2009年7月26日日曜日

新宿にて

 昨日新宿で久々クリスピークリームのドーナツを買った。土曜の昼ごろだったためか、混雑はなく2~3分で店内に入れた。そういえばコールドストーンアイスも同じ。これらの店が真価を示すのはブームが去ったこれからだろう。うちのように長時間並ぶのは嫌だと敬遠していた潜在顧客層はどれだけ大きいのかを見極めた戦略が必要だ。
 Sportivaで日本がW杯ベスト16に入れるかという専門家アンケートを行っているが、結果が面白い。日頃Jの解説でよく出てくる人は、希望的観測を含めYesとしているのに対し、ヨーロッパのリーグを良く解説しているメンバーは揃ってNo。世界の「フットボール」がどのように動いているかを感じる度合いがそのまま現れているようだった。そういえば俊輔もベスト4などとはしゃいでいない。話が飛躍しすぎているかもしれないが、同様のことは日本のスポーツジャーナリズム全般に言えるのではないだろうか?

読了:
「全脳思考」(神田昌典)
  • 答えのない世界で答えを出すにはどうするか。大前とは違った切り口で神田が挑んだ答えという1冊。具体的な人物を120%Happyにするということからスタートして対策を考えるというのは、最初どうかなと思ったが、戦略・打ち手を具体的にし、実効性のあるものとするには意味のある手法と評価している。イメージストリーミングやマインドマップと組み合わせることで、じっくりと戦略を練る会議で使ってみたい。(評価A-)

「超・階級」(デヴィッド・ロスコフ)
  • 「グローバル時代」のパワーエリートとはどのような人物なのか、それはどこにいるのか、どのように生まれているのかを書いた本。WEF(ダボス会議)というのが一つのキーワードになっている。著者が指摘するように、確かにWEFの出席者を見てみると、日本以外でこの会議が如何に重要視されているか良く分かる。逆にそれゆえこの本で言及されている日本人の少なさも理解できる。昨年・今年と首相が出席しているものの、存在感は圧倒的に乏しい。予算審議には全閣僚出席などという馬鹿げた国会運営をしているからだ。今後こうした本で益々無視されていくのだろうと思うと、情けない。(評価B)

「人が『やらないこと』をやる人」(ニティン・ノーリア、ジェイムス・チャンピー)(20日購入)

  • ノーリア、チャンピーというGuru2人の著作だったが、いささか期待はずれであった。ビジネスで成功するためのノウハウ集とだが、もっと対象を絞り込んで深く分析して欲しかった。(評価C)

「決断力の構造」(ノールM.ティシー、ウォレン・ベニス)

  • こちらもティシーとベニスというOBの2大Guruによる書。決断力という一点に絞って優れたビジネスリーダーはどんな準備をし、どう宣言し、問題にどう対処するかを説いている。GEとP&Gの例が多いが、著者が関与している様々な企業の例が挙げられているし、ウェルチについてさえ、問題があったことを明らかにしているところが素直に良かった。それにしても人事の決断についてこれだけページを割くというのは米国企業ならではだろう。逆に日本ではこの点が軽んじられすぎていると個人的には思う。(評価A)

「アインシュタイン・ファクター」(ウィン・ウェンガー、リチャード・ボー)

  • イメージストリーミング解説の1冊。脳の持つ潜在力を生かす手法としてのイメージストリーミングはどのように行うのか、なぜ意味があるのかなど詳しく述べられている。ドクター中松まで登場したのでちょっと驚いたが、彼のユニークな思考がどこから生まれるのか一端を垣間見た思いがした。ここまでシステマティックに行ってはいないが、自分の経験でもふとした瞬間、答えが出てくるということはある。自分の脳もすごいと思うことからスタートかも。もう少し短いと良かったのだが・・・(評価B-)

購入

「ネットワーク思考のすすめ」(西口敏宏)、「『多様な意見』はなぜ正しいのか」(スコット・ペイジ)、「不透明な時代を見抜く『統計思考力』」(神永正博)、「もっとも大切なこと」(ハイラム・スミス)

2009年7月19日日曜日

オーバーラップ

 マリノスは昨夜も最後詰め切れず引き分け。見ていて改めて気づいたのはMFに同じ役割のプレーヤーがダブっているのではないかということ。山瀬と兵藤そして(昨日は出ていないが)狩野とパスの出してとしての方が上手い選手ばかり。加えて松田もボランチの時はパスの出し手になっている。船頭多くしてという状況に思われた。BKしても同じだ。小椋、田中、小宮山・・・誰が出ても良いということは逆に本当に優れた選手ではないという裏返しだろう。
 もう一点おかしいと思うのは交代選手の出し方。坂田は良いとしても、勝ち越し点が欲しい時になぜキムや長谷川なのか?別に二人が悪い選手とは思わないが、やはり本来渡辺に代えるならFWの選手だろう。どうもマリノスは伝統的にFWが育たない!せっかく福岡で成長したマイクをあっさり鳥栖に出してしまうのだから・・・(しかも山瀬弟と二人でしっかり点を取っているではないか!)
 やはり監督交代が私的な解決法である。

読了
「海の都の物語(1~6)」(塩野七生)
  • ヴェネチアが約1,000年もの長い間共和国として生き残れたのは何故かを説いた本。通説(主にローマカトリックの視点による説)に対し、独自の視点から反論している姿は、(書かれた順序では本書の後になる)「ローマ人の物語」にも相通じる。自らの強みを活かし、イスラムとの関係でも実践的な取り組みをしてきたヴェネチアの姿は、戦後高度経済成長を遂げた日本になんとなくオーバーラップしていた。ナポレオンの攻勢に対し、ジタバタを繰り返す末期のヴェネチア政府は今の自民党そのもののように見えた。(評価A)

「『ハイパフォーマーの問題解決力』を極める」(池上孝一、小島美佳)

  • ハイパフォーマーが備える問題解決力を4つのファンダメンタルスキル(視点、目的意識、判断基準と優先順位、アスピレーション)と15のアドバンススキル(パワーバランス把握力、関係構築力、傾聴力、質問力、リサーチ力、検証力、イシュー特定力、スコープ設定力、ソリューション策定力、アクションプラン構築力、伝達者特定力、チャネル選択力、ドキュメンテーション力、プレゼンテーション力、交渉力)に分解したところがこの本の最大の特徴。アクションプランまで策定しきちんと伝達できるようにする事がソリューション策定と同じに重要であるということは、改めて部下へも徹底したい。(評価B+)

「現場の知恵が働くチームイノベーション」(源明典子)

  • スコラコンサルティングによる一連の著作同様、実際に取り組んだコンサルティング事例から「ボトムアップ」での改革手法を案内している。確かにボトムアップでの取り組み、現場の巻き込みは重要だと思うが、取り上げられていた事例の時間軸が長すぎる!3年かかってここまでかよ!と突っ込みを入れたくなるようなすすみ方だ。もっともっとスピード感のある取り組みをしないと許されない企業が圧倒的多数だろう。コンサルタントとしての軌道修正が遅いために余計な作業をさせているような点もある。そういう意味であまり参考にはならない。(評価D)

「危機の時代の『やる気』学」(金井壽宏)

  • 所謂OBについての諸理論を紹介しつつ、独自の「やる気学」を展開した一冊。野田稔氏との対談も面白かった。不思議なことではあるが、毎回金井氏の著作を読むと、何だかその日は元気になる。今回もそうだった。希望と緊張の勾玉などユニークだし分かりやすかった。リーダーとして如何に実践するかが私的課題。(評価A)

「一瞬で相手を落とす!コールドリーディング入門」(石井裕之)

  • 書店で立ち読みをしたときに目に留まったエピソード(血液型ルーズなるテクニック)が面白くて購入した本。コールドリーディングのテクニックは確かにすごいが、それよりもあとがきにあった「大切な人とのコミュニケーションが問題なら、その人に目を向けるべき」という主旨の言葉が一番良かった。相手と向き合う勇気なくしてはコミュニケーションは成立しないという事だ。(評価B+)

購入:

「新版 経営行動」(ハーバート・A・サイモン)、「決断力の構造」(ノール・M・ティシー、ウォレン・ベニス)、「大前の頭脳」(大前研一)、「徹底のリーダーシップ」(ラム・チャラン)、「マーケティング脳VSマネジメント脳」(アル・ライズ、ローラ・ライズ)、「誇りと復習(上・下)」(ジェフリー・アーチャー)、「世界は分けてもわからない」(福岡伸一)、「スモール・ジャイアンツ」(ボー・バーリンガム)、「実践 行動経済学」(リチャード・セイラー)

2009年7月12日日曜日

山形に負けるとは・・・

開幕当時、勢いのあった山形にならともかく、勝ちから見放されていたチームにプレゼントとは。今年も監督交代のカンフル剤を打つ時期かもしれない。

読了:
「1Q84」(上・下)(村上春樹)
  • 昔カフカの小説(「変身」とか)を読んでいた時のような感覚を味わったというのが正直な感想。二人の主人公のすれ違い・クロスする人生に何やら怪しげなカルト集団が絡み。そこに「傷だらけの天使」(古いなー)の岸田今日子を思わせるマダムがいたり・・・結局「リトル・ピープル」って誰?確かに面白かったが、何となくマーケティングに踊らされた感はぬぐえなかった。(評価B)

「経営思考の『補助線』」(御立尚資)

  • 経営を取り巻く潮流を捉え、どう舵をとるか。経営者の根本的な業務だと思うが、現実には時代を読む事は難しいし、そういう時にこそ、著者のようなコンサルタントの価値がある。個々のテーマはともかく、御立氏の切り口・語り口の面白さはこの種の中ではトップクラスではないか。過度の一般化は危険だと承知で、こういう「ケイパビリティ」に関してはマッキンゼーよりボストンコンサルティングに軍配が上がると素直に思う。(評価B+)

(現在「海の都の物語」仕掛中)

購入:

「全脳思考」(神田昌典)、「一瞬で相手を落とす!コールドリーディング入門」(石井裕之)

2009年7月5日日曜日

高原・柳沢・・・「元」代表

高原が2得点、柳沢が復活と昨日のJ1は「昔の名前?」が活躍していた。それで思い出したのが「元代表」という肩書き、確か欧州などではそのプレーヤーが引退して初めて「元」ということになる筈。日本は恐らく一般のスポーツジャーナリズムの問題だろうが、一度呼ばれなくなるとすぐに「元」になる。カズのように明言しているかどうかは別として、現役のプレーヤーは常に「代表」を目指すものだと思う。本人が明確に「代表からの引退」を表明した坪井や加地以外は「元代表」という肩書きは止めるべきだと思う。高原、柳沢、石川(直)などには今の代表メンバーを本当に脅かす存在になって欲しい。それがJ、代表のレベルアップになると信じる。

先週の読了:
「影響力の武器ー実践編ー」(N.J.ゴールドスタイン、S.J.マーティン、R.B.チャルディーニ)
  • 名著「影響力の武器」で示された「社会的影響力の原理に基づいた」6つのテクニック(返報性、権威、コミットメントと一貫性、希少性、好意、社会的証明)がいかに実践されているか実例を挙げた本。チャルディーニより他の2名が主として執筆しているようだ。見せ方、説明の仕方で効果が変わるということは沢山ある。マーケティングだけでなく、日頃の部下との接し方などについても意識して使ってみたいと改めて思う。(評価B+)

「ブラック・スワン」(上・下)(ナシーム・ニコラス・タレブ)

  • 正規分布をメインにする確率論の限界を説いた本。というと実も蓋もないような本だが、著者は経済学者だけでなく、数学者やら哲学者までバッサバッサと切り捨てる。毎度感じるが欧米のインテリの知識は半端じゃない。そういう意味で面白かった。ただ、内容の分かりやすさは「まぐれ」に軍配。それだけこちらの知識レベルが低かったためだろう!?(評価B-)

「パラダイムの魔力」(ジョエル・バーカー)

  • 未来を考えるために必要なパラダイムの考え方を解説した本。原書は92年、日本語訳も95年であり、これまで読んだ本で何度か紹介されていたものの、購入する機会がなかったので読まずにいた本。「ブラック・スワン」の後だったので、未来を予測することの限界を考えながら読んだ。自分としての結論は、結果が無誤謬などと考えず、常にベクトルが正しいかと自省していければ、パラダイムシフトをコントロールできるのではないかと言うこと。(評価A-)

「名著で学ぶ戦略論」(石津朋之ほか)

  • 孫子、クラウセビッツ、リデル・ハートなどの著作とその意義、他の研究書を網羅的に解説した1冊。取り上げられたのは全部で50冊だが、やはり冒頭の3人の影響力が頭抜けて大きいのが確認できた。他では毛沢東の評価が高かったのが読んでいて面白かった。(評価C)

「昭和史-戦後篇-」(半藤一利)

  • 発刊された順番ではなく、幕末史から昭和史、そして戦後篇と読んできて、現在の「みっともない」この国がいつどのように道を外したのか整理できた。本当の意味で戦後、グランドデザインなきままにGHQ=米国の言いなりで左(憲法9条)に右(自衛隊創設)へと揺れたこと、高度成長にかまけて政治特に外交をまともに考えてこなかったこと。官僚主導でそれこそ未だにパラダイムの変換ができないこと、そして何よりこの島国以外に関心を示さない飼いならされた小市民たち。これらの結果なんだろうと思う。本当に痛みを伴う改革をしなければ、GDPランクと共に沈んでしまうという危機感・閉塞感・・・何か変わるのだろうか?

購入:

「1Q84(上・下)」(村上春樹)、「超・階級」(デヴィッド・ロスコフ)、「海の都の物語(4・5・6)」(塩野七生)、「危機の時代の『やる気』学」(金井壽宏)