2015年10月10日土曜日

シリア戦勝利でも前途は「?」

W杯2次予選折り返しの「アウェー」シリア戦、日本は3対0で勝ちE組首位に出た。結果からは「快勝」ということになるのかもしれないが、前半の出来の悪さにはスコアレスドローを覚悟したほどだった。チャンスはほとんどなく、香川のFKから原口・本田がシュートを打った場面ぐらいしか可能性を感じなかった。攻め上がりの中で安易なパスミスが多く、前半終了前にはそこから逆襲をくらいあわや失点という場面もあった。ハーフタイムでのハリルホジッチの修正を評価する記事が多い中、杉山茂樹氏がサイドバックのポジションの低さ、センターバックの間隔の狭さといった問題を指摘しているのを読んで、その通りと感じた。このままでは最終予選突破は難しいと言わざるを得ない。次戦イランとの戦いでは、むしろ負けて現在の実力が浮き彫るくらいが望ましいのではないか。

読了:
「経済は『予想外のつながり』で動く」(ポール・オームロッド)

  • 合理的経済人を基礎におく経済学理論では、現在の諸問題を解決することはできない。ハーバート・サイモンに始まる限定合理性の考え方を入れることが必要だ。筆者は日本の「失われた20年」、フーリガンの行動、マンチェスター・ユナイテッドが今のようなビッグクラブになったのはなぜ、といった興味深い話題を含む様々な事例を交えて、ネットワーク理論の有効性を説いている。(評価A)

「なぜデータ主義は失敗するのか?」(クリスチャン・マスビェア、ミゲル・B・ラスムセン)

  • レゴはいかにして低迷から脱出したか、インテルやアディダスの企業戦略再構築の背後にあるものは何かといった事例を基に、こうした転換は単にデータを分析しているだけでは達成できない、というのが本書の主張だ。これらの企業が行ってきたプロセスには納得できるところが多い。ただし、タイトルは若干ミスリーディング。著者はセンスメイキングの重要性を説いているが、そのステップの中でもデータ活用は不可欠だ。(評価A)

「日本人の歴史観」(岡崎久彦、北岡伸一、坂本多加雄)

  • 黒船来航から現在に至る歴史をたどりながら、薩長史観、東京裁判史観といった偏向史観の問題点を明らかにしている。本書の基となった討論が行われたのは2002年5月だというが、所謂安全保障法案の国会審議が終わった現時点で読んでも、マスコミの偏向は今に至っても根深いものがあることを改めて理解できる。(評価A)

「『超』集中法」(野口悠紀雄)

  • 世の中には正規分布ではなく、べき乗則で動いている事例が多くあるのだということを踏まえ、2割に集中することの意義が説かれている。20対80の法則に関する書物は多いが、本書はどうやって集中すべき2割を見つけるのか、まで解説しているのが特徴。また、ロングテールやブラックスワンといった新たな考え方についてどのように捉えるべきか、決して本書の説く集中法と矛盾しないことにも触れられている点も良い。(評価A)
購入:
「スキン・コレクター」(ジェフリー・ディーヴァ―)

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