2011年8月27日土曜日

民主党代表選挙・・・

来週の月曜日には「次の首相」が決まる。政策論が不在、親小沢(=マニフェスト見直し拒否)と反小沢(=マニフェスト見直し)という対立軸しか見えてこない。震災後この国のグランドデザインをどうするのかが問われるべきなのに、誰からも発信されてこないと思う。このままでは、ますます世界における日本の地位が低下するばかりだ。今週読んだ「経済成長は不可能なのか」を評価するのは、4重苦(デフレ・財政赤字・円高・少子化)に対し、どのような順番で取り組むのかが整理されていることだ。新首相には是非こうした工程表を含む国家戦略を示してもらいたい。それができそうな人は誰かな?

マリノスは水曜日にも何とか勝利。俊輔の怪我という代償は痛いが、ACL圏内に戻った。今の各チームの状態を考えると現在のトップ4を脅かすチームが見えないし、マリノスは手堅く戦い続ければ結果がついてするように思えてきた。今夜はエスパルス戦だ!

ヨーロッパチャンピオンズリーグの組み合わせが決まった。32チーム中に日本人プレーヤーが5人。今年最後まで戦い続けるのは誰か?決勝に出場できる選手は現れるか?楽しみにしたい。

読了:
「逆境を生き抜くリーダーシップ」(ケン・アイバーソン)
  • ニューコア(全米屈指の鉄鋼メーカー)の伝説的な経営者のリーダーシップ論。フラットな組織・地域密着・従業員重視の姿勢といったところはかつての「良き日本企業」のイメージにオーバーラップするところもある。ただ、現在のように様々な内部コントロールを求められる中で、果たしてここまで従業員を信じる経営スタイルが可能かという点は疑問がある。(評価A)
「これからのリーダーに知っておいてほしいこと」(中村邦夫 述、松下政経塾/PHP研究所 共編)
  • パナソニックにおける松下幸之助がいかに「絶対的存在」であるかを垣間見ることができる一冊。創業者の「負の遺産」ともいうべき経営危機に敢然と立ち向かった中村氏の力量も良く分かる。「創業者と同行二人」というのは、流行の経営学用語だとリフレクションということになるのだろう。創業者だったらどうするだろう、ということを自問自答しながら道を模索したのではないだろうか。ここのところ仕事で大きな変革の必要に迫られている身として、内容とともに方法論も参考にしたい。(評価A)
「日本企業にいま大切なこと」(野中郁次郎、遠藤功)
  • 序章の「リアリズムなき日本政治は『失敗の本質』を繰り返した」という記述が一番良かった。正直本編は過去の2人の著作のポイントを、震災後の現実に即して再整理したものなので、目新しいものではなかった。帯の「『アメリカ型』はもう古い」というのは極めてミスリーディング。成功しているグローバル企業はすでに「グローバル型」の経営になっている。それをいまだに気づかずに「日本型経営」を礼賛するようなマスコミは時代遅れも甚だしい。(評価A-)
「学習する組織」(ピーター・M・センゲ)
  • 現在の経営学を語る上で不可欠な一冊。原書(初版)はFuquaの頃買ったが読了せずじまいだったので、やっと読了した喜びが大きかった。ビアゲームのくだりはただ懐かしく、また、最近の著者の思考を反映した後半は初版と趣を異にしている。うちの部門はどうすれば「学習する組織」に変えられるか?チャレンジは続く。(評価A)
「経済成長は不可能なのか」(盛山和夫)
  • 日本経済の課題を整理し、そこで語られる理論を評価、さらに上にも書いたように対応の「工程表」まで新書版に集約されている。著者の考えに100%Agreeという訳ではないが、それでも今年読んだ経済関連の本ではOne of the bestsだと思う。(評価A+)
購入:
"Good Strategy/Bad Strategy" (Richard Rumelt)、"Exit, Voice, and Loyalty" (Albert O. Hirschman)、「自分を超える法」(ピーター・セージ)

その他:
来週はW杯第三次予選や「なでしこ」のオリンピック予選が始まる。チャンピオンのプライドは持ちつつ、更なる高みを目指すという意気込みがあれば、決して難しい挑戦ではない。油断せずに戦ってもらいたい。

2011年8月21日日曜日

スーペルコパ、なでしこVSなでしこ、3試合ぶりの勝利

スーペルコパはバルサの勝利。プレシーズンの状態を考えると、ここでレアルが勝てなったということは重いのではないか?今年もかなりの確率でリーガの2試合以外にも国王杯やチャンピオンズリーグでも両雄が激突するだろうが、ここで勝てなかったレアルは余程のことがなければバルサの天下を崩せないだろう。2戦目のロスタイムにはここのところすっかりお馴染みになったレアル選手によるハードタックル→退場→乱闘がまたも繰り返された。モウリーニョの限界を見た気がする。


金曜日の「なでしこジャパン対なでしこリーグ選抜」は3月の「代表対J選抜」に並ぶ面白さだった。リーグ選抜にもかつての代表(というか去年の広州アジア大会の優勝メンバー)や今後代表を十分狙える若手がいて、女子サッカーのレベルが本当に上がっているのを実感した。現代表も、油断するとポジションを奪われかねないという緊張感があれば、浮かれ気分でオリンピック予選に臨んだりはしないだろう。

昨日のマリノスは毎度の展開、ボール支配率では圧倒してもアタッキングサードでの工夫不足でフラストレーションが溜まった。俊輔自身は久々に機能していたが、彼が一つ前になったことがまだ十分活かされていない。ただ、小野の決勝点はなかなかのものだった。川口のポジションを見て冷静にコースを狙うところが技術の高さを証明している。ついでに言うと、この試合の直後にアーセナルのベンチにいる宮市を見て、この世代が日本の中心になるのもそう遠くないと思った。

読了:
「スマート・パワー」(ジョゼフ・S・ナイ)
  • 国際政治におけるソフト・パワーの重要性が強調されているが、本書を読んでいくと、ハード・パワーを一定示せない国がいくらソフト・パワーといってもやはり相手にされないということが再認識させられる。日本については、民主党政権になって一層ハード・パワーが弱くなっていると思う。政治家には(おそらく無理だろうが)政争に明け暮れる中で日々国際政治におけるポジションを失いつつあることを自覚して欲しい。(評価A)
「現代文明論講義」(佐伯啓思)
  • 現代をニヒリズムが支配する時代と定義し、その中で正義・政治をとりまく様々な立場を学生との議論を通じ考えていく一冊。日本の大学でも「白熱教室」は可能だということもわかる。考えることの重要性を教えてくれる。(評価A)
「戦略の断層」(古我知史)
  • ケース→理論の解説という手法で、企業の成長ステージに沿って様々な戦略論・フレームワークを一通り知ることができる。ケースも日本企業が多いので、戦略の入門書としては価値が高い一冊だと思う。(評価A)
「どうする?日本企業」(三品和広)
  • 今回も「通説」にチャレンジし、日本企業の戦略に対する警鐘をならしている。利益を犠牲にした成長、雇用対策以外何物でもない多角化や、わが身(未だに非関税障壁で外資を制約していること)を忘れての新興市場進出など、通説に従っての過ちから日本企業が何を学ぶべきなのか?著者のリ・インベントは答えなのか?外資に努める身としてはお手並み拝見というところか。(評価A+)
「ジョブズ・ウェイ」(ジェイ・エリオット)
  • 元アップルのHR担当役員が近くから見たスティーブ・ジョブズの伝記であり、リーダーシップ・マネジメントスタイルの解説本といえる。細部への拘り、チーム作りの方法など参考としたい点が沢山あった。(評価A)
購入&読了
「人事部は見ている」(楠木新)
  • 日本企業における人事部の仕事がどのようなものかは分かる。ただ、正直私が日本社から離れて17年、基本的に何も変わっていないなと思う。冒頭の定期異動発表の光景など20年以上前のものかと錯覚してしまった。(評価B)
購入:
「逆境を生き抜くリーダーシップ」(ケン・アイバーソン)、「日本企業にいま大切なこと」(野中郁次郎、遠藤功)、「報道災害【原発編】」(上杉隆、烏賀陽弘道)、「経済成長は不可能なのか」(盛山和夫)

2011年8月13日土曜日

日本3:韓国0

水曜日の日韓戦は、去年のデンマーク戦とどちらが一番スッキリしたかを争う位の出来だった。少なくともレギュラー陣、とりわけ攻撃陣についてはアジア最強を証明できたと思う。香川と本田がきちんと共存できたし、清武という新兵器も発掘できた。3次予選に向けて自信になっただろう。ただ、後半遠藤が引っ込んでからはリズムが全く崩れ、韓国のコンディションが良かったら1~2点取られてもおかしくない状況だったことは忘れてはならない。遠藤に代わって試合のリズムを変えられる選手はいるのか?個人的には俊輔が代表に復帰するのがベストだと思うけど・・・(オシムは今でも「ブラジル大会の中心は俊輔と考えている」のだろうか?)

ヨーロッパからは宮市のビザ取得とセスクのバルサ移籍がセットのように伝わってきた。宮市には特例での交付が間違いではないということを証明してほしい。また、セスクの入るバルサがレアル・マドリーとどのようなストーリーを展開するか、今シーズンの新たな楽しみができた。

読了:
「事業戦略3.0」(野口吉昭 HRインスティテュート)
  • 地球環境とどう向き合うか、自社の事業を通じ社会にどんなインパクトをもたらしたいのか。本書で展開される事業生態系が意味するところだ。日本企業が違いを生むには確かにそのような視点が必要になってくるのだとは思うが、グローバルな市場を席巻するような企業が生まれ得るかは疑問だ。(評価A-)
「新・堕落論」(石原慎太郎)
  • 著者が小説家だったことを改めて認識した1冊。石原氏なりの見方から日本の将来を大いに憂いていることがビンビン伝わってきた。負担は嫌だが便益は享受したいという我儘な国民と、彼らに対して正面切って正論を吐けない政治家。省益追求に終始し、過ちを認めない官僚組織。とことん落ちないと直らないとあきらめ始める今日この頃だ。(評価A)
「HPウェイ」(デービッド・パッカード)
  • HPがどのように誕生し、HPウェイがどのように発展してきたか。創業者の一人による回想だが、自慢話に終わっていないところは流石だ。ベストビジネス書に選ばれるのは当然と思った。「イノベーションへのこだわり」、「顧客の声を聴くこと」、「人への信頼」、「目標による管理」。いずれもエクセレント・カンパニーに共通する経営手法だと思う。また、社会への貢献が既に意識されているのはアメリカだからだろう。(評価A)
「資本主義と自由」(ミルトン・フリードマン)
  • 大学生の時、「選択の自由」を読んで大いに刺激を受けた。経済危機で「市場主義」が散々叩かれた今でも、自分の考えは本書に近い。フリードマンは決して市場万能主義者ではないし、負の所得税といった社会政策の必要性はきちんと認識している。借金まみれの日本だからこそ、今一度、市場のもつ意味と政府が行うべき役割を議論すべきだ。国政選挙でそうした点(=かつて大前研一氏がA案・B案と整理したような政策論)が論点となることを期待しているのだが・・・(評価A+)
購入:
「戦略の断層」(古我知史)、「国家は破綻する」(カーメン・M・ラインハート、ケネス・S・ロゴフ)、「どうする日本企業」(三品和広)、「これからのリーダーに知っておいてほしいこと」(中村邦夫)、「ジョブズ・ウェイ」(ジェイ・エリオット、ウィリアム・L・サイモン)

その他:
取ってつけた「退陣3条件」が整う見通しで、やっと「6月初めにやめるべきだった総理」が退陣することになりそうだ。しかし政権党はもはや烏合の衆と化し、野党も弱体化。いい機会なので、ガラガラポンしたらと思うのは私だけ?

2011年8月7日日曜日

マツ、首位陥落、ブンデスリーガ開幕

NHKがニュースのトップに持ってくるほど松田直樹死去のニュースはインパクトが大きかった。マリノスの一員というだけでなく、近所のショッピングモールで見かけたことがあったことで、個人的にも重いニュースだった。冥福を祈るばかりだ。

昨夜のレイソル戦だが、仮にマツ死亡の影響がなかったとしても勝てなかったのでは、と思わせるぐらいにマリノスの出来が悪かった。レアンドロ・ドミンゲスとジョルジ・ワグネルをつかまえられず、チャブられてしまった。(ついでながら、「マツにささげるゴール」もヴィッセルの吉田に持って行かれてしまった。)これで2位(ガンバとグランパスが1試合未消化なので実質的には3位か4位)になったが、レイソルは開幕当初ほどの勢いはないので、十分逆転は可能だ。次節のヴィッセル戦までに立ち直って欲しい。

欧州トップリーグの先陣を切ってブンデスリーガが開幕した。ただ、スタメン入りしたのは香川と長谷部の二人だけ、岡崎はゴールしたが途中出場という状況で、日本人プレーヤーがピッチで鎬を削るというところまで行ってはいないのが現実だ。シーズンが佳境をむかえるまでに、他の選手がレギュラーをつかむことを期待する。

読了:
「余震 アフターショック」(ロバート・B・ライシュ)
  • 富の集中→中間層の購買力低下→景気後退という「資本主義の暴走」がこのまま続けば、アメリカが再び「孤立主義」を選択するという極端なシナリオまで想定できる、という本書で描かれた懸念は今回の米国債発行上限を巡る混乱とS&Pによる格下げで一段階大きくなったのではないか?Fuquaにいたとき、著者がゲスト・スピーカーとしてやってきて、ユーモアたっぷりの講演をしたことをまた思い出した。(評価A)
「『新しい働き方』ができる人の時代」(セス・ゴーディン)
  • これからはアーチスト、価値を生み出す人にならなければならない。という著者の主張はリチャード・フロリダ氏の「クリエイティブ・クラス」という考え方に近いと思う。そうした価値を生み出す人になるためには、やはり考え抜くことが必要だ。最終章の「頭ひとつ抜け出す人」になるためのTipsは参考になる。(評価A-)
「プロフェッショナル・リーダーの教科書」(経営者ブートキャンプ 編)
  • 自らが会社経営の経験を持つ5人がそれぞれの観点からリーダーへのアドバイスを展開している。一部は結局自慢話になっており、何かレッスンを学べるかというと怪しい。4つのジンザイ(財、在、材、罪)などは視点として面白い。(評価B)
「スペンド・シフト」(ジョン・ガーズマ、マイケル・ダントニオ)
  • 経済危機の中で人々の購買パターンが如何に変化してきているかをアメリカの実例で解説している。自分を賢くする・地域が潤うように・絆を強めるため・信頼を重視・自ら創造する、という5つのシフトは大震災後の日本にそのまま当てはまるのではないか。事業戦略を考える上で重要な示唆を与える1冊だと思う。(評価A)
「科学的とはどういう意味か」(森博嗣)
  • 「理系人間」と「文系人間」はどこで分岐するのかから始まって、考えることを放棄したともいえる多くの日本人(特にマスコミを意識しているように思われるが・・・)にさりげなく、かつ重要な警鐘をならしている。法律や経済だって論理思考・科学的思考ができなくては正しい結論を導けない。「絶対的存在」を創って思考が止まらないようにする必要性を再認識した。(評価A+)
「アウト・バーン」(深町秋生)
  • アクションについては映画「ダイ・ハード」のジョン・マクレーンのようなヒロイン、でもやることはもっと「えげつない」。裏社会に一目置かれているし、警察内部の弱みにも精通している。姫川玲子とは正反対の新ヒロイン誕生というところだ。次章ではいよいよ夫の死の真相に迫っていくのだろう。今から楽しみだ。(評価A)
購入:
「新・堕落論」(石原慎太郎)、「現代文明論講義」(佐伯啓思)、「HPウェイ」(デービッド・パッカード)、「資本主義と自由」(ミルトン・フリードマン)、「スマート・パワー」(ジョセフ・S・ナイ)

その他:
来週水曜日は韓国戦。なでしこフィーバーに男も乗れるか、第三次予選を控えて欧州組を大量召集したのだから、フォーメーションに拘るのではなく、勝負に拘って欲しい。