読了:
「史論の復権」(與那覇潤 対論集)
- 日本の「中国化」というオリジナル理論を提唱する著者が政治・経済・TV・映画など様々な分野の論客と行った対談を収録した1冊。中国化という表現の持つ意味が読み進む中で理解できた。民俗学、映画史、大河ドラマ史という史論における対論の方が面白かった。(評価A)
「正義の偽装」(佐伯啓思)
- 「保守派論客」の一人である著者による批判的民主主義論。「民意」とは何か、国民主権が意味するもの、西欧と日本では国家の成り立ちが違う中で生じる矛盾、などが説かれている。石原慎太郎と三島由紀夫の思想の違いなどにも言及されている。それでも他の政治よりましだとされるのは民主主義だ、と読後改めて思う。(評価A)
「日本哲学のチカラ」(小川仁志)
- 日本哲学とは何か、という興味から読んだ。仏教と神道がどのように日本人の思想に影響したかから始まり、儒学・武士道・朱子学などが言及され、明治以降の哲学者につながる流れがよく整理されている。哲学ブームがなぜ起こっているかについても本書を読むとその一端が理解できる。(評価A)
「ハーバード戦略教室」(シンシア・モンゴメリー)
- "The Strategist"の邦訳。原書も読んだが、改めて経営における戦略がいかに重要であるか、またCEOなどトップマネジメントが「守護者」として機能することの大切さを思った。如何にうまくポジショニングしてもケイパビリティがなければ成功できないし、その逆も真。日本企業が全般的に弱い理由はStrategistの欠如と言えるのだろう。(評価A)
「経営はだれのものか」(加護野忠男)
- アメリカ流の企業統治への批判と日本的な株式持ち合いの評価を通じ、日本企業では協働する株主による統治が必要と説いている。個人的には株式持ち合いは今では欠点の方が多いと考えるし、上記のとおりStrategyが欠如している現状を変えないと意味のない提言と感じた。会社の所有者はだれであろうが、経営は経営者=Strategistのものだ。(評価B-)
購入:
「『企業変革』入門」(鈴木博毅)、「第五の権力」(エリック・シュミット、ジャレッド・コーエン)、「危機とサバイバル」(ジャック・アタリ)、「領域を超える経営学」(琴坂将広)、「グローバリゼーション・パラドクス」(ダニ・ロドリック)、「「ビジネスモデル・イノベーション」(ラリー・キーリー他)