2014年5月30日金曜日

壮行試合(キプロス戦)

W杯ブラジル大会に向かう日本代表の国内壮行試合は1対0の勝利だった。キプロスは思っていたよりずっと良いチームで、国内合宿明けの日本は攻めあぐねたが、見ていて負ける気はしなかった。決勝点を決めた内田だけでなく、長谷部、吉田とケガの回復状態が懸念されたレギュラー陣も45分ながらしっかり仕事をしていた。4年前は韓国に0対2で惨敗し、岡田監督解任騒動が巻き起こったので、それに比べると随分ましだ。

しかし、4年前とオーバーラップしたのが本田の調子の悪さだ。ゴールへの執着は結構だが、周りをうまく使えず、FKは明後日の方向へ飛んで行った。試合勘というならケガの3人の方がよほど問題で、本田はExcuseできないのではないか?4年前の俊輔はケガが回復しないまま現地入りし、結局レギュラーに戻ることができなかった。本田の調子はアメリカでの2試合で戻るのだろうか?ザッケローニにはContingency Planがあるとは思えないので、注目してみたい。

読了:
「悪の出世学」(中川右介)

  • ヒトラー、スターリン、毛沢東という20世紀を代表する「独裁者」はいかにして頂点に上り詰めたのか、それぞれの「戦略」を解説するというユニークな一冊。3人に共通するのはそれまでの権力の中枢にいたのではなく、異端からのし上がっていった事。一方で中途半端なエリートが如何に弱いのかが理解できる。(評価A)
「データ・アナリティクス3.0」(トーマス・H・ダベンポート)
  • 「分析力を武器とする企業」などの著者が「ビッグ・データ時代」のデータ・アナリティクスはどうあるべきか説いた一冊。ビッグデータについて単に大規模であるだけでなく、構造化されていないこと、継続的に流入すること、フォーマットが多様であること、を特徴と位置付け、企業がどのように活用すべきか、既存のデータウェアハウスとの関係なども踏まえ説明されている。(評価A)
「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」
(ジョン・ムーア)
  • スタバの強さをマーケティング(特にブランディング)、提供されるサービス、人材開発という3つの視点から解説している。現在に至るまでの失敗(チーフ・マーケティング・オフィサーが半年足らずで解任されたことなど)についても触れており、そこから何を得てきたかが説明されている。学ぶべき点が多いことを再確認した。(評価A)
「Jリーグ再建計画」(大東和美・村井満編)
  • Jリーグおよびクラブが直面している問題とそれに如何に対応してきているか、リーグ・チーム経営への批判も含め明らかにしている。前チェアマン、新チェアマンが編者となっている点で昨年の2シーズン制移行問題において明らかになった説明責任をしっかり果たしており、好感が持てた。F.マリノスの経営は各クラブの模範になって欲しいと思った。(評価A+)

2014年5月24日土曜日

リーグ戦中断期間でのチーム再建を期待する

F.マリノスは前節フロンターレ戦を3対0で快勝。胆嚢摘出手術を受ける直前だったとは思えないような動きを見せた俊輔のCKから2点。さらに齋藤のドリブルのこぼれ球を伊藤が決めた。日程に助けられた点はあるが、降格圏転落を辛うじて免れ中断に入った。7月の天皇杯初戦まで丸2か月でしっかりチームを立て直して欲しい。ここまでを振り返ると、苦戦の原因のひとつは開幕前の調整不足にあったと思われる。2月上旬の降雪で実戦での連携テストが不十分なまま開幕を迎えたのが悔やまれる。幸か不幸かW杯メンバーは齋藤のみ、しっかりチーム内の競争を行い夏場を乗り越える体力を養って残る3冠(リーグ、ナビスコ杯、天皇杯)達成を目指して欲しい。

なでしこジャパンがアジアカップ初制覇に王手をかけた。海外組の招集が思うに任せない状況で、初戦のオーストラリア戦では脆さを見せたが、徐々にチームとして纏まってきた印象を受ける。来年のカナダW杯に向け確実に戦力の底上げもできた。決勝に向けては澤が復活したのが好材料だ。大会開催中の短期間でもチーム力はあげられるという事を証明してくれるだろう。

読了:
「日本のサッカーが世界一になるための26の提言」(テレビ東京FOOT X BRAINプロジェクト編)

  • 「FOOT X BRAIN」書籍化第二弾。日本代表が強豪に勝つためには個か組織か、Jリーグが充実するためには、などタイトル通り日本サッカーが世界一になるために必要なことは何かが多面的に論じられている。毎度感じることだが、裏方の存在をクローズアップするなど、ニッポン万歳!一辺倒の他番組と一味違っているのが良い。(評価A)
「真実を見抜く分析力」(トーマス・H・ダベンポート、キム・ジノ)
  • データ分析を成果に結びつけるために必要な6つのステップ(1.問題認識、2.過去の知見のレビュー、3.モデル化(変数選択)、4.データ収集、5.データ分析、6.結果の説明と実行)の各ポイントが解説されている。結局のところ何をしたいのか、が明確でないといくらビッグデータがあっても無用の長物だという当たり前の事が確認されているともいえる。(評価A-)

「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」(カレン・フェラン)

  • コンサルタントによる懺悔の書というユニークな一冊。どんな戦略論、組織論、人材開発・管理手法も、コンサルタントに丸投げでは身につかない。結局のところ組織内のコミュニケーションを活性化するほうが有効だという日本的に見ると当たり前の結論に思えるが、うちの本社でも似たような失敗をしているので、むしろ本書の内容が「グローバル・スタンダード」なのだろう。(評価A+)
「シリアル・イノベ―ター」
  • P&Gのような組織の中でイノベーションを起こしてきた「シリアル・イノベ―ター」とはどのような人材なのか、そうした人材が力を発揮するためには組織はどうすべきなのかが説かれた一冊。「非シリコンバレー型」というサブタイトルがいかがなものかと思うが、本書を読むと特に日本企業のような大組織では何故イノベーションが生まれづらいのかが理解できる。(評価A)
「新京都学派」(柴山哲也)
  • 桑原武夫、今西錦司、上山修平、梅棹忠夫、梅原猛、鶴見俊輔といった新京都学派の人となりや研究成果が彼らと長年付き合ってきた著者の目から生き生きと描かれている。また、司馬遼太郎と彼らとのかかわりにも言及されている。本書を読むと湯川秀樹に始まり山中伸哉に至るノーベル賞受賞者を生んだ京大の気風は如何に醸成されたか、その一端を知ることができる。(評価A)
購入:
「変わった世界 変わらない日本」(野口悠紀雄)、「Jリーグ再建計画」(大東和美、村井満)、「『戦略』大全」(マックス・マキューン)、「インサイドボックス究極の創造的思考法」(ジェイコブ・ゴールデンバーグ、ドリュー・ボイド)

2014年5月17日土曜日

ザックの23人、ACL敗戦から思う事

月曜日にW杯日本代表メンバー23名が発表された。ザッケローニが選んだのは攻撃重視のメンバーでF.マリノスからはジョーカー枠?の齋藤が選出された。ケガが心配された吉田、内田、長谷部が選ばれている中で守りの人(たとえば細貝、相手セットプレー対策にもなる高さのあるFW:豊田か川又)が選ばれていないのは決勝トーナメントに残った場合に心配ではある。27日のキプロス戦でどんな形を示すのだろうか、期待したい。

ミッドウィークの試合でセレッソ、サンフレッチェ、フロンターレが揃って敗退し、ACLからJリーグ勢が姿を消した。ホームで敗れたフロンターレはアウェーでも勝ちにいかなければならなかったが、最初の失点が痛すぎた。サンフレッチェも最後ホームで与えた余計なPKが致命傷になった。結果論だが、初戦に惨敗したセレッソも含め、3チーム全てホームでの戦い方が問題だった。F.マリノスもそうだが、予選リーグ含めJリーグ勢はホームでクリーンシートをほとんど達成できていなかった。(全15試合中3試合のみ。韓国勢には全試合失点しているし、中国チーム相手で1試合完封があるだけだった。)アウェーの戦い方ではなく、ホームでいかに守るかが本当の課題ではないか?ザッケローニの23人にも通じるので、これは日本サッカー全体の問題かもしれない。

読了:
「世界でいちばん大切にしたい会社」(ジョン・マッキー、ラジェンドラ・シソーディア)

  • アメリカで成長を続けるホール・フーズ社の創業者が共著者として、コンシャス・キャピタリズムとは、コンシャス・カンパニーとはどのようなものかを説いている。興味深かったのは、前提を日本で忌み嫌われる「自由市場経済」としていること。その中で「目線や意識の高さ」をどのように保つのか考えられている。日本企業の緩さ、温さとは全く異なることをしっかり認識する必要がある。来月実際に店舗を見るのが益々楽しみになった。(評価A)
「殺人犯はそこにいる」(清水潔)
  • 群馬・栃木で起こった5件の北関東連続少女誘拐殺人事件。足利事件での冤罪がなぜ起こったのか、警察・検察が如何に組織防衛を優先しているか、その結果真犯人を捕えられずにいるかについて鋭く迫っている。著者が以前扱った「桶川ストーカー殺人事件」の頃から変わらない警察・マスコミの体質は日本の典型的な組織像もクローズアップしている。ノンフィクションの傑作である。(評価A+)
「戦略思考トレーニング3」(鈴木貴博)
  • 今回は柔軟発想力がテーマ。左脳派はどのように与えられた情報を論理的に整理し、発想に結び付ければ良いか、逆に右脳派はどうやって左脳を鍛えるか、という観点で題材が用意されている。日々のニュースからこれだけ多くのヒントが手に入ることに改めて感心した。また、日本企業にもまともな会社はまだあるのだ、と多少安心した。(評価A)
「独裁力」(木谷哲夫)
  • リーダーが結果を出すためには「権力」が必要。シンプルだが所謂「リーダーシップ論」では避けられがちなテーマに正面から迫っている。「リーダー力=コンセプト力+独裁力」という公式を証明する中で、日本企業の問題点である経営力の弱さが、リーダーの権力構造の脆弱さに起因していることが理解できる。(評価A)

2014年5月10日土曜日

W杯代表決定前最後の試合(VSサガン鳥栖)

J1でただ1チーム今週のミッドウィークに試合がなかったF.マリノスはホームに暫定首位のサガンを迎えた。これがW杯メンバー発表前最後の試合となる。

外出の関係があってWebをチェックしただけなのだが、結果は1対2の敗戦。消化試合が1試合少ないとはいえ15位に後退してしまった。次節の結果では降格圏で中断を迎えるという情けない状況に陥った。体調不良の俊輔を休ませ2トップで臨んだ前半に2失点。後半開始から俊輔を入れたが、樋口監督いわく「70%」の状況ではやはり2点のビハインドは重かった。シュート数で上回っても枠に飛ばなければ・・・終了間際に俊輔が一矢報いたのが微かな救いというのでは情けない・・・

次節は神奈川ダービー。アントラーズに大勝したフロンターレ相手では、今のF.マリノスでは実力差は明らかだ。しかし、フロンターレはミッドウィークにFCソウル戦を戦うための韓国遠征を挟むので、今節同様日程的にはF.マリノスが有利だ。実力で差があっても昨年最終節で味わった悔しさを思い出して泥臭く戦ってほしい。

読了:
「タックスヘイヴン」(橘玲)
  • スイス名門銀行のシンガポール支店から1,000億円の金が消え、日本人ファンドマネジャーが転落死。事件の背後には何が・・・マネロンなど金融の裏事情に精通した著者ならではの小説だが、一方で高校の同級生である主人公3人(慧、佑、紫帆)の「青春小説」のような趣もあり、その点でも面白く読んだ。(評価A)
「知の決断」(ジミー・カーターほか)
  • 「知の逆転」のようなインタビュー集だが、今回の対象はかつてネルソン・マンデラの呼びかけで結集した長老たち(「エルダーズ)と結成に一役買ったリチャード・ブランソンである。貧困・差別など世界の様々な問題解決に向け未だ活躍している「元」大統領たちの知恵に学ぶところは大きいと感じた。ラテン・アメリカやアフリカ出身のメンバーがいる中、日本人はおろかアジア人が入っていないのが寂しかった。(評価A)
「ほんとうの構造主義」(出口顯)
  • レヴィ・ストロース、バルト、ラカン、フーコーらの思想を分かり易く解説している。先週「現代思想のパフォーマンス」を読んでいたので、より理解できた。神話に関する理論、「代理母」を巡る問題、「絵画を読む」といったトピックスを通じてみると、哲学は決して机上だけのものではないのだと実感する。(評価A)
「問題解決」(高田貴久、岩澤智之)
  • 問題の特定を行う際に留意すべきWhere-Why-Howのフレームワークから始まって解決案の実行モニターまで、問題解決の各プロセスを一つのケースを教材に極めて丁寧に説いている。単なるノウハウ本ではない内容の濃い一冊。去年著者が所属するプレセナ・ストラテジック・パートナーズの研修で学んだことを改めて整理できた。(評価A+)
購入:
「殺人犯はそこにいる」(清水潔)、「シリアル・イノベ―ター」(アビー・グリフィン、レイモンド・L・プライス、ブルース・A・ボジャック)、「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」(ジョン・ムーア)、「悪の出世学」(中川右介)、「日本のサッカーが世界一になるための26の提言」(テレビ東京FOOT X BRAINプロジェクト編)

その他:
今週のATP1000マドリード大会の4強に残ったことで、錦織圭が遂にランキングトップ10に入った。マイケル・チャンをコーチに迎えた今季は、これまで苦手と言っていたクレーコートで快進撃を続けている。これで前回のバルセロナから連勝を続けている。準決勝に勝ち残ったのはナダルやフェレーラなどスペイン勢3人プラス錦織。腰の調子が気になるので、ここは無理せず今月末からのフレンチオープンに万全を期して欲しい。

2014年5月6日火曜日

ブラジルW杯最終メンバー予想

いよいよ12日(月)に最終メンバーが発表される。不動のレギュラー3名が負傷欠場中という事態にザックがどう対応するのかが見どころ。私のチョイスは・・・

GK: 川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
   西川周作(浦和レッズ)
   権田修一(FC東京)

DF: 今野泰幸(ガンバ大阪)
   長友佑斗(インテル)
   酒井宏樹(ハノーファー96)
   酒井高徳(VfBシュツットガルト)
   森重真人(FC東京)
   中澤佑二(横浜Fマリノス)
   塩谷司(サンフレッチェ広島)
   山下達也(セレッソ大阪)

MF: 遠藤保仁(ガンバ大阪)
   青山敏弘(サンフレッチェ広島)
   山口蛍(セレッソ大阪)
   柴崎岳(鹿島アントラーズ)
   本田圭祐(ACミラン)
   香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)
   清武弘嗣(1FCニュルンベルク)
   岡崎慎司(FSVマインツ05)
   齋藤学(横浜Fマリノス)

FW: 大迫勇也(1860ミュンヘン)
   柿谷曜一郎(セレッソ大阪)
   豊田陽平(サガン鳥栖)

内田、吉田、長谷部は厳しいけど親善試合だけでコンディションが戻せるか疑問なので落選。CBのバックアップと長谷部に代わる「ベテラン枠」でボンバーを選んだ。今野も不調だが、こちらは試合に出ているので選出。他にはJで頑張っている山下、塩谷と柴崎を選んだ。更に、3枚目のFWには高さを求めて今絶好調の豊田。ジョーカー枠は南野ではなく齋藤とした。マリノス寄りの選出は勘弁いただこう。この結果、海外組が9名まで減ったが、それでもインテル、マンU、ACミランというビッグクラブの選手が揃うというのは史上初。前回、前々回もそうだったが、W杯のメンバーを見ると日本のサッカーもここまで来たかと感慨無量だ。

実際には今日と今週末の試合が終わらないと決断できないだろう。候補選手には頑張ってアピールして欲しいが、アクシデントのないことを祈る。


購入:
「データ・アナリティクス3.0」(トーマス・H・ダベンポート)、「新京都学派」(柴山哲也)


   

2014年5月3日土曜日

久々の勝利(ガンバ戦)

ゴールデンウィーク後半スタートの3日、F.マリノスはガンバに8試合ぶりに勝利。ホームの連敗も3で止まった。

外出先から帰ってきて後半途中からTVで観戦(W杯間近ということだろうか、NHK総合TVで放映!)。前半はスコアレス。終了間際のFKがボンバーの後頭部を直撃したりして、相変わらず俊輔の調子が悪いな、と感じていたところ後半齋藤が俊輔と交代準備というレポート。ようやく手を打ったか、と見ていたまさにその時、藤田の先制ゴールが入った。それでも流れはガンバにあったが、リンスが決定的なシュートを外した直後、ボンバーがCKから得点。あとはガンバの拙攻にも助けられクリーンシートで試合を終えることができた。

アントラーズが敗れたので、首位との勝ち点差は7に縮まった。中断まであと2試合、ホームでのサガン戦およびアウェーでのフロンターレ戦と上位との対戦が続くが、ACL敗退の効果?で2試合とも相手より優位な日程となった。次戦までしっかり準備して臨んで欲しい。

読了:
「叛逆」(アントニオ・ネグり、マイケル・ハート)

  • 所謂「アラブの春」や「Occupy Wall Street(OWS)」といった運動が何故発生し何処へ向かうのか。マルティテュードの革命とはどのようなものか、目指すべき「民主主義」とは?本書はこうした疑問に対する答えが示されたレポートだ。一時期盛り上がったOWSなどもアメリカの景気回復と共に消滅してしまったかに見える。著者たちは今どう総括するのか聞いてみたい。(評価B)
「現代思想のパフォーマンス」(難波江和英、内田樹)
  • フーコー、レヴィ・ストロースやラカンという「名前だけは聞いたことがある」思想家と、ド・ソシュールなど「聞いたこともない」思想家。現代思想に影響をもたらした6人の思想家が何をどう考えたのかが、その思想を具現化しているかのような文学・映画(「不思議の国のアリス」や「エイリアン」など)と共に紹介されている。なるほどそういう事なのか、という驚きが多かった。(評価A)
購入:
「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」(カレン・フェラン)、「失敗しないとわかっていたら、どんなことをしてみたい?」(ジョン・C・マクスウェル)、「タックスヘイヴン」(橘玲)