輔のキックに精度を欠いてクリアされるだけ。唯一齋藤のシュートがサイドネットに当たった時だけ盛り上がった。(バックスタンド側からは入ったように見えたので・・・)試合後にブーイングが出るのは当然という体たらくだった。
 一方のグランパスは高い位置からボールに寄せてきて、こちらの不用意な横パスをカットする場面もあり、川又と永井がフルスピードでゴールに迫ってきた。このため闘莉王が無理に上がることもなく、守備に専念できるくらいだった。闘莉王についてはピッチ上で良く声を出していたのが印象的で、おとなしいマリノスと好対照だった。また、川又については昨年もやられており、中断期間中にどれだけ本気で獲得にいったのか、今更ながら悔やまれるくらいの出来だった。
 これでリーグ戦の連勝が3でストップ、ナビスコカップから3連敗となった。順位が下がらなかったのが唯一の救いで、個人的にはアルディージャやセレッソのようなショック療法をしないと降格争いに巻き込まれてしまう位の危機だと考えている。この体制のままなら、もう今季はスタジアムに足を運ぶのを止める。

香川がドルトムント復帰戦でいきなりの1G1AでMOMに選ばれた。10月には代表に戻るだろう。


読了:
「マックス・ウェーバーを読む」(仲正昌樹)

  • 教養書として多くの著名人が挙げる「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」をはじめ、「職業としての政治」や「職業としての学問」などウェーバーの主要著作が分かり易く解説されている。STAP細胞を巡る問題についても「職業としての学問」との関係で語られているところがユニーク。一度読んだ著作について再確認する項目が多かった。(評価A)
「仕事に役立つ経営学」(日本経済新聞社編)
  • 気鋭の経営学者により、各領域の最新理論が現実の経営課題と如何に向き合っているかが紹介されている。企業の経済学(淺羽茂)・事業立地戦略(三品和広)・戦略イノベーション(楠木建)および組織開発(金井壽宏)の4章は著作にも馴染のある筆者によるもので、それぞれの理論を再確認することができたし、ダイバーシティなどまさに「旬」な経営課題の解説は新鮮だった。(評価A)
「経済を見る3つの目」(伊藤元重)
  • 鳥の目、虫の目、魚の目。語呂合わせのような3つの「目」だが、マクロ経済学、ミクロ経済学と経済政策史という3つの経済学分野とオーバーラップしている。本書を読むことで、日々の生活を送る上でどのような経済指標に注目していけば良いか等に加え、「幸せな老後を送るため」にも「先を読む」ことが大切であることを理解できる。(評価A)
「データの見えざる手」(矢野和男)
  • ウェラブルセンサ恐るべしだ。「職場の人間科学」(ベン・ウェイバー)でその存在を知ったウェラブルセンサであるが、日立で8年前から実装していたことは全く知らなかった。本書ではハピネスの測定や「運」の解明までウェラブルセンサによる観察から見えてくるものが紹介されている。ビッグデータと一括りにはできない新たな可能性を感じた。文書も分かり易かった。(評価A+)

2014年9月7日日曜日

錦織快挙! 新生?A代表は黒星スタート

全米オープンで錦織圭が日本人初のグランドスラム決勝進出を果たした。今朝から各局トップニュースになっている。開幕前は出場できるかどうかさえ危ぶまれていたが、組み合わせにも恵まれ3回戦まで体力を温存して勝てたこと、および4回戦と準々決勝の激戦を勝ちきった事が大きな自信になっていたようだ。ジョコビッチとの準決勝でも積極的に攻撃を続けて試合を支配した。これでトップ10に返り咲き、アジア人最上位の8位を確保した。更に優勝すればトップ5に入ることになる!油断することなく、グランドスラム優勝とランキングトップ5という二つの「史上初」を付け加えられるよう頑張って欲しい。

2か月ぶりのA代表はウルグアイに2対0で完敗、厳しい船出となった。相手の守備が固く、新戦力とW杯組の距離感が悪く、ゴール前での動きも少ないので点が取れる気配がしなかった。試合後「今回はW杯組を除外するためのテスト?」と思えたほどで、コートジボワール戦並みの酷さだった。宮本の冷静な解説とアナウンサーのやたらポジティブな実況との違和感がこの試合を現わしていた。武藤のミドルシュートだけが収穫ではまだ途は険しい。ベネズエラ戦はどんな事を試すのだろう?

F.マリノスはナビスコカップ第一レグでレイソルに敗れた。おまけに、栗原の退場に加え中町が骨折で全治4週間、もしかすると俊輔も故障で休養が必要かもしれない。ラフィーニャと齋藤が戻れるのか?やられっ放しは勘弁して欲しいし、出場する選手の奮闘は勿論期待するが、監督の差はいかんともしがたく、率直に言って第二レグの見通しは厳しい。(実際セカンドレグも1対3で完敗。残るタイトルはJ1のみだが、ここも「理論上可能だが・・・」というところまで追い込まれた!)

読了:
「日本人を縛り付ける役所の掟」(原英史)
  • 読み進むうちにだんだん腹が立つ1冊。政官財の癒着というが、財は必ずし企業とは限らない。既得権を持つと一般市民であっても「ヘンな規制」を受け入れてしまうというのがこの国のカタチなのだと改めて思った。おかしな規制についてきちんと根拠条文を示して解説している点が良い。最後の望みである特区が効果を出せないようだと、いよいよアベノミクス沈没も近い。しっかり監視しなければ。(評価A)
「第一次世界大戦と日本」(井上寿一)
  • 今から百年前の戦争は世界を巻き込んだ初の戦争という軍事的な意味合いだけでなく、政治・外交・経済・文化などあらゆる局面で日本に大きなインパクトをもたらしたということを再認識した。それは、日本が世界の主要プレーヤーとして本格デビューするきっかけでもあり、同時に破滅への途の始まり(終わりの始まり)でもあった。(評価A+)
「織田信長〈天下人〉の実像」(金子拓)
  • 「天下布武」の意味から始まり、定説を新たに見つかった史料から批判的に考察していくと、織田信長について全く異なった「実像」が見えてくる。自らが天下統一を狙うというより、天皇・朝廷の守護者として仕える姿は、従来の革命児ではなく他の戦国大名と同様のむしろ保守的なものだった。まだまだ論争を呼ぶテーマだろう。(評価A+)
「『失敗』の経済政策史」(川北隆雄)
  • 戦後から現在まで、特にバブル崩壊後約四半世紀の経済政策を検証しているが、ジャーナリストの手によるものなので、その「失敗」の評価は相当割り引いて考えなければならない。特に小泉改革の評価についてはステレオティピカルで、派遣割合の推移など引用しているデータも2003年以降のものだけを示すなど都合の良いものだけをピックアップしている。日本のジャーナリストのPoorな実力を示す一冊。(評価C)
購入:
「ソロモンの偽証」(2)(宮部みゆき)、「逆転!強敵と逆境や勝てる秘密」(マルコム・グラッドウェル)

2014年8月31日日曜日

開幕以来の3連勝

F.マリノスは苦手ベガルタにアウェーで勝利。俊輔のCKから栗原と下平がヘディングシュートを決めて今季開幕から以来となる3連勝となった。昨夜はラフィーニャと齋藤がケガのため欠場したことで、メンバーの入れ替えを余儀なくされたが、前節に引き続き中盤の出足が良く、高い位置でボールを奪取できていた。また、俊輔・兵藤・藤本も流動的にポジションを移り多彩な攻撃ができていた。順位は変わらず10位だが、この戦い方なら上位陣が相手でも互角の勝負ができるので、上位に食い込むことも可能だろう。後は決定力。こればかりはシュートを打ち続けるしかない。代表戦のためリーグは中断するが、ナビスコカップで昨年の雪辱戦が待っている。

購入:
「データの見えざる手」(矢野和男)、「名家老たちの危機の戦略戦術」(加来耕三)、「優れたリーダーは、なぜ『立ち止まる』のか」(ケヴィン・キャッシュマン)

2014年8月30日土曜日

代表メンバー発表

アギーレジャパンのメンバー23人が発表された。ブラジルW杯メンバーから11人が外れ、新顔として武藤(FC東京)・皆川(サンフレッチェ)・坂井(サガン。どうでもいい事だけどこれでサカイが3人!)・森岡(ヴィッセル)、松原(アルビレックス)が選ばれた。これから年内6試合を戦う中でアジアカップメンバーが決まってくるのだろう。まずはウルグアイ戦のピッチにどんなメンバーが立つのか見ものだ。

カップ戦での脳震盪の影響で代表辞退となった香川について移籍が決定的となった。移籍先候補としてドルトムント、バレンシア、スポルティング・リスボンといった名前が上がっていたが、古巣ドルトムントへの復帰となったようだ。どこに行っても今よりは使ってもらえるだろう。活躍してモイーズやファン・ハールを見返して欲しい。

読了:
「年収は『住むところ』で決まる」(エンリコ・モレッティ)

  • シリコンバレーなどサンフランシスコのベイエリア、ボストン、ローリー・ダーラムなどイノベーティブな企業が集まる地域の発展のメカニズムを明らかにし、一方で「モノづくり」の限界が説かれている。依然として「モノづくり」に固執する日本の「エスタブリッシュメント」には不都合な真実だろう。2年間過ごしたダーラムが発展しているという事実は嬉しかった。(評価A)

「『バカな』と『なるほど』」(吉原英樹)

  • 楠木建氏が著書で引用していた本が復刊。最初は「バカな」と思うが、よく考えると「なるほど」というのが競争戦略の要諦と説く本書が「ストーリーとしての競争戦略」に影響を与えていることが実感できた。本書は他にも様々なトピックを取り上げているが、多くは今でも参考になる。残念ながら初刊から25年経っても日本企業を取り巻く経営課題が変わっていないということだ。(評価A)

「現場力を引き出すリーダーの条件『オーケストラ型』マネジメント」(デイナ・アーディー)

  • タイトルがミスリーディング。オーケストラ型マネジメントに直接言及する箇所は少ない。本書は、経営環境変化に伴いリーダーシップスタイルも「ボス型」から「指揮者型」に変化すつつあることを説いており、新たなスタイルのリーダーが率いる組織がどのようなものになるかが明らかになっている。(評価A)

「ビッグチャンス」(冨山和彦)

  • アベノミクスの一時的な効果で「日本的経営で良いのだ」というガラパゴス的な論評が増えてきている中、著者は敢えて強いトーン(「クソ」サラリーマン会社といった挑発的な表現)で日本的経営の問題点を指摘している。内容自体は欧米企業では「当たり前」の事に過ぎないので違和感がない。日本の劣化、経済的な地盤沈下を防ぐための改革には最後で最大の機会だろう。(評価A+)
購入:
「仕事に役立つ経営学」(日本経済新聞社編)、「経済を見る3つの目」(伊藤元重)、「『失敗』の経済政策史」(川北隆雄)、「オーガニゼーションズ」(ジェームズ・G・マーチ、ハーバート・A・サイモン」、「ソロモンの偽証」(1)(宮部みゆき)

2014年8月25日月曜日

不祥事件(贔屓の引き倒し)

23日のフロンターレ戦は後味の悪いものとなった。せっかくの快勝が心無い輩(F.マリノスにもファビオとラフィーニャがいることを忘れ、ヨーロッパの阿呆なRacistのマネをした輩。サポーターとは決して呼ぶまい!)の行動で台無しとなって、まさに「贔屓の引き倒し」状態で「開いた口が塞がらない」。試合中から「人種差別行動がある」とツイートされており、中継でもしっかり映されていたことで、クラブが早く動けたのが唯一の救いだ。現時点(月曜夜)でクラブへの処分は未定だが、ホームページにある通りしっかりとした再発防止策を提示して欲しい。

2014年8月24日日曜日

天皇杯敗退。神奈川ダービー

水曜の天皇杯。F.マリノスはギラヴァンツによもやの逆転負けで連覇を逃した。放送がなかったので詳細が分からないが、シュートを外しまくり、延長後半最後で決勝点を許したのは肉体的にも精神的にもキツイ。ラフィーニャと俊輔がプレーしなかったのがせめてもの救い。

正直勝てそうな気がしなかったフロンターレとの一戦は、早いタイミングでのPKによる先制と、相手の退場による数的優位のお蔭で何とか勝ちきった。とにかくミッドウィークで見せた守備の破綻を起こすことなく、クリーンシートでリーグ戦連勝を飾れたのは良かった。上位がもたついているが、ACL圏内までは勝ち点差10と大きい。次節苦手のベガルタにアウェーでどういう戦いができるか、まだまだ厳しい状況は続く。

読了:
「孫子に経営を読む」(伊丹敬之)

  • 「経営学者(戦略論)が孫子の解説本を書くとこうなる」というのが正に本書の要約。経営の本質、将のあるべき姿、兵の情、戦略の神髄、戦略的思考とは、勢いは経営の肝という6つの章に孫子のエッセンスを再構成し実際の企業経営に如何に生かされているかが説かれている。「敵」=競合との戦いに勝ち抜いても、市場を制覇できるわけではないという点で、経営の難しさを考えた。(評価A)

「未来企業」(リンダ・グラットン)

  • 前作「ワーク・シフト」で未来の働き方がどう変わるか「予言」した著者が、本作では企業が未来に向け3つの領域(職場環境、地域・サプライチェーンに配慮した活動、グローバルな課題)においてレジリエンスを高めることが必要だと説く。この為にもやはりリーダーシップが如何に重要であるか、本書、特に最後の第6部を読みながら再確認した。(評価A)

「嫌われる勇気」(岸見一郎、古賀史健)

  • 日本において注目されてこなかったアドラー心理学を「ブーム」とした、ベストセラーランキング常連の一冊。若者と哲学者の「対話」を通じ、アドラー心理学のキーワードが説き起こされていく。読んでみて、「7つの習慣」のスティーブン・R・コヴィー氏らが影響を受けているということが良く分かった。(評価A)

「バカが多いのには理由がある」(橘玲)

  • 日本という国家、日本人の劣化について著者は「ファスト思考」ばかりで、課題を本質から考える「スロー思考」をしなくなったことに原因を求めているようだ。そうした観点で政治・経済・社会・心理という4つの領域から現在起こっているネタを切りまくっており、痛快な本だった。エピローグの2つのエピソードは日本だけでなく、世界中が「ファスト思考」偏重に犯されていることを示している。(評価A+)


購入&読了:
「逆転力 ピンチを待て」(指原莉乃)

  • アマゾンの「ビジネス書」カテゴリー第一位の本は、アイドル本とは思えない、良い意味で「まさか」の内容だった。働き方に関するレジリエンス、戦略論であるポジショニング理論およびケイパビリティ理論のいずれの観点からも学べる点が多い。サッシーはかなり凄腕のプロデューサーだということが分かる。難解な語彙を使わずここまでの文章を書けることにも感心した。また、この逸材を使いこなす秋元康の力を改めて実感した。(評価A)
購入:
「第一次世界大戦と日本」(井上寿一)、「マックス・ウェーバーを読む」(仲正昌樹)、「織田信長〈天下人〉の実像」(金子拓)、「日本人を縛り付ける役人の掟」(原英史)

2014年8月16日土曜日

久々の勝利。浮上のきっかけとなるか?

F.マリノスは今節アウェーでヴォルティスと対戦。ラフィーニャの2ゴールと俊輔のPKで完封勝利。J1再開後初勝利を挙げた。ラフィーニャが入ったことで俊輔のポジションが高くなり、全体に良いリズムで試合が進められた。前半齋藤が決めていればもっと楽になっただろうが、今日のところは勝利という結果が出たことを祝いたい。

完封勝利には小椋の貢献が大きかった。2点目に繋がったボール奪取はアッパレもの。惜しいシュートも放っていて調子の良さを随所に感じさせた。守備に関しては、セットプレー対策が学習効果が現れたようで、危うい場面は全くなかった。冨澤も戻ってきたし、次節のフロンターレ戦に向け好材料が揃いつつある。

気になるのは俊輔の状態だ。PKを決めたものの、FKとCKで一本ずつ明らかなミスキックがあり、その他つなぎでも珍しいミスがあったりして、全般にイライラしながらプレーしているような印象を受けた。体調に問題があるのであれば、思い切って藤本に任せるという選択肢も必要ではないだろうか。ミッドウィークの天皇杯も相手がJ2で好調のギラヴァンツなので、細部までしっかり対策を詰めて臨んで欲しい。

読了:
「海賊と呼ばれた男」(上)(下)(百田尚樹)

  • 一昨年の「本屋大賞」受賞作。初めて百田氏の作品を読んだ。出光興産創業者である出光佐三氏(作中では国岡鐵蔵)が如何に創業し、幾多の試練、とりわけ政官財癒着の護送船団行政やGHQからの様々な圧力、をどうやって乗り越えたかが描かれている。強大な敵に立ち向かうにあたり、金融機関や損保が果たした役割が描かれているところが珍しかった。また、子供の頃日本が世界一の大型タンカーを次々に造ることにワクワクした記憶が甦った。(評価A+)
「ブラックスワンの経営学」(井上達彦)
  • 前作「模倣の経営学」が良かったので期待したが、正直がっかりした。本書の内容は経営学における事例研究(ケーススタディ)の紹介が主だが、取り上げられたケースも簡単な要約に留まっていて中途半端だった。「世界の経営学者はいま何を考えているのか」とは比較にならない。タイトルの「ブラックスワン」は完全にミスリード。(評価B-)
"Accelerate" (John P. Kotter)
  • 企業変革に関する著作の多いKotter教授の最新作。企業が新商品開発・新市場開拓などの戦略を加速させる必要があるときには、Hierarchicalな公式の組織に加え、所謂プロジェクト型組織ではない、Network組織の活用が必要だということ、また、変革の8ステップはこうした点でも応用可能だということが事例と共に説かれている。(評価A)
「日本劣化論」(笠井潔、白井聡)
  • 今や死滅しつつある「リベラル」からの警鐘。日本人の敗戦の捉え方がアメリカに対する敗戦意識の一方で、中国・韓国には敗戦の意識がないこと、著者らの問題意識を通じてみると、蔓延する反知性主義や、安倍政権が向かおうとしている方向の問題点が一定理解できる。更に左翼の没落に関する説も興味深い。最近やたら「教養」に関する本が多いのも劣化論を通じてみると分かる気がする。(評価A)
購入:
「『バカな』と『なるほど』」(吉原英樹)、「現場力を引き出すリーダーの条件『オーケストラ』型マネジメント」(ダナ・アーディー)、「ビッグチャンス」(冨山和彦)

2014年8月9日土曜日

F.マリノスまた勝てず。

F.マリノスは前節ガンバに完敗。今節は日程的に優位なレイソル戦で2点を先制するも、CKから2失点してドロー。これで6試合勝ち星なし(サンフレッチェ戦は除くのでこの間2敗4分)という結果になった。この試合でも後半レイソルのネルシーニョ監督が次々にカードを切って流れを変えようとするのに対し、手をこまねいているうちに結局追いつかれてしまった。ラフィーニャは良かったが、いかんせん守備がこれでは・・・13位以下が勝ち点を伸ばせなかったので12位は変わらず・・・本当に上位を目指す気があるなら川又を取り、監督交代のカードを切る必要がある。

読了:
「エネルギー問題入門」(リチャード・ムラー)

  • NHK「白熱教室」シリーズでも取り上げられたUCバークレーの教授による「入門書」(原題"Energy for Future Presidents")は、マスコミで取り上げられる数々のエネルギー問題(福島原発事故やシェール・ガス、電気自動車等など)を物理学の観点から解説している。反原発論者などからは「不都合な真実」に見える部分もあるが、そうしたこと全てを理解することが”Future Presidents"には求められるのだ。その意味で本書は決して入門書とは言えない。(評価A+)
「『レジリエンス』の鍛え方」(久世浩司)
  • 近頃流行の「レジリエンス」。ビジネススクールの講義で新たな理論として聞いた記憶があるので、最初に考え方が出されたのは20年程前ではないか。本書はレジリエンスを高めるための技術7つを3つのフェーズに分けて解説している。自分が日常やっていることが、実はレジリエンス・トレーニングになっているということも認識した。(評価A)
「知の訓練」(原武史)
  • 副題にあるように日本にとっての政治の意味を説く大学講義の再録。天皇による時間の支配、各国の「首都」における広場の意味と東京の特徴、神道の宗教性、東京のアンチテーゼとしての大阪の成り立ちなど改めて言われると「なるほど!」と思うような部分が多く、知の訓練書として面白く読んだ。(評価A)
購入:
「日本の劣化」(笠井潔、白井聡)、「嫌われる勇気」(岸見一郎、古賀史健)

2014年8月2日土曜日

J1前半戦終了

先週末のグランパス戦で17節が終了。前半戦は勝ち点23で10位という成績は不満しかない。ACLを戦うというハンデはあったが、そちらも予選リーグ敗退なので、全く結果を残せなかった。再開後も先制点を許すケースが多く、一方グランパス戦のように先制しても勝ちきれなかった。補強の結果選手層が厚くなったにも関わらず、交代カードが有効に使えない。この状況が続くならエスパルスのような監督交代が必要になるのではないか。現状はそのくらいシリアスと見ている。

そんな中でのガンバ戦。パトリックと宇佐美が好調で、あっという間にF.マリノスを抜き去った。ホームでは勝てたが、もはや勝ち点3を計算できる相手ではない。リスクを取ってでも得点を取りに行くのか、守備を固めてカウンターか。いずれの場合でもラフィーニャがカギになるだろう。

読了:
「精神論抜きの保守主義」(仲正昌樹)

  • 従来から日本の「保守主義」が欧米のConservatismと全く異なることに気持ちの悪さを感じていたが、本書を読んでかなりスッキリした。著者はヒュームからハイエクまで6人の保守主義者の思想を解説し、その立場から最終章で日本の保守主義を批判的に説いている。カール・シュミットの「大地のノモス」に言及されており、大学時代に国際法の講義で悪戦苦闘しながら読んだ記憶が甦った。(評価A+)
「天下統一」(藤田達生)
  • 本書では室町幕府1573年滅亡説など従来の通説の問題点を明らかにし、信長・秀吉による天下統一を「革命」と捉えて解説している。本能寺の変を起こした光秀の動きにしても、京を追われた足利義昭が靹幕府として依然影響力を保持していたと考えるとより納得できる。ただ、こうした点を考慮しても、信長・秀吉の功績=革命は変わらない価値を持っていると思う。(評価A)
「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫)
  • 資本主義はフロンティアがあって始めて成り立つ。物理的にもバーチャルな空間にもフロンティアが消滅してきている中、資本主義は前提条件を失いその終焉を迎えつつある。著者は現在がかつえの「長い16世紀」の再来だと指摘する。ただ、資本主義終焉の後に何が来るのか、著者は答えを用意できていないし、中国を巡る分析など矛盾もあり、正直So what?だった。こちらにもカール・シュミットが登場していたのが面白かった。(評価B)
「難題解決の達人たち」(カール・オノレイ)
  • 経済・社会の難問はQuick Fixすることはできない。きちんとプロセスを踏んで根本原因をSlow Fixすることが必要だ、というのが本書の主張。トヨタのアンドン(カンバン方式)のメリットとそれを忘れたための凋落(品質の低下による大量リコール発生)が序章で触れられており印象深かった。著者の説くプロセスは極めて真っ当だが、それ故新たに学ぶところは少なかった。(評価A)
購入:
”Accelerate"(John P. Kotter)、「孫子に経営を読む」(伊丹敬之)、「ブラックスワンの経営学」(井上達彦)

2014年7月27日日曜日

Godzilla

Godzilla見ました。評判通りの面白さ。1954年オリジナル版をRespectしているというスタッフが手掛けただけあって、当時の水爆実験の映像に背びれが映っているというスタートをはじめ至る所にゴジラっぽさが満載だった。ローランド・エメリッヒ版が酷過ぎたせいかもしれないが、何倍も良いできで、エンディングから続編の制作意欲も感じられた。

F.マリノスはミッドウィークのヴィッセル戦で1対1の引き分け。ドゥトラのホーム最終戦ということで、どうしても勝ちたいところだったが、後半線続けたもののゴールが遠かった。勝ち点差で8位に浮上したものの、首位レッズとは勝ち点差が更に開いてしまった。再開後3試合で得点は5点取っているが、いずれの試合も先制点を献上しているのが気になる。決定力を嘆くより、ここを修正するのがマリノスっぽいのではないだろうか。今晩はアウェーでグランパスだ。

代表監督がハビエル・アギーレ氏に決まった。ブラジルW杯では、ザッケローニ時代の後半再三指摘されていた守備の弱さが放置され、結局根本から修正されないまま本番を迎え、予選敗退という結果になった。堅守速攻が得意というアギーレ氏には、強豪とやっても簡単に点を与えないような守備の構築から入って欲しい。初戦からウルグアイ、ベネズエラと日本が苦手としてきた南米勢との対戦になるが、結果に一喜一憂するのではなく、1月のアジアカップや更にその先を見据え、どんなメンバーを選び、どのようなサッカーを目指すのかを見ていきたい。

読了:
「イノベーションの最終解」(クレイトン・M・クリステンセン、スコット・D・アンソニー、エリック・A・ロス)
  • 2004年に刊行された"Seeing What's Next"の日本語訳。かつて「明日は誰のものか」というタイトルで出ていたが、翔泳社の手で改めて訳されたことで、「イノベーションのジレンマ」など他の日本語訳と整合が取れたものになっている。内容はDestructive Innovation"がどこでどのように起こるかを分析するための理論。初版から10年経過しているので、教育など著者が取り上げた業界で予言が現実のものとなっていることが分かる。(評価A)
「はじめる戦略」(ビジャイ・ゴビンダラジャン、クリス・トリンブル)
  • 「リバース・イノベーション」などの著者が、イノベーションを実行するためにマネジメントは如何に対応すべきか寓話の形式で説明したもの。ジョージ・オーウェルの「アニマル・ファーム」とジョン・コッタ―の「カモメになったペンギン」を参照にしているというが、その通り分かり易いものになっている。既存事業担当部門と新規事業担当部門をどう折り合わせるか、日本企業がイノベーションをモノにできない一つの問題であり、参考とすべき企業は多いのではないか。(評価A)
「プロフェッショナル・ファシリテーター」(ラリー・ドレスラー)
  • ファシリテーションのノウハウではなく、ファシリテーターが守るべき心構えを説いている点でユニーク。著者自身の経験(多くは失敗例)から学んだ教訓を正直に語っている所は共感が持てる。しかし、内容がミーティングのファシリテーションが中心となっているので、プロジェクト・ファシリテーションでどこまで活用できるかは疑問。(評価B)
購入:
「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫)、「海賊と呼ばれた男」(上)(下)(百田直樹)、「『レジリエンス』の鍛え方」(久世浩司)、「知の訓練」(原武史)、「エネルギー問題入門」(リチャード・ムラー)、「難題解決の達人たち」(カール・オノレイ)

2014年7月19日土曜日

J1再開

F.マリノスは15日のサンフレッチェ戦で逆転勝利、9位に浮上した。ACLの関係で未消化となっていたゲームはロスタイムの齋藤と伊藤のゴールで勝ち点3を獲得できた。齋藤のゴールはJ・ロドリゲスのようなワントラップ→反転→シュートで、W杯の鬱憤を晴らすようなものだったし、引き分けで良しとせず、栗原を上げてパワープレーを仕掛けたことが伊藤の決勝点につながった。

19日のセレッソ戦も柿谷・南野抜きの相手に先制点を許す展開。一時は齋藤の2戦連続ゴールで逆転したが、前節と逆でロスタイムにロングボールから同点とされて終了。9位は維持したもののレッズとの勝ち点差は10と開いてしまった。7月はあと2試合中3日でヴィッセル、グランパスと上位対戦が続く。他のチームより厳しいスケジュールの中で、昨日のようなモッタイナイ試合をしないようにするには、相変わらず遅すぎる選手交代を改める必要があるだろう。

読了:
「お金と感情と意思決定の白熱教室」(ダン・アリエリー)

  • 我がFuquaの名物教授が遂にNHKに登場。シリコンバレーで行った講義の再録で、内容は過去の著作とオーバーラップするが、改めて人間はそれほど合理的でない生き物だということを理解した。本書を入門書として行動経済学を勉強するというのがおすすめだ。(評価A)

「なぜ『異論』の出ない組織は間違うのか」(宇田左近、黒川清)

  • 元マッキンゼーのコンサルタントで、郵政改革に取り組み、福島原発事故の国会事故調査委員会に参加した著者が経験をベースに説いた組織論。前例主義、年功主義といった日本的な組織文化が、現在において如何に時代遅れで有害であるかが分かる。こうした習慣は官庁や郵政・東電だけでなく所謂大企業に広くしみついている。「オジサン問題」と共に日本の後進性の象徴だ。(評価A)

「選択の法則」(ショーン・エイカー)

  • IQもEQもSQも全てが必要。現実をしっかり見た上でのポジティブ思考が重要だということが説かれている。成功が約束されるか否かは別として、自分に最も価値ある現実を選択することや自分が力を発揮できるXスポットを発見すること、更にノイズを消去し、他者にポジティブな視点をInceptionするというステップは意識する価値がある。(評価A)

「ビジネスモデル分析術2」(望月実、花房幸範、三木孝則)

  • 前作に引き続き、同種の業務を展開するGlobal企業と日本企業とを戦略面、財務面などから対比し分析している。国内で有数の企業であってもGlobalのトップクラスと比べると規模が異なるのは勿論だが、その他の財務指標で見ても勝っている所がほとんどない。今回取り上げられた企業で、唯一世界で勝負できそうなのはソフトバンク1社というのが、日本企業の現実だと改めて感じた。(評価A)


購入:
「プロフェッショナル・ファシリテーター」(ラリー・ドレスラー)、「天下統一」(藤田達生)、「精神論抜きの保守主義」(仲正昌樹)

2014年7月12日土曜日

3度目の決勝 ドイツ対アルゼンチン

ブラジルW杯もいよいよ決勝。開催国を完膚なきまでに叩きのめしたドイツとオランダとの「神経戦」に勝ったアルゼンチンという86年、90年に次ぐ3度目の顔合わせになった。これまでのジンクスからするとアルゼンチンということになるのだが、今回のドイツは南米開催のハンディキャップを乗り越える可能性を持つチームだ。日程的にも有利だし、アルゼンチンは準決勝のような耐える形からメッシの一発という形でしか勝てそうにない。10戦したらドイツが7~8勝というくらいだろうが、そこは一発勝負。果たして結果はどうなるだろう。

F.マリノスは2か月ぶりの実戦。天皇杯でホンダロックFCと戦った。結果は3対0。ベガルタ、アントラーズ、ヴィッセルがGiant Killingされた中、中澤・俊輔らを温存しての勝利は意義がある。15日にはアウェーのサンフレッチェ戦。ここで勢いをつけて逆襲開始だ!

読了:
「法務の技法」(芦原一郎)
  • 普段仕事を一緒にしている著者から「べた褒め」を要求されているが、それを抜きにしても内容のある1冊と評価する。法務という切り口から「小技」のあれこれが紹介されているが、仕事の進め方はどうすべきか、実践的なリスクマネジメントのあり方とは、「困ったちゃん」顧客の対応方法とは、といった観点から整理できるノウハウ集にもなっている。最後に芦原さんの小説家としての才能にも座布団1枚!(評価A+)
「ビジネスゲームセオリー」(御立尚資、柳川範之)
  • 経営戦略とゲーム理論。コンサルタントと東大教授の経済学者とのやり取りを通じ、実際の戦略をゲーム理論ではどのように説明できるか明らかになっている。囚人のジレンマとかナッシュ均衡とかお馴染みの言葉はあるが、1対1の戦いが主として扱われるゲーム理論がどこまで実践に役立つだろうと疑問があったが、1社の行動をどう規定するかという観点でみれば有効だと再認識した。(評価A)
「職場の人間科学」(ベン・ウェイバー)
  • ビッグデータは職場の活性化、生産性向上にも活用できる。人間の行動を測定し、分析することを通じ、非公式な職場内コミュニケーションの重要性が証明できるという著者らのアプローチはアメリカにおいては勿論、日本企業であっても有効だろう。日本企業での勤務経験があるためか、日本企業の事例が多い。(評価A)
「経営参謀」(稲田将人)
  • 前作「戦略参謀」同様に小説の形を通じ、企業改革を阻む「憑き物」とは何か、どう戦うべきかが語られている。本書では加えて購買活動を捉えるRVAPSや、「価格」・「利便性」・「何か楽しいもの」という差別化の3要素といったフレームワークも紹介されているので、B-to-Cマーケティングの観点でも使える内容になっている。(評価A)

2014年7月5日土曜日

準々決勝スタート

日本代表の敗退から1週間余、問題点の総括はどうなったのだろう?新監督人事ばかりが先行していて、今朝は専務理事が離日し、アギーレ氏と交渉すると報道されている。オシム就任ですべてウヤムヤになった8年前とそっくりだ。大目標(2050年までのW杯制覇)を見据え、4年後(ロシアW杯)、6年後(東京オリンピック)、8年後(カタール?W杯)で何を目指すかを描き、そのために必要な人材=監督を選ぶというステップがあるべき姿だ。仮にアギーレ氏になるとしても、W杯予選終了までの契約とし、その段階できちんとあるべき姿とのギャップがないか評価する。そうした進め方ができないと、いつまでたっても強豪の仲間入りはできない。協会は説明責任を果たすべきだ。

W杯は決勝ラウンドに入り、奇しくも予選グループ首位通過の8チームが準々決勝に残った。準々決勝初日はヨーロッパ同士、南米同士の戦いになり、ドイツとブラジルが残った。ブラジルの試合は前半途中から生で見たが、グループリーグとは比べ物にならない激しい戦いだった。勝ち残ったブラジルだが、準決勝はチアゴ・シウバが出場停止、ネイマールも背中を蹴られ腰椎骨折で今後の出場は絶望的だ。残るメンバーが一丸となれるか?

F.マリノスはラフィーニャを獲得。ガンバの時どうだったか思い出せないが、マルキーニョスのようなタイプだろうか。Jを経験している強みを活かしてうまくフィットしてくれるよう期待する。いよいよ来週末の天皇杯から再開だ!


読了:
「天体衝突」(松井孝典)

  • 昨年チェリャビンスクでの隕石落下は人類史上エポックメーキングな出来事だったという。恐竜の絶滅が天体衝突によるものとされるが、最近の学説ではそもそも地球に生命が誕生すること自体に天体衝突が関わっているらしい。世界中の人がビデオを通じ目撃したチェリャビンスクの隕石を研究することで、更に多くの進展がみられることを予感させる。(評価A)

「生命誕生」(中沢弘基)

  • 著者は生命の宇宙起源論に関わる問題を指摘し、科学的な実験を通して地球起源で生命が誕生することを証明しようとする。海から誕生したという通説を否定し、地下で発生したという立場からアミノ酸生成まで成功している。生命の起源ではないとする説においても天体衝突が重要な役割を果たしていることが面白かった。(評価A)

「なぜローカル経済から日本は甦るのか」(冨山和彦)

  • グローバル経済に直接かかわる企業が一部で、大多数の企業(主としてサービス業)はローカル経済の中で存在している。これら2つの経済モデル(GとL)を明確に区別すべきという著者の考え方は通説には反するだろうが、自らバス会社グループを運営する実践に基づいたものであり、一考の価値がある。地方再生を考える上で参考とすべきだろう。(評価A)

「サイエンスの発想法」(上杉志成)

  • 京大教養学部の人気講義の書籍版。アイデア発想法の定石SCAMPER(Substitute, Combine, Adapt, Modify/Magnify/Minify, Put to other uses, Eliminate, Reverse/Rearrange)が具体例と共に紹介されているが、まさにサイエンスの発想法であり、ビジネスにも十分役立つものだ。 人気講義だということが良く理解できた。(評価A)
購入:
「イノベーションの最終解」(クレイトン・M・クリステンセン、スコット・D・アンソニー、エリック・A・ロス)、「はじめる戦略」(ビジャイ・ゴビンダラジャン、クリス・トリンブル)、「ビジネスモデル分析術2」(望月実、花房幸範、三木孝則)、「お金と感情と意思決定の白熱教室」(ダン・アリエリー)、「なぜ『異論』のない組織は間違うのか」(宇田左近、黒川清)、「選択の法則」(ショーン・エイカー)

2014年6月28日土曜日

GL敗退を受けまずはしっかり総括を!

まさにデジャヴ。絶対に勝たなければならないという状況でコロンビア相手に撃ち合いを挑んだ結果は1対4と惨敗。グループリーグ3戦目にしてこの大会で一番良い試合をしたが、世界トップクラスのチームには、たとえ相手が一軍半であっても、大舞台で勝つことはできなかった。岡崎のゴールで前半終了間際に追いついたが、後半ハメス・ロドリゲスの登場で一気に差が出てしまった。残念ながらここが日本の現在地なのだろう。ザッケローニの4年間はアジアカップの優勝や、(親善試合とはいえ)アルゼンチン、フランス、ベルギーといった強豪相手に勝利するなどポジティブな面もあったが、本番では最後まで調子の出なかった本田に依存して敗れた。選手を固定して戦うことのリスクという意味で、今大会はドイツ大会の轍を踏んでしまった。

ザッケローニの後任が誰になるか、マスコミは早くもそんなことばかり取り上げているが、ロシア大会は勿論、その先を見据えて日本サッカーの将来を考えるためにも、まずはしっかりと総括をしてもらいたい。この4年間における問題点の一つは本当の意味で「若手」が台頭しなかったことだ。確かに「ロンドン世代」はW杯メンバーに入っていたが、主力は香川を含む「北京世代」で、南アフリカの時ほどの融合はできていなかったのではないか?柿谷・大迫・青山・山口をもう少し前に使っていたら結果は多少異なっていたのではないか?この辺については特に総括して欲しい。

新監督の下、まずは来年1月のアジアカップ連覇が目標になる。何人か「代表引退」が予想される中、9月の親善試合では国内の若手を招集し、経験させることが必要ではないだろうか?4年後はアジアの出場枠が削減される可能性があるので、これまで以上に厳しい予選を覚悟する必要がある。今大会の教訓を生かし、海外組・国内組、ベテラン・中堅・若手、様々な組み合わせができ、かつここ一番で結果を残せる。そんな代表を作り上げて欲しい。

読了:
「歴史家が見る現代世界」(入江昭)

  • ハーバードの名誉教授である著者には今の世界・日本がどのように映るのか。グローバル化が進む世界では、従来のパワーゲームが成り立たなくなると国家の役割が変わることや、国家主義・地域主義を超えたトランスナショナリズムが説かれるなどリベラルな観点からの一冊。保守化する日本への批判となっている。(評価A)

「非線形科学 同期する世界」(蔵本由紀)

  • 17世紀にホイヘンスが発見した振り子の同期化エピソードに始まり、ホタルの明滅など自然界に存在する同期化、体内時計や心臓のメカニズムなど生理的な現象、更には同期化メカニズムが街の交通管制システムにつながっている話など、様々な事例を基に同期(シンクロ)の研究の最前線が描かれている。(評価A)

「数学は世界をこう見る」(小島寛之)

  • 素数の見方から始まり、方程式の解の公式、整数と多項式の考え方、更には写像の考え方まで、数学の考え方とはどのようなものかが解説されている。ただ、中学数学がベースになっているとはいえ、残念ながら全てを一度で肚に落ちるというところまで理解はできなかった。(評価B)

「『本質直観』のすすめ」(水越康介)

  • なぜスティーブ・ジョブズはマーケットリサーチをしなかったのか?ビッグデータがあったら全てが解決するのか?自らの直観を疑い、問い直す作業が重要である。著者はキットカットやレッツノートなどの成功(&失敗)例も交えながら、マーケティング・経営における「本質直観」の重要性を説いている。参考にすべき一冊。(評価A)

「社会保障亡国論」(鈴木亘)

  • 厚労省は本書を「発禁」にしたいのではないだろうか?それとも「この先ホントのことが言えるようになる」と案外歓迎するのだろうか?社会保障財政が如何に危機的なものか、「100年安心」とされる年金の危うさ、待機児童対策や失業保険など現在の制度の問題点と経済学的にマトモな対策が説かれている。(評価A+)


購入:
「なぜローカル経済から日本は甦るのか」(冨山和彦)、「法務の技法」(芦原一郎)、「サイエンスの発想法」(上杉志成)、「職場の人間科学」(ベン・ウェイバー)、「ビジネスゲームセオリー」(御立尚資、柳川範之)、「経営参謀」(稲田将人)

2014年6月21日土曜日

進歩なく8年前を再現することになるのか???

日本代表はギリシャとスコアレスドローで2戦終了も勝ち点1のみ。初戦逆転負けから第二戦スコアレスドローというここまでの流れは8年前のドイツ大会とオーバーラップする。開幕前のテストマッチに勝利したときに遠藤が危惧していた通りになってしまった。

試合後にマスコミが一斉に書いているが、昨日のギリシャ戦は消化不良の度合いが酷い。F.マリノス推しからすれば「切り札」、「ジョーカー」であったはずの齋藤はなぜ使われなかったのか?一人少ない状態が続き終盤疲労の溜まった相手が嫌がるのは齋藤のようなすばしっこい選手のはず。それがザッケローニは青山を考えていたという。ザンビア戦の夢の再来を期待したのか??新聞報道によれば入れてもドリブルするスペースがなかったということらしいし、攻撃陣の人数を増やす考えはなかったとも報じられている。ではいつ使うのか???

ここまでの2試合に関してはこのほかにも、遠藤を途中投入する意味はあったのか?柿谷はファーストチョイスではなかったのか??パワープレー???などザッケローニの采配について「?」だらけだ。中田英寿氏がNumber誌で、藤田俊哉氏がTVで語っていた通り「違和感」という表現が相応しい。このままでは、コロンビア戦に勝つのはほぼ不可能だ。TVでラモスが「日本代表の誇りを見せろ!」と言っていたが、自分たちの闘いは今後の日本サッカー盛衰のカギを握るのだ、という気概を持って戦ってほしい。

他の組では番狂わせが続き、スペイン・イングランドの敗退が決まった。本番前日本に敗れたコスタリカがウルグアイに続きイタリアも撃破している。この先もヨーロッパ勢は苦戦しそうだ。

読了:
「失敗しないとわかっていたら、どんなことをしてみたい?」(ジョン・C・マクスウェル)

  • 世界No.1メンターの最新作。英語のタイトルにある通り、「人生における最大の学びは我々の失敗から得る」のだということが多くの事例から説かれている。最後に成功する人になるためには、謙虚であること、現実をみること、逆境を恐れないことなどなどが必要という。学ぶ姿勢がなければ失敗を繰り返すだけ、意識して一歩ずつ理想の自分に近づきたい。(評価A)

「史上最大の決断」(野中郁次郎、荻野進介)

  • Dデイからちょうど70年。史上最大の作戦と言われたノルマンディー上陸作戦はどう計画され、どのように実行されたのか。アイゼンハワーが最高司令官に選ばれたのはなぜか、連合軍とドイツ軍の組織・意思決定の相違、チャーチル・レーニンなど政治家の関わり方、現場リーダーの実践知など様々な観点から説かれている。「失敗の本質」などと同様に企業経営においても参考となる点が多い。(評価A+)

「図解でわかる!『戦略実行』読本」(クリス・マチェズニ―、ショーン・コヴィー、ジム・ヒューリング)

  • 「戦略を、実行できる組織、実行できない組織。」の内容に関する実戦のための手引書。前著の要点が数ページ単位でまとめられ、実行のためのテンプレートが示されている。戦略実行PDCAサイクルにおける目の付け所が分かるが、結局一番重要なのは、第4の規律で示される「アカウンタビリティのリズムを生み出す」ことではないか。(評価A)

「チームが機能するとはどういうことか」(エイミー・C・エドモンソン)

  • 「知識経済において組織はいかに学習し、改革し、競争するか」(英語の副題)を考える時、学習と実行を同時にできるようなチームを如何に構築していくかが重要。このプロセスは”チーミング”という「進行形」が相応しい。本書の説く率直に意見を言う、協働する、試みる、省察するという4つを意識してチーム運営に取り組むことを意識したい。(評価A)


購入:
「天体衝突」(松井孝典)、「生命誕生」(中沢弘基)、「社会保障亡国論」(鈴木亘)

2014年6月15日日曜日

ワールドカップ開幕!日本の初戦は逆転負け

W杯ブラジル大会が開幕した。2日目にして早くも優勝候補2チームの明暗が分かれた。地元ブラジルはクロアチアに勝利。(西村主審の判定が一部物議を醸している。しかし、今朝ジムのトレッドミルに乗りながら改めてスロー再生を見たが、ロブレンがフレッジを掴んでいたのは見るとはっきり分かった。)一方で前回優勝のスペインはオランダに大敗。暫定ではあるがグループ最下位でのスタートになった。この結果、ブラジルとスペインがベスト16で当たる可能性が高まった。

日本はコートジボワールに逆転負け。前半本田のゴールで先制するも、後半同じような形から立て続けに左サイドを突破され2失点。全体につまらないミスが多く、中盤でボールを奪われてゴール前に攻め込まれる場面が多く、ザッケローニの狙った主導権を握る戦いには程遠い状況だった。次はコロンビアに0対3で敗れたギリシャとの「最下位決定戦」。正に「絶対に負けられない戦い」に追い込まれた。更に吉田と森重がカードをもらったことで、次戦のFBをどう組むかという新たな課題が生まれた。今日機能しなかった攻撃陣、特に香川には「喝!」だ。奮起して欲しい。

(読了)
「変わった世界 変わらない日本」(野口悠紀雄)

  • レーガン・サッチャー登場以後世界、特にアメリカとイギリスがどのようにして経済を立て直したか、それに対比して日本がその期間本質的な改革ができていないことを説いた一冊。アベノミクスの評価など著者の意見に賛成できない部分はあるが、日本経済が変わるべき方向については、その通りと同意する。抜本的な改革なしでは中長期的な沈没が避けられない。(評価A)
「インサイドボックス 究極の創造的思考法」(ジェイコブ・ゴールデンバーグ、ドリュー・ボイド)
  • イノベーションを起こすには”Out-of-box Thinking"ではなく、制約の中で著者たちの説く5つのテクニック(引き算、分割、掛け算、一石二鳥、関数)を活用することが有効だということが、自分自身の経験からも納得できた。"Out-of-box"と思っていたのは、実は引き算や一石二鳥などのテクニックだった!より重要なのは、固定観念を排除することなのだろう。「目から鱗」の一冊だった。(評価A+)
「『戦略』大全」(マックス・マキューン)
  • 戦略を立案し実行す各プロセスにおいてどのような問いかけを行い、どのように進めていくか、戦略論のGuruたちの理論・フレームワークはどのように役立つのかが戦略ツールキットと共に纏められている。経営戦略策定に携わるにあたりかなり有効なハンドブックになっている。イギリスの本(ファイナンシャルタイムズ社ビジネスシリーズ)なので、日本ではあまり知られていない学者も紹介されている。(評価A)
「戦国時代の組織戦略」(堺屋太一)
  • 信長、秀吉が戦国時代を勝ち抜くために、拡大する組織をいかに取りまとめようとしたか、そのポイントおよび限界についてコンパクトに纏められている。信長の兵農分離や秀吉にとっての補佐役(秀長)が果たした役割はいままでの歴史書と異なる著者一流の視点であり、面白く読んだ。黒田官兵衛のような参謀はいかに使うべきかといった観点は企業経営でも大いに参考になるだろう。(評価A)
「信じよ!」(イビチャ・オシム)
  • ブラジルW杯に臨む日本代表の強み弱みを中心に、日本サッカーがこの先どう進むべきかなどオシム氏独自の説が展開されている。現代表メンバーに対する辛口の評価が興味深かった。今更ながらオシム氏率いる代表がW杯に出場していたらどのようなメンバーを選び、どのようなサッカーが見られただろうかと思わざるを得なかった。ギリギリでコートジボアール戦前に読み終わることができた。(評価A)
(購入)
「『本質直観』のすすめ」(水越康介)、「非線形科学 同期する世界」(蔵本由紀)、「数学は世界をこう見る」(小島寛之)、「歴史家が見る現代世界」(入江昭)

2014年6月6日金曜日

ハワイ旅行。W杯開幕直前

早すぎる夏休みを取って久々ハワイに行ってきた。妻にとっては新婚旅行以来のハワイ。到着翌日にはツアーに参加、チョコレート工場の見学、「この木何の木」で有名な木を前に写真を撮り、ジュラシック・パークなどの映画が撮影されたKualoa、North Shore(Haleiwa)とめぐりPearl Harborにも立ち寄った。また、Kailuaにも足を伸ばしたり、Cafe KailaやEggs'n Thingsといった今話題の店でPancakeを食べたりと充実した4泊6日だった。


6月初めというのに何処に行っても日本人旅行客。行きの飛行機では九重親方(=元横綱千代の富士)、佐の山親方(=元大関千代大海)はじめ九重部屋御一行様と一緒で、力士たちが狭そうにシートに座っているのが微笑ましかった。今回感じたのはまだまだハワイでは日本語が通じる度合いが高いこと。ただし、Duty Freeは中国人の方がMajorityだったのが、今後を現わしているようにも思われた。

日本代表のコスタリカ戦は早送りしながらサッとチェック。先制を許したのはいただけないが、同じ出場国相手に逆転勝ちしたことは評価できる。遠藤が「本番前好調なのはドイツ大会と同じ」と警戒しているという報道があったが、選手自ら過去の失敗を繰り返すまいと気を引き締めているのは頼もしい。そんな中、長谷部、長友等の状態以上に心配は本田の調子だ。明日朝のザンビア戦でも調子が上がってこないのであれば決断が必要ではないか?幸い香川が復調し、大久保も持ち味を発揮しているので、さほど攻撃力が落ちることはないだろう。

購入:
「チームが機能するとはどういうことか?」(エイミー・C・エドモントン)、「図解でわかる!『戦略実行』読本」(クリス・マチャズニー、ショーン・コヴィー、ジム・ヒューリック)、「戦国時代の組織戦略」(堺屋太一)、「史上最大の決断」(野中郁次郎、荻野進介)、「信じよ!」(イビチャ・オシム)

2014年5月30日金曜日

壮行試合(キプロス戦)

W杯ブラジル大会に向かう日本代表の国内壮行試合は1対0の勝利だった。キプロスは思っていたよりずっと良いチームで、国内合宿明けの日本は攻めあぐねたが、見ていて負ける気はしなかった。決勝点を決めた内田だけでなく、長谷部、吉田とケガの回復状態が懸念されたレギュラー陣も45分ながらしっかり仕事をしていた。4年前は韓国に0対2で惨敗し、岡田監督解任騒動が巻き起こったので、それに比べると随分ましだ。

しかし、4年前とオーバーラップしたのが本田の調子の悪さだ。ゴールへの執着は結構だが、周りをうまく使えず、FKは明後日の方向へ飛んで行った。試合勘というならケガの3人の方がよほど問題で、本田はExcuseできないのではないか?4年前の俊輔はケガが回復しないまま現地入りし、結局レギュラーに戻ることができなかった。本田の調子はアメリカでの2試合で戻るのだろうか?ザッケローニにはContingency Planがあるとは思えないので、注目してみたい。

読了:
「悪の出世学」(中川右介)

  • ヒトラー、スターリン、毛沢東という20世紀を代表する「独裁者」はいかにして頂点に上り詰めたのか、それぞれの「戦略」を解説するというユニークな一冊。3人に共通するのはそれまでの権力の中枢にいたのではなく、異端からのし上がっていった事。一方で中途半端なエリートが如何に弱いのかが理解できる。(評価A)
「データ・アナリティクス3.0」(トーマス・H・ダベンポート)
  • 「分析力を武器とする企業」などの著者が「ビッグ・データ時代」のデータ・アナリティクスはどうあるべきか説いた一冊。ビッグデータについて単に大規模であるだけでなく、構造化されていないこと、継続的に流入すること、フォーマットが多様であること、を特徴と位置付け、企業がどのように活用すべきか、既存のデータウェアハウスとの関係なども踏まえ説明されている。(評価A)
「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」
(ジョン・ムーア)
  • スタバの強さをマーケティング(特にブランディング)、提供されるサービス、人材開発という3つの視点から解説している。現在に至るまでの失敗(チーフ・マーケティング・オフィサーが半年足らずで解任されたことなど)についても触れており、そこから何を得てきたかが説明されている。学ぶべき点が多いことを再確認した。(評価A)
「Jリーグ再建計画」(大東和美・村井満編)
  • Jリーグおよびクラブが直面している問題とそれに如何に対応してきているか、リーグ・チーム経営への批判も含め明らかにしている。前チェアマン、新チェアマンが編者となっている点で昨年の2シーズン制移行問題において明らかになった説明責任をしっかり果たしており、好感が持てた。F.マリノスの経営は各クラブの模範になって欲しいと思った。(評価A+)

2014年5月24日土曜日

リーグ戦中断期間でのチーム再建を期待する

F.マリノスは前節フロンターレ戦を3対0で快勝。胆嚢摘出手術を受ける直前だったとは思えないような動きを見せた俊輔のCKから2点。さらに齋藤のドリブルのこぼれ球を伊藤が決めた。日程に助けられた点はあるが、降格圏転落を辛うじて免れ中断に入った。7月の天皇杯初戦まで丸2か月でしっかりチームを立て直して欲しい。ここまでを振り返ると、苦戦の原因のひとつは開幕前の調整不足にあったと思われる。2月上旬の降雪で実戦での連携テストが不十分なまま開幕を迎えたのが悔やまれる。幸か不幸かW杯メンバーは齋藤のみ、しっかりチーム内の競争を行い夏場を乗り越える体力を養って残る3冠(リーグ、ナビスコ杯、天皇杯)達成を目指して欲しい。

なでしこジャパンがアジアカップ初制覇に王手をかけた。海外組の招集が思うに任せない状況で、初戦のオーストラリア戦では脆さを見せたが、徐々にチームとして纏まってきた印象を受ける。来年のカナダW杯に向け確実に戦力の底上げもできた。決勝に向けては澤が復活したのが好材料だ。大会開催中の短期間でもチーム力はあげられるという事を証明してくれるだろう。

読了:
「日本のサッカーが世界一になるための26の提言」(テレビ東京FOOT X BRAINプロジェクト編)

  • 「FOOT X BRAIN」書籍化第二弾。日本代表が強豪に勝つためには個か組織か、Jリーグが充実するためには、などタイトル通り日本サッカーが世界一になるために必要なことは何かが多面的に論じられている。毎度感じることだが、裏方の存在をクローズアップするなど、ニッポン万歳!一辺倒の他番組と一味違っているのが良い。(評価A)
「真実を見抜く分析力」(トーマス・H・ダベンポート、キム・ジノ)
  • データ分析を成果に結びつけるために必要な6つのステップ(1.問題認識、2.過去の知見のレビュー、3.モデル化(変数選択)、4.データ収集、5.データ分析、6.結果の説明と実行)の各ポイントが解説されている。結局のところ何をしたいのか、が明確でないといくらビッグデータがあっても無用の長物だという当たり前の事が確認されているともいえる。(評価A-)

「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」(カレン・フェラン)

  • コンサルタントによる懺悔の書というユニークな一冊。どんな戦略論、組織論、人材開発・管理手法も、コンサルタントに丸投げでは身につかない。結局のところ組織内のコミュニケーションを活性化するほうが有効だという日本的に見ると当たり前の結論に思えるが、うちの本社でも似たような失敗をしているので、むしろ本書の内容が「グローバル・スタンダード」なのだろう。(評価A+)
「シリアル・イノベ―ター」
  • P&Gのような組織の中でイノベーションを起こしてきた「シリアル・イノベ―ター」とはどのような人材なのか、そうした人材が力を発揮するためには組織はどうすべきなのかが説かれた一冊。「非シリコンバレー型」というサブタイトルがいかがなものかと思うが、本書を読むと特に日本企業のような大組織では何故イノベーションが生まれづらいのかが理解できる。(評価A)
「新京都学派」(柴山哲也)
  • 桑原武夫、今西錦司、上山修平、梅棹忠夫、梅原猛、鶴見俊輔といった新京都学派の人となりや研究成果が彼らと長年付き合ってきた著者の目から生き生きと描かれている。また、司馬遼太郎と彼らとのかかわりにも言及されている。本書を読むと湯川秀樹に始まり山中伸哉に至るノーベル賞受賞者を生んだ京大の気風は如何に醸成されたか、その一端を知ることができる。(評価A)
購入:
「変わった世界 変わらない日本」(野口悠紀雄)、「Jリーグ再建計画」(大東和美、村井満)、「『戦略』大全」(マックス・マキューン)、「インサイドボックス究極の創造的思考法」(ジェイコブ・ゴールデンバーグ、ドリュー・ボイド)

2014年5月17日土曜日

ザックの23人、ACL敗戦から思う事

月曜日にW杯日本代表メンバー23名が発表された。ザッケローニが選んだのは攻撃重視のメンバーでF.マリノスからはジョーカー枠?の齋藤が選出された。ケガが心配された吉田、内田、長谷部が選ばれている中で守りの人(たとえば細貝、相手セットプレー対策にもなる高さのあるFW:豊田か川又)が選ばれていないのは決勝トーナメントに残った場合に心配ではある。27日のキプロス戦でどんな形を示すのだろうか、期待したい。

ミッドウィークの試合でセレッソ、サンフレッチェ、フロンターレが揃って敗退し、ACLからJリーグ勢が姿を消した。ホームで敗れたフロンターレはアウェーでも勝ちにいかなければならなかったが、最初の失点が痛すぎた。サンフレッチェも最後ホームで与えた余計なPKが致命傷になった。結果論だが、初戦に惨敗したセレッソも含め、3チーム全てホームでの戦い方が問題だった。F.マリノスもそうだが、予選リーグ含めJリーグ勢はホームでクリーンシートをほとんど達成できていなかった。(全15試合中3試合のみ。韓国勢には全試合失点しているし、中国チーム相手で1試合完封があるだけだった。)アウェーの戦い方ではなく、ホームでいかに守るかが本当の課題ではないか?ザッケローニの23人にも通じるので、これは日本サッカー全体の問題かもしれない。

読了:
「世界でいちばん大切にしたい会社」(ジョン・マッキー、ラジェンドラ・シソーディア)

  • アメリカで成長を続けるホール・フーズ社の創業者が共著者として、コンシャス・キャピタリズムとは、コンシャス・カンパニーとはどのようなものかを説いている。興味深かったのは、前提を日本で忌み嫌われる「自由市場経済」としていること。その中で「目線や意識の高さ」をどのように保つのか考えられている。日本企業の緩さ、温さとは全く異なることをしっかり認識する必要がある。来月実際に店舗を見るのが益々楽しみになった。(評価A)
「殺人犯はそこにいる」(清水潔)
  • 群馬・栃木で起こった5件の北関東連続少女誘拐殺人事件。足利事件での冤罪がなぜ起こったのか、警察・検察が如何に組織防衛を優先しているか、その結果真犯人を捕えられずにいるかについて鋭く迫っている。著者が以前扱った「桶川ストーカー殺人事件」の頃から変わらない警察・マスコミの体質は日本の典型的な組織像もクローズアップしている。ノンフィクションの傑作である。(評価A+)
「戦略思考トレーニング3」(鈴木貴博)
  • 今回は柔軟発想力がテーマ。左脳派はどのように与えられた情報を論理的に整理し、発想に結び付ければ良いか、逆に右脳派はどうやって左脳を鍛えるか、という観点で題材が用意されている。日々のニュースからこれだけ多くのヒントが手に入ることに改めて感心した。また、日本企業にもまともな会社はまだあるのだ、と多少安心した。(評価A)
「独裁力」(木谷哲夫)
  • リーダーが結果を出すためには「権力」が必要。シンプルだが所謂「リーダーシップ論」では避けられがちなテーマに正面から迫っている。「リーダー力=コンセプト力+独裁力」という公式を証明する中で、日本企業の問題点である経営力の弱さが、リーダーの権力構造の脆弱さに起因していることが理解できる。(評価A)

2014年5月10日土曜日

W杯代表決定前最後の試合(VSサガン鳥栖)

J1でただ1チーム今週のミッドウィークに試合がなかったF.マリノスはホームに暫定首位のサガンを迎えた。これがW杯メンバー発表前最後の試合となる。

外出の関係があってWebをチェックしただけなのだが、結果は1対2の敗戦。消化試合が1試合少ないとはいえ15位に後退してしまった。次節の結果では降格圏で中断を迎えるという情けない状況に陥った。体調不良の俊輔を休ませ2トップで臨んだ前半に2失点。後半開始から俊輔を入れたが、樋口監督いわく「70%」の状況ではやはり2点のビハインドは重かった。シュート数で上回っても枠に飛ばなければ・・・終了間際に俊輔が一矢報いたのが微かな救いというのでは情けない・・・

次節は神奈川ダービー。アントラーズに大勝したフロンターレ相手では、今のF.マリノスでは実力差は明らかだ。しかし、フロンターレはミッドウィークにFCソウル戦を戦うための韓国遠征を挟むので、今節同様日程的にはF.マリノスが有利だ。実力で差があっても昨年最終節で味わった悔しさを思い出して泥臭く戦ってほしい。

読了:
「タックスヘイヴン」(橘玲)
  • スイス名門銀行のシンガポール支店から1,000億円の金が消え、日本人ファンドマネジャーが転落死。事件の背後には何が・・・マネロンなど金融の裏事情に精通した著者ならではの小説だが、一方で高校の同級生である主人公3人(慧、佑、紫帆)の「青春小説」のような趣もあり、その点でも面白く読んだ。(評価A)
「知の決断」(ジミー・カーターほか)
  • 「知の逆転」のようなインタビュー集だが、今回の対象はかつてネルソン・マンデラの呼びかけで結集した長老たち(「エルダーズ)と結成に一役買ったリチャード・ブランソンである。貧困・差別など世界の様々な問題解決に向け未だ活躍している「元」大統領たちの知恵に学ぶところは大きいと感じた。ラテン・アメリカやアフリカ出身のメンバーがいる中、日本人はおろかアジア人が入っていないのが寂しかった。(評価A)
「ほんとうの構造主義」(出口顯)
  • レヴィ・ストロース、バルト、ラカン、フーコーらの思想を分かり易く解説している。先週「現代思想のパフォーマンス」を読んでいたので、より理解できた。神話に関する理論、「代理母」を巡る問題、「絵画を読む」といったトピックスを通じてみると、哲学は決して机上だけのものではないのだと実感する。(評価A)
「問題解決」(高田貴久、岩澤智之)
  • 問題の特定を行う際に留意すべきWhere-Why-Howのフレームワークから始まって解決案の実行モニターまで、問題解決の各プロセスを一つのケースを教材に極めて丁寧に説いている。単なるノウハウ本ではない内容の濃い一冊。去年著者が所属するプレセナ・ストラテジック・パートナーズの研修で学んだことを改めて整理できた。(評価A+)
購入:
「殺人犯はそこにいる」(清水潔)、「シリアル・イノベ―ター」(アビー・グリフィン、レイモンド・L・プライス、ブルース・A・ボジャック)、「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」(ジョン・ムーア)、「悪の出世学」(中川右介)、「日本のサッカーが世界一になるための26の提言」(テレビ東京FOOT X BRAINプロジェクト編)

その他:
今週のATP1000マドリード大会の4強に残ったことで、錦織圭が遂にランキングトップ10に入った。マイケル・チャンをコーチに迎えた今季は、これまで苦手と言っていたクレーコートで快進撃を続けている。これで前回のバルセロナから連勝を続けている。準決勝に勝ち残ったのはナダルやフェレーラなどスペイン勢3人プラス錦織。腰の調子が気になるので、ここは無理せず今月末からのフレンチオープンに万全を期して欲しい。

2014年5月6日火曜日

ブラジルW杯最終メンバー予想

いよいよ12日(月)に最終メンバーが発表される。不動のレギュラー3名が負傷欠場中という事態にザックがどう対応するのかが見どころ。私のチョイスは・・・

GK: 川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
   西川周作(浦和レッズ)
   権田修一(FC東京)

DF: 今野泰幸(ガンバ大阪)
   長友佑斗(インテル)
   酒井宏樹(ハノーファー96)
   酒井高徳(VfBシュツットガルト)
   森重真人(FC東京)
   中澤佑二(横浜Fマリノス)
   塩谷司(サンフレッチェ広島)
   山下達也(セレッソ大阪)

MF: 遠藤保仁(ガンバ大阪)
   青山敏弘(サンフレッチェ広島)
   山口蛍(セレッソ大阪)
   柴崎岳(鹿島アントラーズ)
   本田圭祐(ACミラン)
   香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)
   清武弘嗣(1FCニュルンベルク)
   岡崎慎司(FSVマインツ05)
   齋藤学(横浜Fマリノス)

FW: 大迫勇也(1860ミュンヘン)
   柿谷曜一郎(セレッソ大阪)
   豊田陽平(サガン鳥栖)

内田、吉田、長谷部は厳しいけど親善試合だけでコンディションが戻せるか疑問なので落選。CBのバックアップと長谷部に代わる「ベテラン枠」でボンバーを選んだ。今野も不調だが、こちらは試合に出ているので選出。他にはJで頑張っている山下、塩谷と柴崎を選んだ。更に、3枚目のFWには高さを求めて今絶好調の豊田。ジョーカー枠は南野ではなく齋藤とした。マリノス寄りの選出は勘弁いただこう。この結果、海外組が9名まで減ったが、それでもインテル、マンU、ACミランというビッグクラブの選手が揃うというのは史上初。前回、前々回もそうだったが、W杯のメンバーを見ると日本のサッカーもここまで来たかと感慨無量だ。

実際には今日と今週末の試合が終わらないと決断できないだろう。候補選手には頑張ってアピールして欲しいが、アクシデントのないことを祈る。


購入:
「データ・アナリティクス3.0」(トーマス・H・ダベンポート)、「新京都学派」(柴山哲也)


   

2014年5月3日土曜日

久々の勝利(ガンバ戦)

ゴールデンウィーク後半スタートの3日、F.マリノスはガンバに8試合ぶりに勝利。ホームの連敗も3で止まった。

外出先から帰ってきて後半途中からTVで観戦(W杯間近ということだろうか、NHK総合TVで放映!)。前半はスコアレス。終了間際のFKがボンバーの後頭部を直撃したりして、相変わらず俊輔の調子が悪いな、と感じていたところ後半齋藤が俊輔と交代準備というレポート。ようやく手を打ったか、と見ていたまさにその時、藤田の先制ゴールが入った。それでも流れはガンバにあったが、リンスが決定的なシュートを外した直後、ボンバーがCKから得点。あとはガンバの拙攻にも助けられクリーンシートで試合を終えることができた。

アントラーズが敗れたので、首位との勝ち点差は7に縮まった。中断まであと2試合、ホームでのサガン戦およびアウェーでのフロンターレ戦と上位との対戦が続くが、ACL敗退の効果?で2試合とも相手より優位な日程となった。次戦までしっかり準備して臨んで欲しい。

読了:
「叛逆」(アントニオ・ネグり、マイケル・ハート)

  • 所謂「アラブの春」や「Occupy Wall Street(OWS)」といった運動が何故発生し何処へ向かうのか。マルティテュードの革命とはどのようなものか、目指すべき「民主主義」とは?本書はこうした疑問に対する答えが示されたレポートだ。一時期盛り上がったOWSなどもアメリカの景気回復と共に消滅してしまったかに見える。著者たちは今どう総括するのか聞いてみたい。(評価B)
「現代思想のパフォーマンス」(難波江和英、内田樹)
  • フーコー、レヴィ・ストロースやラカンという「名前だけは聞いたことがある」思想家と、ド・ソシュールなど「聞いたこともない」思想家。現代思想に影響をもたらした6人の思想家が何をどう考えたのかが、その思想を具現化しているかのような文学・映画(「不思議の国のアリス」や「エイリアン」など)と共に紹介されている。なるほどそういう事なのか、という驚きが多かった。(評価A)
購入:
「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」(カレン・フェラン)、「失敗しないとわかっていたら、どんなことをしてみたい?」(ジョン・C・マクスウェル)、「タックスヘイヴン」(橘玲)

2014年4月26日土曜日

ACL敗退から何を学ぶのか?またもホームで敗戦

残念ながらF.マリノスはJリーグ勢で唯一ACL決勝トーナメントに進出できなかった。チームの経営陣には何が足りなかったのか真剣に考えて欲しい。毎年主力を抜かれながらJ1を連覇、今季も首位争いをしつつACLでも予選を突破したサンフレッチェの運営に学ぶべきところは多い筈だ。一方千府にとっては、昨年のチャンピオンである広州恒大などとアウェーで戦えたことがこの先財産となる。リーグ戦に集中してここから逆襲だ!

という意気込みで観戦に出かけたのだが、結果はまたも敗戦。これでホーム3連敗、おまけに4試合無得点という為体。とにかくシュートが枠に飛ばない。というかそもそも決まりそうなシュートを打つところまで崩せない。連携もチグハグだし、クロスを上げてもGKにキャッチされるだけで能がない。ACLから中3日などという言い訳は聞きたくない。このままでは降格圏まで一気に落ちるのではないかと思う。そのぐらいの重症だ。今日特に悪かったのは俊輔。パスミスが多く、セットプレーも意図が感じられないぐらい精度が低い。4年前、南アフリカW杯前の絶不調だった頃を思い出すぐらい後ろでのプレーに終始していた。次節レッズ戦はショック療法で俊輔(プラス中澤)を休ませた方が良いのではないか???

読了:
「コモンウェルス」(上)(下)(アントニオ・ネグり、マイケル・ハート)
  • 21世紀における「革命の書」である。現状アメリカによる一極集中の試みが失敗し、世界秩序がまた混沌としてきている中で、著者がいうところの「マルティテュード」の動きが活発化している。この新たな革命(ジャスミン革命やウォール街占拠など)の特徴はネットの世界と連動している点だろう。帝国側にいる自分にとって、敵を知るために重要な一冊だ。(評価A)
「Win-Winタイム・マネジメント」(竹村富士雄)
  • いつもつかっているFranklinのPlannerだが、まだまだうまく使う余地があることを再認識した。緊急性と重要度のマトリクスで構成される四つの領域について自分に誤解があった点も分かってかなりスッキリした。連休で立て直して仕事に生かそう。(評価A)
購入:
「戦略思考トレーニング3柔軟発想力」(鈴木貴博)

2014年4月20日日曜日

ACL予選リーグ突破の可能性は残ったが・・・。Fuqua Thursday!

ミッドウィークのACL全北現代戦は齋藤の2ゴール(特に1点目は素晴らしかった!ゴラッソ!)で逆転勝ち。これで4チームが同勝ち点(2勝1分2敗)で並ぶという珍しい展開になったが、得失点差で相変わらずF.マリノスは最下位。試合前同様予選リーグ突破は最終節アウェーで昨年のACL王者広州恒大に勝つ以外に道がない。残念だが実際に突破できる確率は低いと言わざるを得ない。頑張って欲しいが、現実的な選択を行い(J1重視)、以降のリーグ戦への反動・悪影響を最小限にするという方策をすべきではないか。果たして監督の戦略は?

今節のレイソル戦はスコアレスドロー。昨年未勝利だったここ5戦の相手に対し今回も0勝2分3敗で、順位をじわじわと下げている。次節は今季2度目の生観戦。ホーム2連敗中かつ生観戦2連敗中という悪い流れを断ち切ってもらいたい。俊輔が復調してきていることと、淳吾が戻ってきたのが好材料だ。

先週木曜日は久々にFuqua(ビジネススクール)の同窓会があった。世界各地で一斉にFuqua Thursday(本来はFuqua FridayなのだがEasterで金曜日が休講なので木曜日になったとか)という「飲み会」を行うというユニークな催しだった。在学生や今年入学予定者まで集まってキャンパスやDurhamの話をするうち、改めて「再来年のReunionに絶対行こう」と決意を新たにした。

読了:
「まだ誰も解けていない 科学の未解決問題」(竹内薫)

  • 「ソファ問題」から「リーマン予想」、「不確定性原理」、「超ひも理論」など12の未解決問題について解説されている。量子物理学や数学の世界だけにそうした問題があるのではなく、うなぎはどこで生まれるのか、麻酔はなぜ効くのかも未解決というのは改めて知った。科学発展の余地がまだまだ大きい事を再認識した。記述も分かり易い。(評価A)
「原発敗戦」(船橋洋一)
  • 福島第一原発の事故対応、特に政府・東電本社のそれが第二次大戦で日本を敗戦に導いたのと同様の問題であることが理解できる。吉田氏、増田氏という2人の現場責任者がいなかったら本当にワーストケースシナリオまで至ったのではないか、と背筋が寒くなった。ワーストケースシナリオを作れず、歴史から学べない日本で、今後原発を再稼働して大丈夫なのか不安になる。(評価A)
「記者たちは海に向かった」(門田隆将)
  • 自らの命を犠牲に他人を助けた記者、救えなかったことが大きなトラウマとして残る記者、新聞発行の危機に直面した本社。「死の淵を見た男」の著者による福島民友新聞を巡る3.11のアナザーストーリー。前作「狼の牙を抜け」同様、多くの関係者へのインタビューを通じて構成されているので、現実が目の前で再現されるくらいの臨場感があった。(評価A+)
「ウェブとはすなわち現実世界の未来図である」(小林弘人)
  • 雑誌ワイアード日本版発刊に携わり、その後も「フリー」、「シェア」、「パブリック」というベストセラーの日本語訳・解説を手掛けた著者による社会論。ネットが現実世界に先行するという著者の主張の背景・意義をきちんと理解する指導者がいない日本では益々ガラパゴス化が進行するのではないか、と危機感を強めた。(評価A)
「ビジネスモデルの教科書」(今枝昌宏)
  • 「ビジネスモデル・ジェネレーション」のフレームワークをベースに、どの要素の差別化を出発点に他の要素をいかに構成しモデル化するか、という考え方で31のビジネスモデルが整理され、それぞれの特徴・落とし穴などが解説されている。ただ、「グローバル化」や「ソリューション」、「デファクト・スタンダード」、「ブルー・オーシャン」が果たしてビジネスモデルと言えるかは疑問。類書である「ビジネスモデル・イノベーション」(ラリー・キーリーほか)の方が実戦的だろう。(評価B+)
購入:
「真実を見抜く分析力」(トーマス・H・ダベンポート)、「独裁力」(木谷哲夫)、「世界で一番大切にしたい会社 コンシャス・カンパニー」(ジョン・マッキー、ラジェンドラ・シソーディア)

2014年4月12日土曜日

今シーズン初生観戦(ベガルタ仙台戦)

ベガルタ仙台戦を見てきた。ベガルタはこの試合前に監督が交代し、社長が辞任を発表するという大波乱の一週間を経験してきた。去年は相手(アルディージャ、レイソル)がこのような状態だったとき苦戦したが、今年は・・・(ここまでは土曜日の朝の記述)

やはり今年もダメだった。ベガルタに今季初勝利を献上してしまった。ネット記事の見出しは「相性の悪さ露呈」とあったが、とにかく勝てそうな気がしなかった。先日のヴァンフォーレ戦もそうだったが、立ち上がり方が悪い。パスミスが連発し、相手に良い位置でボールを奪われ攻め込まれることが続く。攻撃になっても連動していないので、後ろへ下げる事が多く、フィニッシュで終えられない。かなり重症に見えた。この敗戦で10位以下に落ちることが決定。これから中断までハードな連戦が続くことを考えると心配だ。

読了:
「デザインする思考力」(東大EMP)

  • 東大エグゼクティブ・マネジメント・プログラム講師へのインタビューをまとめた第二弾。素粒子物理学、植物病理学、イスラム政治思想、情報通信工学、西洋経済史そして有機合成化学という各分野での最先端研究だけでなく、各講師がどのように思考しているかを知ることができる点で有意義な一冊。(評価A)
「リーマン・ショック・コンフィデンシャル」(上)(下)(アンドリュー・ロス・ソーキン)
  • JPモルガンによるベア・スターンズ買収に始まり、リーマン破綻、AIG国有化、ひいてはTARPの成立と銀行への直接投資実施まで、5年半前の危機が詳細にレポートされている。当時感じていたよりはるかに危機の度合いは深刻だったかが、脚色はあろうが極めて詳細に、かつ生々しく伝わってきた。取り上げられている金融機関のうちいくつか(リーマン・ブラザースもそのひとつ)には仕事の関係などで訪問したことがあり、変な言い方だが懐かしかった。また、かつて2006年までAIGで働いた身として、なぜあの巨大企業がおかしくなったのかも理解できた。今度はリーマンの海外部門を買ったノムラやモルスタとの関係を強化した三菱UFJからのストーリーを聞いてみたいと思った。とにかく面白かった。(評価A+)
購入:
「コモンウェルス」(上)(下)(アントニオ・ネグリ・マイケル・ハート)、「叛逆」(アントニオ・ネグリ・マイケル・ハート)、「ほんとうの構造主義」(出口顯)、「知の英断」(ジミー・カーターほか)

2014年4月5日土曜日

祝 リトルなでしこU-17W杯優勝!

U-17女子ワールドカップで日本が初優勝した。前々回は決勝でPK戦の末 韓国に敗れ、前回は予選リーグを圧倒的な強さで突破したにも関わらず準々決勝で敗退したので、「やっと」優勝できたという感じもする。そのような感じを抱かせるのも、それだけこの世代における日本女子の力は突出しているし、育成が優れているということだろう。試合を見ていると、やはり連戦の疲れか細かなミスは多いが、随所で光るプレーがあったし、何より選手の「大人っぽさ」が印象に残った。なでしこリーグで戦っている選手が含まれていると聞いて納得!この世代から2020年東京オリンピックの中心選手が何人選ばれるか楽しみだ。

F.マリノスは明日新潟でアルビレックスとアウェー戦。天候が気になる。メルボルン・ビクトリー戦で公式戦の連敗を止めたので、今度はアルビレックス戦での連敗を止めよう!

読了:
「ひるまないリーダー」(ジョセフ・L・バラダッコ)
  • 著者は時代を超える5つの質問に真剣に取り組むことがリーダーシップに必要だとする。「自分は現状を取り巻く環境を十分に把握しているか」、「自分の真の責任とは何か」、「いかにして重大な決断をくだすか」、「核となる正しい価値観を持っているか」、「自分はなぜこの人生を選んだか」という5つの質問は重い。ただ内容は正直面白くはなかった。(評価B)

「イノベーション戦略の理論」(原田勉)
  • イノベーションを成功する確率を最大にすること、能力活用戦略偏重ではなく、能力構築戦略が重要であること。著者の主張するポイントだ。ただ、米国流コーポレート・ガバナンス論が間違いというのは正確ではない。事実本書でも3Mなどアメリカ企業が取り上げられているし、一方シャープのように今苦戦している企業もある。国籍ではなく、いかに戦略を実行できるかが重要なのだ。(評価A)

「ネグり、日本と向き合う」(アントニオ・ネグリ他)
  • イタリアの政治哲学者、というより行動家ネグリ氏が初来日で語った事、そこから感じたことが紹介され、かつ日本の「知性」による論文も収録されている。リベラルな思想に必ずしも共鳴するものではないが、ネグリ氏がマイケル・ハート氏と著した一連の著作を読んでみようかなと触発された。(評価A)

「ライアーズ・ポーカー」(マイケル・ルイス)
  • やっと読んだ。ビジネススクールの時にその一部が資料集にあったマイケル・ルイスの出発点。内容はハチャメチャで、最近見たディカプリオの「ウルフ・オブ・ウォールストリート」にも通じるもの。ブラックマンデー前夜の投資銀行の生態が理解できるし、結局「リーマン・ショック」まで本質は何も変わっていなかったことが窺える。今度「「リーマン・ショック・コンフィデンシャル」を読むとそのあたりがもっと明確に実感できるだろう。(評価A)


購入:
「記者たちは海に向かった」(門田隆将)、「現代思想のパフォーマンス」(難波江和英、内田樹)

2014年3月30日日曜日

ちょっと早すぎた?頂上対決

F.マリノスはアントラーズとの一戦。昨年は4試合戦い2勝1敗1分けだが、2勝はナビスコカップでのもの。リーグ戦で大迫にやられた印象が残っている。F.マリノスとしてはホームでもあり連敗は避けたいところだった。

しかし結果は1対3で逆転負け。公式戦3連敗となってしまった。TVでも観戦していないので論評はできないが心配な状況だ。4月は連戦が続くので、一刻も早く流れを変えたい。ラッキーボーイになるのは誰?新婚の齋藤・端戸の2人に期待!

読了:
「ビジネスモデル・イノベーション」(ラリー・キーリー他)

  • ビジネスモデルを構成する要素を10に分解(利益モデル、ネットワーク、組織構造、プロセス、商品性能、製品システム、サービス、チャネル、ブランド、顧客エンゲージメント)、イノベーションを起こすためには複数の構成要素で特徴を出すことが不可欠と説く。教科書的といえばその通りだが、自社のビジネスモデルを如何に差別化するかという観点から有効なフレームワークではないか。(評価A)

「改革力」(上山信一)

  • 元マッキンゼーで大阪市の改革に前々任の關市長当時から関わっている著者が、改革のノウハウを説いた一冊。頭でっかちの理論ではなく、数多くのプロジェクトにおける実戦経験がベースになっているのが良い。一方で、「抵抗勢力」の頑固さを見ると、いかに役所にまつわる既得権益の岩盤が硬いかも理解できる。(評価A)

「シンプルな戦略」(山梨広一)

  • こちらは現役のマッキンゼーコンサルタントによる戦略本。久々に本格的な経営戦略指南書を読んだ。日本企業の薄っぺらな戦略を見ると、「ひと言で言える戦略」を作るには、顧客に喜ばれ、競争に勝て、自社が儲かるという要素について、6つのステップに従い、とことん追求しないとダメなことが、どこまで伝わるだろうか?(評価A+)

「90日で成果を出すリーダー」(マイケル・アトキンス)

  • 新任リーダーが成功するために何が必要か、逆にやってはならないことは何か?2003年の初版から10年、説かれていることは色あせていないと実感した。5つのビジネス状況(立ち上げStart-up、立て直しTurnaround、急成長Accelerated growth、軌道修正 Realignment、成功の持続 Sustaining success)で異なる機会と課題にどう取り組むか。新任でなくともリーダーとして学ぶべき点が多かった。(評価A)

「経営革命大全 新装版」(ジョセフ・H・ボイエット、ジミー・T・ボイエット)

  • こちらも2002年に翻訳された本の新装版。リーダーシップ・学習する組織・競争戦略など7つのテーマ別に、1998年当時のGuruがどのような理論を展開していたかが整理されている。改めて新装版を読むと、多くの理論が今も「生きている」ことに驚くだろう。KIT三谷教授による「補論」でも、言及されている本が少ないことが証明している。ある意味経営学は停滞しているのかもしれない。(評価A)


購入:
「問題解決」(高田貴久、岩澤智之)、「ビジネスモデルの教科書」(今枝昌宏)、「ウェブとはすなわち現実社会の未来図である」(小林弘人)、「原発敗戦」(船橋洋一)

2014年3月22日土曜日

ACLとJ1の両立はやはり厳しい

F.マリノスは火曜日のメルボルン・ヴィクトリー戦に敗れ、ACL予選リーグで未だ勝ち星なしの勝ち点1にとどまった。俊輔、ボンバー、伊藤を休ませての遠征ではあったが、グループでは一番「格下」と見られていた相手だったので、言い訳できない敗戦だ。残り3戦で2位まで上がるのは正直厳しくなった。ホーム2戦勝利が最低条件になり・・・最終戦までに広州恒大が1位通過を決めていれば・・・まあ意味のある戦いをしてもらいたい。

ACLは厳しくなったが、先週のヴォルティス戦と併せ、新戦力の融合が更に進んだのはポジティブに捉えたい。俊輔のバックアップとして藤本のトップ下をテストできたことは大きい。彼らだけでなく、佐藤や熊谷も力をつけているので選手層が厚くなり、チーム内の競争が激しくなっている。5月までの連戦を戦い抜くための基礎はできた。ヴァンフォーレにも勝って4連勝だ!

ところでDuke Blue DevilsはNCAAトーナメント1回戦で格下Mercerに敗れ早々に姿を消した。March Madnessを味わうことなくシーズン終了。恐らくParkerとHoodはNBAに行くだろう。来シーズンは有望な1年生が入るので2010年以来の優勝を期待したい。

読了:
「デリバティブとはさみは使いよう」(岩橋健治)
  • 大学の同級生が書いた1冊。オプションなどデリバティブ商品の解説ではなく、企業(特に中小企業)がどのようにデリバティブを活用したらいいのか、また、どんな場合には活用してはいけないのかを解説している。彼は長年デリバティブを売ってきた立場から、今の銀行の問題点についても暗に指摘している。(評価A)
「不変のマーケティング」(神田昌典)
  • 著者が独立後まもなくはじめた「顧客獲得実践会」のニュースレターをベースに、ダイレクト・マーケティングの実戦ノウハウが集約された1冊。紹介されている事例は確かに現在でも通用するものばかり。うちの業界のような規制業種であって、かつチャネル営業の業態であっても、参考となる点は多かった。(評価A)
「リーダーシップ・エッセンシャル」(スティーブン・R・コヴィー)
  • コヴィー博士の主要著作である「7つの習慣」、「第8の習慣」、「第3の案」そして「原則中心のリーダーシップ」などから、リーダーシップに関連するパーツを集約した1冊。自分自身の内面からスタートし、人間関係→チーム→組織へと影響を拡大していくという考え方が、他のリーダーシップ論と違って深い。改めて自分自身を見つめ直すきっかけになる。(評価A+)
購入:
「イノベーション戦略の論理」(原田勉)、「ライアーズ・ポーカー」(マイケル・ルイス)、「リーマン・ショック・コンフィデンシャル」(アンドリュー・ロス・ソーキン)

2014年3月16日日曜日

映画三昧(?)のウィークエンド

この週末は映画2本を見た。

一本目は「それでも夜は明ける」(12 Years a Slave)。ある日突然誘拐され奴隷となった「自由黒人」が、生き延びるために自分を偽り、それでも希望を捨てないで最後に自由を勝ち取るまでのストーリー。アカデミー作品賞を取るだけの力作だった。

二本目はリメイク版の「ロボコップ」。前回制作されたのが1987年ということにややびっくり。「オリジナル」版を生かしながら、マーフィーがもっと人間ぽさを残しているなどディテールに変更が加えられている。マイケル・キートン、ゲイリー・オールマン、サミュエル・L・ジャクソンが脇を固めていて、それなりに面白い映画だった。

F.マリノスはミッドウィークの広州恒大戦を勝ちきれず、ACLでは2試合で勝ち点1にとどまっているが、Jではすべてクリーンシートの3連勝となった。ヴォルティス相手で取りこぼしはないと思ったが、冨澤、伊藤、藤本の得点での快勝だ。サンフレッチェとサガンが敗れたので、早くも全勝はアントラーズとF.マリノスだけになった。次節からは昨年勝てなかった相手との試合が続く。ACLを戦いながらのハードなスケジュールが続くが、「今年は違う」というところを見せて欲しい。

読了」
「領域を超える経営学」(琴坂将広)
  • コンサルタント、経営者の経験を持つ学者という日本ではユニークな経営学者による国際経営学の1冊。国境を超える商流発生から現代に至るまでの国際経営の実態および経営学の変遷が丁寧に描かれている。「テキスト」と呼ぶのに相応しい内容だ。「世界の経営学者はいま何を考えているのか」よりもマイケル・ポーターなどの実践経営学を評価していて、バランスの取れた内容になっている。(評価A)
「宇宙の始まりと終わりはなぜ同じなのか」(ロジャー・ペンローズ)
  • ホーキング博士の師匠である著者が、熱力学の第二法則(エントロピー増大の法則)の観点から宇宙の始まりにおける「インフレーション理論」を批判、サイクリカル宇宙論という新たな考えを展開している。数式はほとんど使用されていないが、極めて難解だった。訳者あとがきがなければどうあんったことか・・・(難しすぎて 評価B)
購入:
「経営革命大全 新装版」(ジョセフ・H・ボイエット、ジミー・T・ボイエット)、「不変のマーケティング」(神田昌典)、「リーダーシップ・エッセンシャルズ」(スティーブン・R・コヴィー)、「改革力」(上山信一)

2014年3月9日日曜日

最後はちょっと焦ったけど・・・開幕2連勝

F.マリノスは今節アウェーのエスパルス戦。齋藤のゴールで早々と先制し、その後も優位に試合を進めたが、追加点が決められなかった。ロスタイム大前にきわどいシュートを2本打たれたが、何とか無失点でタイムアップ。昨年に引き続き連勝スタートとなった。この後ACL含む連戦が続き、3月終わりからJでも苦手との対戦が続くので、勝ち点を失わなかったのは大きい。
 2節を終わり全勝は4チーム。中でもサンフレッチェがセレッソに続きフロンターレにも勝って好調を維持している。一方ベガルタ、アルディージャ、ヴォルティスが連敗スタート。次節F.マリノスはヴォルティス戦。申し訳ないが、しっかり勝ち点3をいただこう。

カレッジバスケットボールはいよいよシーズン終盤、March Madness本番を迎える。わがDuke Blue DevilsもACCリーグ最終戦で宿敵UNCを破り、13勝5敗で終了した。アウェーで明らかな格下チームに取りこぼしていたのがトーナメントに向け不安材料だ。今週末はACCのトーナメントが行われ、いよいよNCAAの組み合わせが決まる。ACCトーナメントに優勝すればNo.1シードの可能性があるが、果たしてどうなるか・・・

読了:
「第五の権力」(エリック・シュミット、ジャレッド・コーエン)
  • Googleの会長による著書ということで気になって読んだ。本書では国家・革命・テロリズムなどががどのように変わるかが祖側鎖れている。最終章で著者らは技術とコネクティビティに期待をかけているが、率直なところ誰もがネットワークでつながる世界がそんなにバラ色ではないように感じた。(評価A)

「危機とサバイバル」(ジャック・アタリ)
  • 「ヨーロッパ最高の知性」と称されるアタリ氏の最新作。今世紀に予想される危機を生きのびるために、個人は、企業は、国家は、そして人類は何をすべきか。著者の説く7つのサバイバル戦略はビジネスで成功するためにも必要なものであり、意識しなければと思う。日本については「国家債務危機」に続き悲観的な見方がなされている。(評価A)

「10年後躍進する会社 潰れる会社」(鈴木貴博)
  • 5つの業種(自動車、テレビ、電力、外食、銀行)について現在底流に起こっている動き(自動運転技術、ネット広告、シェールガス革命など)から10年後を予測し、今のプレーヤーがその地位を失う可能性に言及している。富士フィルムが「車が売れなくなったトヨタ」を想定して自らTransformしたように、多くの企業が根本的な立地の変更を想定しなければ、著者の言うように衰退するだろうと考えた。10年後に結果を評価してみたい本だ。(評価A)
購入:
「宇宙の始まりと終わりはなぜ同じなのか」(ロジャー・ペンローズ)、「デリバティブとはさみは使いよう」(岩橋健治)、「デザインする思考力」(東大EMP)、「シンプルな戦略」(山梨広一)、「90日で結果を出すリーダー」(マイケル・ワトキンス)、「ひるまないリーダー」(ジョゼフ・L・バラダッコ)

2014年3月1日土曜日

連敗で迎える開幕。果たしてどうなるか???

J1が開幕した。F.マリノスはスーパーカップの敗戦に続き水曜日ACLで全北現代に完敗した中、アルディージャとホームで初戦を迎える。2試合戦ったことで、準備不足が多少なりとも解消すれば良いが・・・。新戦力では下平が良いし、藤本もそれなりに実力を発揮している。後はトップがどれだけ頑張れるかだ。過密日程の中、去年のような開幕ダッシュは厳しいが、しぶとく勝ちを拾っていかないと今季は厳しい。内容は問わないので、明日こそは今季初勝利を期待する。

今日行われた試合では開幕前予想で降格候補に挙がっている2チーム(ヴォルティス、ヴァンフォーレ)が大量失点で敗れた。その他ではベガルタ、グランパス、セレッソとガンバがホームで敗戦、レイソルが引き分けで、結局ホームで勝利したのはサガンだけだった。ダイジェストで見る限りだが、サンフレッチェ、セレッソ、レイソル、FC東京は上位に来るのではないか。明日初戦を迎えるフロンターレも今年は優勝候補だ。

読了:
「グローバリゼーション・パラドクス」(ダニ・ロドリック)

  • 「ハイパー」グローバリゼーション・民主主義・国家主権の3つ全てを同時に達成することはできない。民主主義・国家主権を優先し、それを通じ(ハイパーではない)グローバリゼーションを目指すべきだ、というのが著者の主張。決して単純な反グローバリゼーションではないのが良い。日本の産業政策への評価が高すぎるように気になる点はあるが、読む価値のあった1冊。(評価A)
「『企業変革』入門」(鈴木博毅)
  • ジャック・ウェルチ、ルー・ガースナー、ゴードン・ベスーンがいかにGE、IBM、コンチネンタル航空の変革に成功したかを、それぞれの著書のポイントを集約する形で1冊にまとめている。進め方の詳細については各企業が置かれた環境で異なるが、やっている事自体は共通していることが改めて理解できた。ウェルチのように内部昇格の経営者でも変革が可能という事をどれだけの日本企業が学べるだろうか?(評価A)
購入:
「10年後躍進する会社 潰れる会社」(鈴木貴博)

2014年2月23日日曜日

完敗でシーズン始まる

ゼロックス・スーパーカップでシーズンが始まった。サンフレッチェに0対2で完敗。ボール支配という点では互角だったが、ゴール前の迫力に欠けたという印象だ。マルキの穴はまだ埋まっていない。サンフレッチェがこれまでより高い位置に最終ラインを置いていたため、F.マリノスは勝手が違っていたようだ。結局のところ、俊輔の言うとおり「まだ戦う準備ができていなかった」という事だろう。ただ、藤本と俊輔との共存は可能性を感じたので、ACL初戦およびリーグ開幕戦ではゴール&勝利という結果を期待したい。

読了:
「史論の復権」(與那覇潤 対論集)

  • 日本の「中国化」というオリジナル理論を提唱する著者が政治・経済・TV・映画など様々な分野の論客と行った対談を収録した1冊。中国化という表現の持つ意味が読み進む中で理解できた。民俗学、映画史、大河ドラマ史という史論における対論の方が面白かった。(評価A)
「正義の偽装」(佐伯啓思)
  • 「保守派論客」の一人である著者による批判的民主主義論。「民意」とは何か、国民主権が意味するもの、西欧と日本では国家の成り立ちが違う中で生じる矛盾、などが説かれている。石原慎太郎と三島由紀夫の思想の違いなどにも言及されている。それでも他の政治よりましだとされるのは民主主義だ、と読後改めて思う。(評価A)
「日本哲学のチカラ」(小川仁志)
  • 日本哲学とは何か、という興味から読んだ。仏教と神道がどのように日本人の思想に影響したかから始まり、儒学・武士道・朱子学などが言及され、明治以降の哲学者につながる流れがよく整理されている。哲学ブームがなぜ起こっているかについても本書を読むとその一端が理解できる。(評価A)
「ハーバード戦略教室」(シンシア・モンゴメリー)
  • "The Strategist"の邦訳。原書も読んだが、改めて経営における戦略がいかに重要であるか、またCEOなどトップマネジメントが「守護者」として機能することの大切さを思った。如何にうまくポジショニングしてもケイパビリティがなければ成功できないし、その逆も真。日本企業が全般的に弱い理由はStrategistの欠如と言えるのだろう。(評価A)
「経営はだれのものか」(加護野忠男)
  • アメリカ流の企業統治への批判と日本的な株式持ち合いの評価を通じ、日本企業では協働する株主による統治が必要と説いている。個人的には株式持ち合いは今では欠点の方が多いと考えるし、上記のとおりStrategyが欠如している現状を変えないと意味のない提言と感じた。会社の所有者はだれであろうが、経営は経営者=Strategistのものだ。(評価B-)
購入:
「『企業変革』入門」(鈴木博毅)、「第五の権力」(エリック・シュミット、ジャレッド・コーエン)、「危機とサバイバル」(ジャック・アタリ)、「領域を超える経営学」(琴坂将広)、「グローバリゼーション・パラドクス」(ダニ・ロドリック)、「「ビジネスモデル・イノベーション」(ラリー・キーリー他)

2014年2月16日日曜日

2週連続の大雪

昨日は毎年恒例の大学のクラス会。金曜日の大雪で足下が悪い中での開催になった。22名参加の予定だったが、3名が当日欠席。幹事の私は早めの到着を目指したが、東横線のトラブルで遠回りを余儀なくされた。

今年は卒業以来となる初参加者がはるばる関西から出席してくれたので、人数は少なめだったが、盛会になったと思う。昨年に比べると参加者(企業幹部)の顔色が良かった。アベノミクスのプラス効果が出てきているからだろう。4月の消費税率引き上げをどう乗り切るか、賃上げがどうなるか、課題はあるが、少なくとも追い風が吹きつつあるのが感じられた。

今週末(22日)はゼロックス・スーパーカップ。いよいよシーズンが始まる。マルキーニョスの穴は埋まったか?実戦の場で試される。


読了:
「ビッグの終焉」(ニコ・メレ)
  • 「ラディカル・コネクティビティ」がメディア・政府・企業・軍隊などにもたらす影響が如何に大きなもので、結果として従来これらの中心であった大組織が役割を終える。本書の良い点は、単純なラディカル・コネクティビティ性善説に立っていないことだ。新たな「ビッグ」を生み出すことを始め、我々が考えなければいけない点に言及されている。日本の近未来予言書と言って良いだろう。(評価A+)
「最高の戦略教科書 孫子」(守屋淳)
  • 「孫子」各篇の解説(前半)と現代の経営を考える上での示唆(後半)とからなる解説書。様々な解説書がある中でも、後半で「突っ込みどころ満載」の孫子から如何に学ぶかを事例を交え説明している点がユニーク。「コンサルタントとしての孫子の著書」という視点で読み解くと、幾通りにも解釈される書き方になっていることも理解できる、という考え方が面白かった。(評価A)

2014年2月9日日曜日

大雪!

昨日は20年ぶりの大雪ということで外出せず、朝からソチオリンピックの開会式(録画)を見ていた。(シャラポアの聖火リレーでビックリ。)今朝は恐る恐る歩いてテニスへ。うちのクラスは参加者が9名と多かったが、隣は1人のみ。ということでコート2面を10人で使用。却って疲れました。明日の朝、通勤が心配だったが、駅前はそれなりに雪掻きされていたので、大丈夫そうだ。少し安心した。

読了:
「U理論入門」(中土井僚)
  • C・オットー・シャーマー博士のU理論について、①センシング、②プレゼンシング、③クリエイティングという各ステップがどのようなもので、実践するにはどうするか、が事例を交え説明されている。しかし、この「入門書」自体が400ページを超えるところに、U理論の実践がいかに難しいかが集約されている。So what?と言いたくなる。(評価B)
「並外たマネジャーになる80対20の法則」(リチャード・コッチ)
  • 80対20の法則はマネジメントにも活用できる。そのためにマネジャーが心掛けるべき10のヒントの多くは自分でもやっているのではないか、というのが率直な感想。常に最大の効果を求めるのはマネジメントであっても基本だ。ただ、定期的に職を変わった方が良い、といったアドバイスは欧米だからこそ成り立つものだろう。(評価B+)
「戦略的ストーリー思考入門」(生方正也)
  • ストーリ-テリングに関する本が増えているのは、それを必要とする場面が増えている(多様性の高まりなど)からだろう。本書はいかに説得力のあるストーリーを作るかという点にフォーカスをあてて解説している。物語をうまく使うために「はじめ」と「おしまい」に気を付けるといった点は意識してみよう。(評価B+)
「事業創造のロジック」(根来龍之)
  • Amazon、セブン・イレブン、DeNA、玉子屋、ソフトバンク、西友ネットスーパー、サウスウェスト航空といった企業のビジネスモデルについて、出発点・因果関係・妥当性と正当性・模倣困難性・発展性という5つの切り口から分析し、解説している。ポジショニング論、リソースベースビューを超えたダイナミック・ケイパビリティ論からの戦略論であり、久々切れ味のよい戦略論を読んだ思いがした。(評価A)

2014年2月2日日曜日

J1日程発表&W杯予選方式変更ほか

J1のスケジュールが明らかになった。ACLグループリーグ期間中(3月~4月)の日程は予想通りハードだ。しかもこの間にヴァンフォーレ(Away)、アントラーズ(Home)、アルビレックス(Away)、ベガルタ(Home)と昨年勝てなかったチームとの試合が続く。ここでチームの総合力がどれだけアップしたかが試される。また、昨年同様11月のホーム最終戦がアルビレックスになっている!今年はどんな展開でこの試合を迎えるのだろうか?

2018年W杯の予選方式変更が報じられた。試合数が4試合増え、かつ全体にアジアの弱小国を相手にする試合が多くなりそうだ。海外組なしの実質B代表をうまく活用することなど、特に1次リーグをどう戦うか戦略が必要になる。

アカデミー賞候補の2作品を見た。「ウルフ・オブ・ウォールストリート」と「アメリカン・ハッスル」だ。どちらも実話がベースになっており、「犯罪者」が主人公のストーリー。ディカプリオもクリスチャン・ベールも良かったし、70年代~80年代のアメリカンミュージックが懐かしかった。次は「ラッシュ」を見る予定だ。

読了:
「転換期の日本へ」(ジョン・W・ダワー、ガバン・マコーマック)

  • 日本の外交はどうあるべきか、海外から見た場合にどう映るか。現在の中国・韓国との関係悪化には日本サイドにも問題があるということが説かれている。また、本書ではアメリカの「したたかさ」とどう付き合うかについて、重要な指摘がなされている。一貫した、理論的な外交戦略の欠如が事態の深刻化を招いているという指摘は、しっかり受け止めなければならないのではないか。(評価A)


「利権の復活」(古賀茂明)

  • 原発、TPP、アベノミクスや憲法問題・外交問題における安倍政権の発言パターンを通じ、日本の改革がこのままでは進まないという元経産省官僚の著者による警告は、重く受け止めなければならない。ここのところ益々その傾向が強まっていると感じるので、注意が必要だ。最終章の橋下徹論と、関連した「小さな政府を指向するハト派」というポジションを取る政党がないという指摘も面白かった。(評価A+)


「知の格闘」(御厨貴)

  • 東大の最終講義がシリーズになっているということ自体興味深いし、内容も政治史、公共政策論、建築やメディアと政治など多岐に亘っていてまさに「知の格闘」が繰り広げられている1冊。小泉純一郎に対する評価は今回の都知事選を巡る氏の行動を見ていると納得する。その他の政治家への評価も鋭い。(評価A)


「意外と会社は合理的」(レイ・フィスマン、ティム・サリバン)

  • 組織経済学という視点から企業(に加え、軍隊や教会といった組織)における「理不尽」なことに、それなりの理屈があるのだという事を説いた1冊。意外と難解だったというのが正直な感想だ。プリンシパル・エージェンシー理論、トレードオフやゲーム理論など経済学の基礎知識がないと、読みこなすのは難しい。(評価A-)


購入:
「史論の復権」(與那覇潤)、「日本哲学のチカラ」(小川仁志)、「正義の偽装」(佐伯啓思)、「ビッグの終焉」(ニコ・メレ)、「ハーバード戦略教室」(シンシア・モンゴメリー)、「経営はだれのものか」(加護野忠男)、「最高の戦略教科書 孫子」(守屋淳)

2014年1月25日土曜日

開幕戦決定

J1開幕戦と第二戦が決まった。初戦はアルディージャ、二戦目がエスパルスということで移籍組(下平、伊東、藤本、矢島)の古巣との対決から始まることになる。果たしてピッチに立てるメンバーはだれか?

今年はスーパーカップ、ACL第一戦とJ開幕前に2試合を戦う。ACLに参加するJチームはここのところ毎年ACL予選リーグ序盤で躓いて、スタートダッシュできないことが多い。F.マリノスが昨年のような好スタートを切るには、キャンプを含むこれから4週間の準備が大きな鍵を握る。過密スケジュールを乗り切るにはベテランを随時休ませるローテーションが不可欠になる。この面からも新入団選手と若手の奮起を期待する。

ヨーロッパの移籍期限が迫り、日本人選手の動向が気になる。本田はとりあえず無難なスタートというところだが、他の選手は心配だ。香川はやはりモイーズに信頼されていないことがチェルシー戦で明らかになった。マンUがチェルシーからマタを獲得したことも逆風だ。噂通りのチーム(インテル?アトレチコ・マドリー?)からオファーが来ているのであれば移籍すべきだろう。一方吉田は負傷者の関係から出場のチャンスが出てきた。しかし、試合勘を取り戻すためにはやはり移籍を考えるべきだろう。

久々デューク・ブルー・デビルズの話。ACCリーグ戦でいきなりアウェー2連敗となってランキングが20位代まで下降したときは「どうなることか?」と心配したが、ここにきて復調の気配。来週は新規加入のピッツバーグ大、シラキューズ大とアウェーが続く。共にランキング校、しかもシラキューズはここまで無敗。厳しい戦いになるが、ここを乗り切れないようではリーグもNCAAトーナメントも上位進出は望めない。ジャバリ・パーカーの爆発に期待する。

読了:
「Give & Take」(アダム・グラント)
  • Giver、TakerとMatcher。三つのタイプの中で成功するのも凡庸で終わるのもGiver。では、成功しているGiverはどんな人なのか?「情けは人のためならず」はアメリカであっても一定通用することが証明されているのが本書のユニークなところ。読みながら、自分はGiverだろうか?と自問した。(評価A)

「スリランカの赤い雨」(松井孝典)
  • 一昨年スリランカで降った「赤い雨」の謎から始まり、生命の誕生を巡るパンスペルミア説(生命は地球外に起源するという説)とはどのようなものかなど、アストロバイオロジーの最新理論が解説されている。ダーウィンの進化論だけでは説明できない生物の分化に、地球外からもたらされるウィルスが関係しているという考え方は興味深い。でもなぜ日本では「赤い雨」が観測されないのだろう?まだまだ解決すべき課題があるように思う。(評価A+)

「維新の後始末」(野口武彦)
  • 幕末から維新までの歴史に比べ取り上げられることが少ない明治初期の日本の有様が、様々なエピソードから浮かび上がる。西南戦争までの約10年における近代国家としての基礎固めがどんなに大変だったか、著者の言うとおり維新が革命であったということが本書を通じ理解できた。(評価A)

「知的創造の作法」(阿刀田高)
  • アイディアの集め方、拡げ方、読書の効用など知的創造に重要なスキル・手法がまとまっている。ただ、著者らしく「いかに短編小説を作るか」という観点からのまとめが多いので、どう応用するかは読者次第、という読後感だった。(評価B)
購入:
「U理論入門」(中土井僚)、「並外れたマネジャーになる80対20の法則」(リチャード・コッチ)、「戦略的ストーリー思考入門」(生方正也)、「事業創造のロジック」(根来龍之)

2014年1月18日土曜日

新体制決まる。

今週は本田のACミランでのデビュー&初ゴールが話題をさらっている。代表がブラジル大会で勝つには本田と香川が万全の状態で臨むことが条件の一つであるのは間違いがないので、本田には更に活躍して欲しい。一方の香川も前節は良いプレーをしていたが、今週のチェルシー戦が今後を左右するのではないか。ここで輝ければスタメンを確保できる。注目だ。

F.マリノスはFW2名(伊藤と矢島)の獲得を発表した。伊藤翔については何年か前にFootがグルノーブルを取材したときの印象が残っている。当時は松井のオマケという感じでインタビューを受けていた。ケガの影響などで実績は残せていなかったが、体幹がしっかりしている選手だと感じた。俊輔と組んだらどんな化学反応を起こすだろう。期待しよう。

明日(19日)は新体制発表会ということなので、おそらく補強はこれで終了だろう。ACLとリーグを戦うには選手層を厚くすることが必要だったが、各ポジションとも実力差のないメンバーを複数揃えることができたのではないか。絶対的存在の俊輔にも藤本というバックアップできるメンバーが入ったし、ドゥトラ引退?にも下平が対応できる。トップは新加入の2人に藤田・端戸が切磋琢磨すればマルキの穴を埋めることができるだろう。齋藤がW杯後欧州に移籍しても大丈夫だ。思い起こすと昨年シーズン前には「おっさん軍団」の息切れを心配し、上位争いは難しいと考えていた。今年のメンバーならリーグ制覇は十分可能だ。

読了:
「ヤバい予測学」(エリック・シーゲル)

  • "Predictive Analysis"(原題)とはどのようなものか、その有効性と限界までが実例を持って説明されている。日本では行われていないが、クレジットの信用情報と自動車事故頻度の関係を保険料に反映される例など業務面で身近な例もあった。また、IBMのコンピューター(ワトソン)がいかにクイズ番組「ジョパディー」でチャンピオンを破るに至るかは今後の予測分析の可能性の大きさも感じさせる。タイトルはミスリーディングだが、内容は○。「シグナル&ノイズ」と併せて読むべき本だ。(評価A+)
「企業遺伝子の継承」(野口吉昭)
  • 「企業遺伝子」は著者が十数年来テーマとしてきたコンセプト。本書では日本企業が寿命といわれる30年を超えて繁栄していくために何が必要かという観点から遺伝子論を展開している。カギとしているのが「事業推進の革新」、「組織システムの革新」と「人をあきらめない」ことの3つ。本書を読むと特に最後の点の重要性が理解できる。「企業は人なり」ということだ。(評価A)
「値上げのためのマーケティング戦略」(菅野誠二)
  • アベノミクスによる景気浮揚、円高の終焉による原材料価格の上昇、更に4月からの消費税アップ。こうした環境下、企業が苦心しているのが、いかにダメージを少なく値上げするか、という点であるのは間違いない。本書は日本企業が苦手としている価格戦略を如何に構築し、実践するかの解説書。何箇所か誤植があり、クレディビリティを損なっているのが残念。(評価A-)
購入:
「スリランカの赤い雨」(松井孝典)、「転換期の日本へ」(ジョン・W・ダワー、ガバン・マコーマック)、「会社は意外と合理的」(レイ・フィスマン、ティム・サリバン)、「知の格闘 掟破りの政治学講義」8御厨貴)、「利権の復活」(古賀茂明)

2014年1月12日日曜日

残るはFWの補強?

F.マリノスへの移籍選手が発表され、噂通り、藤本・三門・下平の3選手が加わった。「中堅」と呼べる世代が少ないチームなので、妥当な補強だ。俊輔とドゥトラのバックアップができたのはACLとリーグを並行して戦うには好材料だ。後はFWにもう一本、柱が欲しい。マルキーニョスの得点力を補えるのは誰だろう?それにしても、毎度感じるのだが、F.マリノスはFWが育たないチームだ・・・

読了:
「現場主義の競争戦略」(藤本隆宏)

  • グローバル経済の中で日本企業は従来強みであった現場力をどう生かすべきか。問題は本社にある。本書の良い所は、円高の流れが変わったことで日本企業が復活するという単純な現場礼賛論にも、逆に日本企業はダメだという悲観論にもなっていないことだ。著者の説く通り、組織能力をいかに構築するかというフレームワークから競争戦略を考えるべきだ。(評価A)
「ホワイト企業」(高橋俊介)
  • 「サービス業化」という流れの中で人材育成はどうあるべきか。人に投資する企業(IIP: Investors in People)、働く人にとってグレートな会社(GPTW: Great Place to Work)を目指すにはどうすべきか。著者が沖縄で実践し、経験した内容からの考察なので説得力がある。(評価A)
「数学的決断の技術」(小島寛之)
  • 判断基準とはどのようなものがあるのか、日々無意識に使っているのはそのうち何なのか、決断する時に気を付けるべき落とし穴は何か、本書は数学・統計学・経済学・心理学の応用である「意思決定理論」の優れた入門書だ。機会損失の検討などは日々の仕事の決断で有効だ。本書のアンケート結果では、この種の本を読み過ぎ?の私は判断基準がぶれているらしいが、「常に最適な判断基準を使える」意味と信じることにする。(評価A)
「政治の起源」(フランシス・フクヤマ)
  • 下巻では「法の支配」、「政府の説明責任」が各地域、各国でどのように確立されたのか、また確立されてこなかったのか、が説かれている。本書を読んで、著者の理論が「国家はなぜ衰退するのか」とかなり近いと感じた。政治と経済発展との関係が切り離せないものであることを改めて考えた。(評価A)
「気が遠くなる未来の宇宙のはなし」(佐藤勝彦)
  • シリーズの第三弾。今回は、半端な遠さではない未来に宇宙はどうなるのか、最新理論も踏まえて説明されている。宇宙の膨張がこの先も加速を続けるのかどうか、全て明らかになっているわけではないが、それにしても人類の知性はこんなところまで来ているのか、と改めてその凄さを感じた。(評価A)
購入:
「企業遺伝子の継承」(野口吉昭)、「値上げのためのマーケティング戦略」(菅野誠二)、「Give & Take」(アダム・グラント)


2014年1月4日土曜日

天皇杯優勝!

天皇杯決勝は2対0でサンフレッチェに勝利。F.マリノスは9年ぶりのタイトルを獲得した。リーグで2勝している相手であり、「サンフレッチェ相手に前からプレスをかけることができる唯一のチーム」と俊輔が言っていた通り、終始こちらのペースで試合ができた。リーグの敗戦から立て直し、マルキーニョスの穴を埋めて優勝できたというのは見事だったが、「リーグの方が良かった」というのは本音だろう。「終わりよければ全て良しではない」というのもまた然り。例えば、この試合でも、前半兵藤のシュートが決まっていたら完全にサンフレッチェはギブアップだっただろう。今シーズンACLを含め戦うにはこうしたところを修正していかなければならない。ただ、今は優勝できたという喜びに浸り、疲れた体を休めて欲しい。

俊輔は元日夜のTVでもスーパープレーを見せてくれた。制限時間を過ぎた後ではあったが、25メートル先で上下に動くウェディングケーキに乗った人形に見事命中させたのは、動くバスに蹴りこんだ伝説のFK同様YouTubeなどを通じ世界中で見られることになるだろう。「MVP取ったのと同じくらい嬉しい」という俊輔の言葉にプロとしての誇りを見た。2014年も期待したい。

読了:
「知の武装」(手嶋龍一、佐藤優)

  • 世界の情勢を正しく読み取る「インテリジェンス」が如何に大切か、日本のマスコミ(TV・新聞)では真実を掴むことはできないのだ、ということが改めて証明されるような本だ。また、我が国のジャーナリズムがどれほど薄っぺらいものであるかも理解できる。安倍政権でどこまで著者(佐藤氏)の言う「帝国化」に迎えるか。2014年は試金石になる。(評価A)