2014年8月31日日曜日

開幕以来の3連勝

F.マリノスは苦手ベガルタにアウェーで勝利。俊輔のCKから栗原と下平がヘディングシュートを決めて今季開幕から以来となる3連勝となった。昨夜はラフィーニャと齋藤がケガのため欠場したことで、メンバーの入れ替えを余儀なくされたが、前節に引き続き中盤の出足が良く、高い位置でボールを奪取できていた。また、俊輔・兵藤・藤本も流動的にポジションを移り多彩な攻撃ができていた。順位は変わらず10位だが、この戦い方なら上位陣が相手でも互角の勝負ができるので、上位に食い込むことも可能だろう。後は決定力。こればかりはシュートを打ち続けるしかない。代表戦のためリーグは中断するが、ナビスコカップで昨年の雪辱戦が待っている。

購入:
「データの見えざる手」(矢野和男)、「名家老たちの危機の戦略戦術」(加来耕三)、「優れたリーダーは、なぜ『立ち止まる』のか」(ケヴィン・キャッシュマン)

2014年8月30日土曜日

代表メンバー発表

アギーレジャパンのメンバー23人が発表された。ブラジルW杯メンバーから11人が外れ、新顔として武藤(FC東京)・皆川(サンフレッチェ)・坂井(サガン。どうでもいい事だけどこれでサカイが3人!)・森岡(ヴィッセル)、松原(アルビレックス)が選ばれた。これから年内6試合を戦う中でアジアカップメンバーが決まってくるのだろう。まずはウルグアイ戦のピッチにどんなメンバーが立つのか見ものだ。

カップ戦での脳震盪の影響で代表辞退となった香川について移籍が決定的となった。移籍先候補としてドルトムント、バレンシア、スポルティング・リスボンといった名前が上がっていたが、古巣ドルトムントへの復帰となったようだ。どこに行っても今よりは使ってもらえるだろう。活躍してモイーズやファン・ハールを見返して欲しい。

読了:
「年収は『住むところ』で決まる」(エンリコ・モレッティ)

  • シリコンバレーなどサンフランシスコのベイエリア、ボストン、ローリー・ダーラムなどイノベーティブな企業が集まる地域の発展のメカニズムを明らかにし、一方で「モノづくり」の限界が説かれている。依然として「モノづくり」に固執する日本の「エスタブリッシュメント」には不都合な真実だろう。2年間過ごしたダーラムが発展しているという事実は嬉しかった。(評価A)

「『バカな』と『なるほど』」(吉原英樹)

  • 楠木建氏が著書で引用していた本が復刊。最初は「バカな」と思うが、よく考えると「なるほど」というのが競争戦略の要諦と説く本書が「ストーリーとしての競争戦略」に影響を与えていることが実感できた。本書は他にも様々なトピックを取り上げているが、多くは今でも参考になる。残念ながら初刊から25年経っても日本企業を取り巻く経営課題が変わっていないということだ。(評価A)

「現場力を引き出すリーダーの条件『オーケストラ型』マネジメント」(デイナ・アーディー)

  • タイトルがミスリーディング。オーケストラ型マネジメントに直接言及する箇所は少ない。本書は、経営環境変化に伴いリーダーシップスタイルも「ボス型」から「指揮者型」に変化すつつあることを説いており、新たなスタイルのリーダーが率いる組織がどのようなものになるかが明らかになっている。(評価A)

「ビッグチャンス」(冨山和彦)

  • アベノミクスの一時的な効果で「日本的経営で良いのだ」というガラパゴス的な論評が増えてきている中、著者は敢えて強いトーン(「クソ」サラリーマン会社といった挑発的な表現)で日本的経営の問題点を指摘している。内容自体は欧米企業では「当たり前」の事に過ぎないので違和感がない。日本の劣化、経済的な地盤沈下を防ぐための改革には最後で最大の機会だろう。(評価A+)
購入:
「仕事に役立つ経営学」(日本経済新聞社編)、「経済を見る3つの目」(伊藤元重)、「『失敗』の経済政策史」(川北隆雄)、「オーガニゼーションズ」(ジェームズ・G・マーチ、ハーバート・A・サイモン」、「ソロモンの偽証」(1)(宮部みゆき)

2014年8月25日月曜日

不祥事件(贔屓の引き倒し)

23日のフロンターレ戦は後味の悪いものとなった。せっかくの快勝が心無い輩(F.マリノスにもファビオとラフィーニャがいることを忘れ、ヨーロッパの阿呆なRacistのマネをした輩。サポーターとは決して呼ぶまい!)の行動で台無しとなって、まさに「贔屓の引き倒し」状態で「開いた口が塞がらない」。試合中から「人種差別行動がある」とツイートされており、中継でもしっかり映されていたことで、クラブが早く動けたのが唯一の救いだ。現時点(月曜夜)でクラブへの処分は未定だが、ホームページにある通りしっかりとした再発防止策を提示して欲しい。

2014年8月24日日曜日

天皇杯敗退。神奈川ダービー

水曜の天皇杯。F.マリノスはギラヴァンツによもやの逆転負けで連覇を逃した。放送がなかったので詳細が分からないが、シュートを外しまくり、延長後半最後で決勝点を許したのは肉体的にも精神的にもキツイ。ラフィーニャと俊輔がプレーしなかったのがせめてもの救い。

正直勝てそうな気がしなかったフロンターレとの一戦は、早いタイミングでのPKによる先制と、相手の退場による数的優位のお蔭で何とか勝ちきった。とにかくミッドウィークで見せた守備の破綻を起こすことなく、クリーンシートでリーグ戦連勝を飾れたのは良かった。上位がもたついているが、ACL圏内までは勝ち点差10と大きい。次節苦手のベガルタにアウェーでどういう戦いができるか、まだまだ厳しい状況は続く。

読了:
「孫子に経営を読む」(伊丹敬之)

  • 「経営学者(戦略論)が孫子の解説本を書くとこうなる」というのが正に本書の要約。経営の本質、将のあるべき姿、兵の情、戦略の神髄、戦略的思考とは、勢いは経営の肝という6つの章に孫子のエッセンスを再構成し実際の企業経営に如何に生かされているかが説かれている。「敵」=競合との戦いに勝ち抜いても、市場を制覇できるわけではないという点で、経営の難しさを考えた。(評価A)

「未来企業」(リンダ・グラットン)

  • 前作「ワーク・シフト」で未来の働き方がどう変わるか「予言」した著者が、本作では企業が未来に向け3つの領域(職場環境、地域・サプライチェーンに配慮した活動、グローバルな課題)においてレジリエンスを高めることが必要だと説く。この為にもやはりリーダーシップが如何に重要であるか、本書、特に最後の第6部を読みながら再確認した。(評価A)

「嫌われる勇気」(岸見一郎、古賀史健)

  • 日本において注目されてこなかったアドラー心理学を「ブーム」とした、ベストセラーランキング常連の一冊。若者と哲学者の「対話」を通じ、アドラー心理学のキーワードが説き起こされていく。読んでみて、「7つの習慣」のスティーブン・R・コヴィー氏らが影響を受けているということが良く分かった。(評価A)

「バカが多いのには理由がある」(橘玲)

  • 日本という国家、日本人の劣化について著者は「ファスト思考」ばかりで、課題を本質から考える「スロー思考」をしなくなったことに原因を求めているようだ。そうした観点で政治・経済・社会・心理という4つの領域から現在起こっているネタを切りまくっており、痛快な本だった。エピローグの2つのエピソードは日本だけでなく、世界中が「ファスト思考」偏重に犯されていることを示している。(評価A+)


購入&読了:
「逆転力 ピンチを待て」(指原莉乃)

  • アマゾンの「ビジネス書」カテゴリー第一位の本は、アイドル本とは思えない、良い意味で「まさか」の内容だった。働き方に関するレジリエンス、戦略論であるポジショニング理論およびケイパビリティ理論のいずれの観点からも学べる点が多い。サッシーはかなり凄腕のプロデューサーだということが分かる。難解な語彙を使わずここまでの文章を書けることにも感心した。また、この逸材を使いこなす秋元康の力を改めて実感した。(評価A)
購入:
「第一次世界大戦と日本」(井上寿一)、「マックス・ウェーバーを読む」(仲正昌樹)、「織田信長〈天下人〉の実像」(金子拓)、「日本人を縛り付ける役人の掟」(原英史)

2014年8月16日土曜日

久々の勝利。浮上のきっかけとなるか?

F.マリノスは今節アウェーでヴォルティスと対戦。ラフィーニャの2ゴールと俊輔のPKで完封勝利。J1再開後初勝利を挙げた。ラフィーニャが入ったことで俊輔のポジションが高くなり、全体に良いリズムで試合が進められた。前半齋藤が決めていればもっと楽になっただろうが、今日のところは勝利という結果が出たことを祝いたい。

完封勝利には小椋の貢献が大きかった。2点目に繋がったボール奪取はアッパレもの。惜しいシュートも放っていて調子の良さを随所に感じさせた。守備に関しては、セットプレー対策が学習効果が現れたようで、危うい場面は全くなかった。冨澤も戻ってきたし、次節のフロンターレ戦に向け好材料が揃いつつある。

気になるのは俊輔の状態だ。PKを決めたものの、FKとCKで一本ずつ明らかなミスキックがあり、その他つなぎでも珍しいミスがあったりして、全般にイライラしながらプレーしているような印象を受けた。体調に問題があるのであれば、思い切って藤本に任せるという選択肢も必要ではないだろうか。ミッドウィークの天皇杯も相手がJ2で好調のギラヴァンツなので、細部までしっかり対策を詰めて臨んで欲しい。

読了:
「海賊と呼ばれた男」(上)(下)(百田尚樹)

  • 一昨年の「本屋大賞」受賞作。初めて百田氏の作品を読んだ。出光興産創業者である出光佐三氏(作中では国岡鐵蔵)が如何に創業し、幾多の試練、とりわけ政官財癒着の護送船団行政やGHQからの様々な圧力、をどうやって乗り越えたかが描かれている。強大な敵に立ち向かうにあたり、金融機関や損保が果たした役割が描かれているところが珍しかった。また、子供の頃日本が世界一の大型タンカーを次々に造ることにワクワクした記憶が甦った。(評価A+)
「ブラックスワンの経営学」(井上達彦)
  • 前作「模倣の経営学」が良かったので期待したが、正直がっかりした。本書の内容は経営学における事例研究(ケーススタディ)の紹介が主だが、取り上げられたケースも簡単な要約に留まっていて中途半端だった。「世界の経営学者はいま何を考えているのか」とは比較にならない。タイトルの「ブラックスワン」は完全にミスリード。(評価B-)
"Accelerate" (John P. Kotter)
  • 企業変革に関する著作の多いKotter教授の最新作。企業が新商品開発・新市場開拓などの戦略を加速させる必要があるときには、Hierarchicalな公式の組織に加え、所謂プロジェクト型組織ではない、Network組織の活用が必要だということ、また、変革の8ステップはこうした点でも応用可能だということが事例と共に説かれている。(評価A)
「日本劣化論」(笠井潔、白井聡)
  • 今や死滅しつつある「リベラル」からの警鐘。日本人の敗戦の捉え方がアメリカに対する敗戦意識の一方で、中国・韓国には敗戦の意識がないこと、著者らの問題意識を通じてみると、蔓延する反知性主義や、安倍政権が向かおうとしている方向の問題点が一定理解できる。更に左翼の没落に関する説も興味深い。最近やたら「教養」に関する本が多いのも劣化論を通じてみると分かる気がする。(評価A)
購入:
「『バカな』と『なるほど』」(吉原英樹)、「現場力を引き出すリーダーの条件『オーケストラ』型マネジメント」(ダナ・アーディー)、「ビッグチャンス」(冨山和彦)

2014年8月9日土曜日

F.マリノスまた勝てず。

F.マリノスは前節ガンバに完敗。今節は日程的に優位なレイソル戦で2点を先制するも、CKから2失点してドロー。これで6試合勝ち星なし(サンフレッチェ戦は除くのでこの間2敗4分)という結果になった。この試合でも後半レイソルのネルシーニョ監督が次々にカードを切って流れを変えようとするのに対し、手をこまねいているうちに結局追いつかれてしまった。ラフィーニャは良かったが、いかんせん守備がこれでは・・・13位以下が勝ち点を伸ばせなかったので12位は変わらず・・・本当に上位を目指す気があるなら川又を取り、監督交代のカードを切る必要がある。

読了:
「エネルギー問題入門」(リチャード・ムラー)

  • NHK「白熱教室」シリーズでも取り上げられたUCバークレーの教授による「入門書」(原題"Energy for Future Presidents")は、マスコミで取り上げられる数々のエネルギー問題(福島原発事故やシェール・ガス、電気自動車等など)を物理学の観点から解説している。反原発論者などからは「不都合な真実」に見える部分もあるが、そうしたこと全てを理解することが”Future Presidents"には求められるのだ。その意味で本書は決して入門書とは言えない。(評価A+)
「『レジリエンス』の鍛え方」(久世浩司)
  • 近頃流行の「レジリエンス」。ビジネススクールの講義で新たな理論として聞いた記憶があるので、最初に考え方が出されたのは20年程前ではないか。本書はレジリエンスを高めるための技術7つを3つのフェーズに分けて解説している。自分が日常やっていることが、実はレジリエンス・トレーニングになっているということも認識した。(評価A)
「知の訓練」(原武史)
  • 副題にあるように日本にとっての政治の意味を説く大学講義の再録。天皇による時間の支配、各国の「首都」における広場の意味と東京の特徴、神道の宗教性、東京のアンチテーゼとしての大阪の成り立ちなど改めて言われると「なるほど!」と思うような部分が多く、知の訓練書として面白く読んだ。(評価A)
購入:
「日本の劣化」(笠井潔、白井聡)、「嫌われる勇気」(岸見一郎、古賀史健)

2014年8月2日土曜日

J1前半戦終了

先週末のグランパス戦で17節が終了。前半戦は勝ち点23で10位という成績は不満しかない。ACLを戦うというハンデはあったが、そちらも予選リーグ敗退なので、全く結果を残せなかった。再開後も先制点を許すケースが多く、一方グランパス戦のように先制しても勝ちきれなかった。補強の結果選手層が厚くなったにも関わらず、交代カードが有効に使えない。この状況が続くならエスパルスのような監督交代が必要になるのではないか。現状はそのくらいシリアスと見ている。

そんな中でのガンバ戦。パトリックと宇佐美が好調で、あっという間にF.マリノスを抜き去った。ホームでは勝てたが、もはや勝ち点3を計算できる相手ではない。リスクを取ってでも得点を取りに行くのか、守備を固めてカウンターか。いずれの場合でもラフィーニャがカギになるだろう。

読了:
「精神論抜きの保守主義」(仲正昌樹)

  • 従来から日本の「保守主義」が欧米のConservatismと全く異なることに気持ちの悪さを感じていたが、本書を読んでかなりスッキリした。著者はヒュームからハイエクまで6人の保守主義者の思想を解説し、その立場から最終章で日本の保守主義を批判的に説いている。カール・シュミットの「大地のノモス」に言及されており、大学時代に国際法の講義で悪戦苦闘しながら読んだ記憶が甦った。(評価A+)
「天下統一」(藤田達生)
  • 本書では室町幕府1573年滅亡説など従来の通説の問題点を明らかにし、信長・秀吉による天下統一を「革命」と捉えて解説している。本能寺の変を起こした光秀の動きにしても、京を追われた足利義昭が靹幕府として依然影響力を保持していたと考えるとより納得できる。ただ、こうした点を考慮しても、信長・秀吉の功績=革命は変わらない価値を持っていると思う。(評価A)
「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫)
  • 資本主義はフロンティアがあって始めて成り立つ。物理的にもバーチャルな空間にもフロンティアが消滅してきている中、資本主義は前提条件を失いその終焉を迎えつつある。著者は現在がかつえの「長い16世紀」の再来だと指摘する。ただ、資本主義終焉の後に何が来るのか、著者は答えを用意できていないし、中国を巡る分析など矛盾もあり、正直So what?だった。こちらにもカール・シュミットが登場していたのが面白かった。(評価B)
「難題解決の達人たち」(カール・オノレイ)
  • 経済・社会の難問はQuick Fixすることはできない。きちんとプロセスを踏んで根本原因をSlow Fixすることが必要だ、というのが本書の主張。トヨタのアンドン(カンバン方式)のメリットとそれを忘れたための凋落(品質の低下による大量リコール発生)が序章で触れられており印象深かった。著者の説くプロセスは極めて真っ当だが、それ故新たに学ぶところは少なかった。(評価A)
購入:
”Accelerate"(John P. Kotter)、「孫子に経営を読む」(伊丹敬之)、「ブラックスワンの経営学」(井上達彦)