2016年1月31日日曜日

U-23 AFC選手権優勝。アジアチャンピオンとしてオリンピック出場!

塾のCMではないがYDK(やればできる子)だったのが今回のU-23代表だ。AFC選手権準決勝、アディショナルタイムの得点で見事にイラクに勝利して6大会連続のオリンピック出場を決めた。ここのところU-20ワールドカップ出場を逃し続けている日本だったので、大会前は出場権を逃すことも覚悟していた。しかしグループリーグ初戦の北朝鮮戦を勝ちきったことで流れを掴み、5戦全勝・失点2という見事な戦いを見せた。守りから入る「弱者の戦略」という面はあり、圧倒的な力の差を見せて勝つという事はできなかったかもしれないが、今回のチームには勝利という結果に拘り、チーム全員を分け隔てなく出場させるという手倉森監督のチームマネジメントがフィットしたと言えるだろう。

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決勝戦も2点を追いかける展開から逆転で勝利。アジアチャンピオンとしてオリンピックに臨むことになった。この試合も後半途中での浅野の投入が功を奏したという点で采配が的中したと言える。
本大会に向けてはオーバーエイジをどうするか、が焦点になるが、それ以外でも鎌田、関根、前田、喜田等など最終予選に選ばれなかった選手の頑張りにも期待したい。予選と本大会は全く別の戦いになる。メンバー争いを通じてこの世代の選手たちが大きく成長することを期待しよう。それが前回獲得できなかったメダルにもつながる筈だ。

読了:
「リーダー論」(高橋みなみ)

  • 20代前半で数百名の総監督を務めただけの事がある、というのが率直な印象。メンバーを理解する、ほぐして・つなぐ、導く、手本を示す、任せるという5つがリーダーの仕事とさらっと書いているが、経営学者や企業のCEOの手によるリーダー論に負けない内容だと思う。ポジションが人を作るという典型例だろう。(評価A)

「大変化 経済学が教える2020年の世界と日本」(竹中平蔵)

  • 2020年までが勝負で、そこを逃すと衰退の一途をたどるのみ。いつもながら本書を読み終えて著者の意見に自分の考えが極めて近いことを確認した。ちょうど経済再生担当大臣の交代劇が起こったところであり、日銀がマイナス金利を導入したタイミングでもある。ここ数か月のうちに日本が本当に再生できるかを決定するイベントが生じるかもしれない。著者が考える方向に進むことを期待する。(評価A+)

「イスラム化するヨーロッパ」(三井美奈)

  • 本書を読むと、パリやロンドンで事件を起こしたホームグロウン・テロリストがどのようにして生まれてきたのか、その背景にある根深い問題が理解できる。中東での取材経験が多く、最近までパリの駐在員であった著者のレポートは、ヨーロッパ各国が極めて難しい問題の舵取りを迫られているということを明らかにする。タイトルがミスリーディングなのが残念。(評価A)

「スーパーパワー」(イアン・ブレマー)

  • 「Gゼロ時代」という造語の作者である著者が、そうした新たな世界秩序の中でアメリカがどのような立ち位置を取るべきかを論じた1冊。歴代の大統領がどのような判断をしたか等にも言及し、「独立するアメリカ」、「マネーボール・アメリカ」、「必要不可欠なアメリカ」という3つのシナリオが用意され解説されたのち、著者は「独立するアメリカ」を選んだ。時期大統領がどのシナリオに立つにしてもアメリカが演じる役割はこれまでのような決定的なものにならないのは確実だ。翻って日本はどうするべきか考えなくてはならない。(評価A)


購入:「宇宙背景放射」(羽澄昌史)、「シャルリとは誰か?」(エマニュエル・トッド)、「プラグマティズム入門」(伊藤邦武)、「ものづくりの反撃」(中沢孝夫、藤本隆宏、新宅純一郎)、「戦後経済史は嘘ばかり」(高橋洋一)、「経済学の宇宙」(岩井克人)、「危機と決断」(上)(下)(ベン・バーナンキ)、「2020年 世界経済の勝者と敗者」(ポール・クルーグマン、浜田宏一)

2016年1月23日土曜日

U-23オリンピックまであと1勝!

U-23は準々決勝でイランと死闘を演じ、延長戦の末3対0で勝って準決勝に進んだ。ここのところ代表で続いた準々決勝敗退の連鎖にピリオドは打てた。おそらく準決勝の相手はイラクになるだろう。これまでこの世代が乗り越えられなかった壁に挑戦者として挑んでもらいたい。準々決勝では延長戦まで戦ったが、火曜日の準決勝まで相手より1日多く間隔があくのでマイナスにはならない。手倉森監督の采配もここまで的中しているので、是非次戦をスッキリ勝ってオリンピック6大会連続出場を決めて欲しい。

F.マリノスの新体制発表会。新助っ人の発表はなかった、というか先送りになったようだ・・・懸案の得点力アップについては発表されるまで(というか助っ人が馴染むまで)は伊藤とラフィーニャ、富樫の頑張り、そして青山学院との練習試合でハットトリックを決めた和田の大化けに期待することになる。モンバエルツ監督は母国フランスで若い世代の監督の実績を持つので、うまく若手の成長を引き出して欲しい。

Dukeがここのところ9年ぶりの3連敗と不調だ。このままではランキングも25位以下に落ちる可能性がある。次戦はNC Stateとのアウェー。まだまだ苦闘が続くのか?昨年は危機を乗り越えて全米王座まで駆け上がった。今年は厳しいが、それでもここで踏ん張ってもらいたい。

読了:
「宇宙を動かす力は何か」(松浦壮)

  • 数式を使わずに引力や相対性理論を説明するというのが本書の特徴。AKB48の総選挙という俗っぽい話題からスタートし、一歩一歩「宇宙を動かす力」に迫っていく。ただ、いまこうやって月曜日に読んだ本の記述内容を思い出すのに苦労しているので、著者の試みがどこまで成功したかは「?」だ。(評価A-)

「ロボットの脅威」(マーティン・フォード)

  • 今世紀に入って「雇用なき経済成長」というフレーズが当たり前になってきたが、本書を読むと、将来はそんな生易しいものではないと痛感した。シンギュラリティが到来するか否かに関係なく、ますます多くの仕事がロボットに置き換わり、かといって新たな雇用が生まれることもなく、却って経済が衰退する。もはやテクノロジーの発展を無邪気に喜ぶことはNGだ。(評価A+)

「企業家としての国家」(マリアナ・マッツカート)

  • 著者は国家がリスクを取って開発した技術や投資、更には産業保護の政策なしにはAppleやGoogleの成功はなかったと言う。この主張には一理あるし、こうした企業が税金という形で母国に十分な貢献にしていない、という点も理解できる。また、ベンチャー・キャピタルが近視眼的という批判も当たっていると思う。しかしながら、それでも本書は国家の役割について過大評価しているように思うし、ジョブズのような目利きができなければ、いくら国家が新技術を生み出しても日の眼を見ずに終わるのではないだろうか。(評価B)



2016年1月17日日曜日

リオ五輪予選。1位通過確定

オリンピック予選でもあるAFC U-23選手権で日本は初戦の北朝鮮に続きタイに勝利、サウジアラビア戦を残して1位通過を決めた。今回は正直オリンピック出場の可能性は50%程度と思っていたので、ここまでは事前予想以上の良い流れになっている。このチームは守備に関しては安定しているので、課題は攻撃力だった。初戦は植田の1点にとどまったが、2戦目でFWの軸で得ある鈴木武蔵と久保裕也が得点したことが大きい。スピードスターの浅野も動きは良いので、これで南野が絡めれば決勝トーナメントを盤石な体制で迎えられる。今回も鬼門は準々決勝になるだろう。ここのところの嫌なジンクスを突破して、アトランタから続くオリンピック出場を掴んで欲しい。

マリノスが始動して約1週間。藤本と矢島の移籍が決まった一方、ボンバーの契約更改や外国人助っ人の話は未だ聞こえてこない。23日の新体制発表会までには安心させてほしい。できればサプライズも・・・

読了:
「ギリシア人の物語Ⅰ民主政のはじまり」(塩野七生)

  • 「ローマ人の物語」以前のヨーロッパにおいて中心の位置づけにあったギリシア。今回本書を読んで、高校世界史で扱われているのが極めて表層的な「歴史」だという事を改めて痛感。民主政が確立する中で、名前だけは受験用に記憶していた陶片追放がどのように実践されたのか、ペルシア戦役でのマラトンの戦いやサラミス海戦がどのようなものだったのかなどが理解できた。(評価A)
「ウォール街のアルゴリズム戦争」(スコット・パタースン)
  • マイケル・ルイスの「フラッシュ・ボーイズ」で描かれた金融取引の実態。本書はここに至るまでにどのような過程を経たのか、その中での主役でありながら一般的には全く知られていないジョシュア・レヴィンやヘイム・ボディックといった面々がどのような役割を演じたのかが語られている。アルゴリズム/人工知能の今後を考えると、金融取引がどうなってしまうのだろうか、と不安になる。(評価A)

2016年1月9日土曜日

アデミウソンはガンバへ、新戦力は?契約更新は??

アデミウソンは戻ってこなかった。何と新たなレンタル先はガンバ!本人のコメントがなかなか興味深いものではあるが、いずれにしてもマリノスとの契約は延長できなかったという事だ。宇佐美・パトリックとトリオを組むことになるアデミウソンは脅威だ。ガンバは今年も優勝候補に挙がるだろう。一方、これで外国人枠が一つできたマリノスだが、11日の始動を前にするも新戦力の発表はないし、年明けの契約更新情報も4名のみ(栗原と更新できたのが何よりだが・・・)と心許ない事甚だしい。今は待つのみか・・・

読了:
「私たちはどこまで資本主義に従うのか」(ヘンリー・ミンツバーグ)

  • 経営戦略論のGuruの一人である著者による経済社会論。民間セクター(企業)・政府セクターに多元セクター(社会)が加わりバランスの取れた構造が今後の経済社会のあるべき姿であるとの主張だ。日本のように問題を政府に丸投げしがちな状況を顧みると、環境問題・格差などの問題を解決するのにコミュニティーの関与が必要という考え方には一定の理解はできる。(評価A)
「銀河系惑星学の挑戦」(松井孝典)
  • かつての地球物理学から惑星物理学への進歩にアポロ計画が大きな役割を果たしている事、冥王星の準惑星への格下げの背景、太陽系以外の惑星発見の歴史、更にはそこから見えてきたのが太陽系の特殊性であること等、面白い話が盛り沢山の一冊。こうした本を読むと、毎回様々な分野の科学がどこかで繋がっている事、また日本の科学者の貢献の大きさを思い知らされる。(評価A)
「戦略がすべて」(瀧本哲史)
  • ヒットコンテンツの仕掛け、労働市場の現状、「革新」の必要性、更にはネットやリベラルアーツ、教育や政治といった分野における「成功の方程式」を紹介することで、戦略的思考がなければ勝者になれない事が説かれている。題材の選び方からして戦略的な一冊。特に政治を社会を動かすゲームとして捉えるというのは面白い発想だ。(評価A)


2016年1月3日日曜日

2016年スタート

今年は「区切りの年」とする。年末にそう決めて年明けを迎えた。元日はガンバの天皇杯連覇をチェック、2日は箱根駅伝往路を気にしつつ日枝神社へ初詣へ出かけ、帰りは武蔵小杉に途中下車し、モールを見て回った。そして3日はワークアウト初めと我ながらなかなか充実した三が日だ。

F.マリノスは年末に2選手獲得を発表。奈良輪の想定外?の移籍で手薄になったサイドバックに金井が復帰。またヴェルディから昨シーズン松本山雅でプレーした前田直輝を獲得、アデミウソン・齋藤の去就が「?」の攻撃陣に刺激を与える存在になってくれそうだ。それにしてもレンタル期限を過ぎたアデミウソンはどうなるのだろう?残留という予想もあるようなので発表が待ち遠しい。

DukeバスケットボールはACC開幕戦アウェーのBoston College戦を81対64で勝利。幸先良いと言えそうだ。4月のReunionの時にはバスケットボールチームメンバーと交流する機会があるようなので、ACC・NCAAでの好結果を楽しみにしている。


購入:
「リーダー論」(高橋みなみ)、「地球の履歴書」(大河内直彦)、「イスラム化するヨーロッパ」(三井美奈)、「大変化 経済学が教える2020年の日本と世界」(竹中平蔵)、「宇宙を動かす力は何か」(松浦壮)

2015年12月29日火曜日

投稿No.400!

気づいたら400本目の投稿ということだった。これが今年最後になるので、いろいろ纏めてみたい。

まず、DukeのFootballから。7勝5敗でレギュラーシーズンを終え、ヤンキースタジアムで行われたPinstripe Bowlでインディアナ大と対戦。延長戦の末44対41で勝利!これが何と1961年以来54年ぶりのボウルゲーム勝利ということだ。最後のインディアナのフィールドゴールが微妙な判定といううのもあり、歴史に残る試合となったのではないだろうか。

Dukeバスケットボールはユタ大に敗れ、久々にAPランキングのトップ10から脱落した。敗戦後初戦のElonには圧勝したが、4年生アミール・ジェファーソンの欠場が響いているようだ。若いチームがどれだけ頑張れるか・・・年明けからはいよいよACCリーグ戦開始だ。

次はF.マリノス。年末になって奈良輪のベルマーレ移籍が発表されてビックリした。天野(貴)と比嘉の契約が解除になった上に奈良輪までいなくなり、補強ポイントが増えてしまった!他のニュースは社長交代で、仕事納めまで獲得の情報もアデミウソンとのレンタル契約の結末も報じられていない。動いてはいるのだろうから、年明けに吉報が届くことを期待する他ない。

澤穂希が引退した。しかも、最後に皇后杯タイトルを自らの決勝点で引き寄せるという凄い事をやってのけた。流石というべきだろう。彼女の引退と聞いてボンバーと俊輔の引退がちょっと現実感を増した。特に春先にNHKの番組で対談した俊輔がどう感じたのか聞いてみたい。

読了:
「フォーカス」(ダニエル・ゴールマン)

  • 「EQ」の著者の最新作。最近の研究を基に集中力・注意力について解説しているが、そこから始まり、自らを知り・他者を知り・大きな文脈を読むことの重要性、更にはリーダーとして必要な集中力についても触れられている。事例のいくつかは他の書籍にオーバーラップするものではあるが、後半(Part 6および7)は示唆に富んでいる。(評価A)

「IoTは日本企業への警告である」(齋藤ウィリアム浩幸)

  • IoTはもはや必ずやってくる未来だ。来たるべきSmartな社会に向けて、「自動運転は普及するのか?」といった愚問を投げかけたり、リスクばかりを過大に取り上げるようなこれまでと同じ対応をしていては日本企業はサバイブできない。果たして何人の経営者が著者のこの警告をキチンと受け止められるだろうか?(評価A+)

「21世紀の不平等」(アンソニー・B・アトキンソン)

  • 「トマ・ピケティの師」という触れ込みの著者が、経済的不平等がどのように拡大してきたかを解説、また、イギリスにフォーカスされてはいるが、不平等を緩和するための施策を様々提案している。ピケティのグローバル課税に比べると、はるかに実現性が高く、また財源的な裏打ちについても試算されている点でも実践的だ。経済格差は欧米に比べ小さい日本だが、いくつかの施策は検討に値するものと思う。(評価A)

購入:「スーパーパワー」(イアン・ブレマー)、「ロボットの脅威」(マーティン・フォード)、「ウォール街のアルゴリズム戦争」(スコット・パタースン)、「企業家としての国家」(マリアナ・マッツカート)

今年読んだのは合計160冊。例年より科学に関する本、歴史に関する本を意識して読んだ1年だった。

映画。今週「クリード チャンプを継ぐ男」を見て今年は合計16本。スターウォーズ・ターミネーター・ジュラシックパークといったヒット作の続編に加え、奥さんがヒアリング・マラソンをやっている関係で、毎月のテキストで取り上げられた作品5本を見たので、近年にない鑑賞本数になった。

来年も読書・映画に加えマリノスとDukeを追いかける日々となりそうだ・・・


2015年12月20日日曜日

MもNもいなかったけど、バルサは強かった(CWC準決勝 広州恒大戦)&スターウォーズエピソード7

どうもメッシとは相性が悪いようだ。9年前はケガでそもそも来日できず、今回は急病で試合直前に欠場となってしまった。大混雑の菊名駅で何気なくスマホでニュースを見たときは一瞬「帰っちゃおうかな」と思った。結局MSNがSだけになってしまったが、それでもバルサはバルサ。やっぱり見たかいがあった。
 ボール支配率75%というスタッツが示すように一方的な試合だったが、バルサは守備の意識が強いチームだと思った。パス回しも無理すべきでないところはピケとマスチェラーノまで戻し展開し直すし、たまにカウンターをくらうと一斉に戻って火を消す。ただ、セットプレーに弱点があるのではと感じたのが前半終了間際、GKのブラボが片手でセーブしたシーンだ。
 攻撃では勿論スアレスの決定力は言うまでもないが、イニエスタとラキティッチが素晴らしかった。1点目はラキティッチのシュートをGKが弾いたところを押し込んだものだし、2点目はスアレスの動きを正確に読んだイニエスタのパス(こういうのをキラーパスというのだろう)がすごかった。最後のPKは「あれ??とっちゃった!!」という判定ではあったが、GKの予測が当たったにも関わらず防げないキックの速さに脱帽。その他にもジョルディ・アルバのありえないスピードなど生ならではの迫力があった。(ちなみにキクマリで見たF.マリノスユース和田の得点がスアレスの2点目にそっくりだった。)
 広州恒大はパウリーニョらブラジル人助っ人に助けられACLを取ったが、結局何もできなかった。サンフレッチェだったら?やはり結果は同じだったろう。残念ながらアジアは世界トップクラスのチームとまだまだ実力差が大きいのを再認識した。

「スターウォーズ エピソード7 フォースの覚醒」を見た。毎度おなじみのA long time ago, in a galaxy far, far awayで始まるオープニングから全く飽きることなく一気に突っ走った感じだ。ストーリーに共通した「親子」というテーマは今回も意外な形で繋がっていて、随所に過去のシリーズを連想させる場面があったり、エピソード6からの30年に何が起こったのかを感じ取れるセリフがあったりとまさに「待ったかいがあった」内容になっている。ラストは次作がどのようなものになるか暗示されており、また楽しみだ。

読了:
「ハイデガー哲学入門『存在と時間』を読む」(仲正昌樹)

  • 20世紀最大の哲学者という評価がある一方、ナチスに加担していたことで批判されるハイデガー、その著作である「存在と時間」とはどのような内容なのか。存在するとはどのようなことなのか、デカルトへの批判、から始まり死、良心、時間と解説が進むが、正直消化不良のまま終わった。解説書にしてこの難解さ。恐るべき一冊。(評価B)

「日本の論点2016-17」(大前研一)

  • プレジデント誌連載記事をテーマ別に再集録した日本の論点も3冊目。IS、TPP、大阪都構想住民投票などこの1年余りの時事問題を大前氏はどう読み解いているか。改めて読み直すと、日本に決定的に欠けているのが大戦略というか国家のグランドデザインであるということを毎度の事ながら認識させられる。(評価A)

「ソーシャル物理学」(アレックス・ペントランド)

  • サブタイトルにある「良いアイデアはいかに広がるか」という点で、「職場の人間科学」と似ているなと思ったが、やはり著者同志が繋がっていた。本書の著者ペントランド氏が先駆者ということのようだ。内容は所謂集団の知恵に関するものということで特段の目新しさはなかったが、それよりも「パンくず」のようなデータの蓄積および解析に意味を見出すという研究方法がユニークだった。(評価A)

「輪廻する宇宙」(横山順一)
「宇宙の始まり、そして終わり」(小松英一郎、川端裕人)

  • 2冊とも宇宙がどのように始まったのか、インフレーション理論を中心において解説、更にダークマターやダークエネルギーに関する研究の最先端を紹介している。また、後者は更にこの先宇宙がどうなっていくのかについても触れられている。2冊を比較すると、正直なところ後者の方が読んでいて面白かった。一人が世界最先端の宇宙物理研究施設で活躍している学者で、その対話を通じて小説家が筆を進めるというタッグが上手くいっている為だろう。今後10年以内に更なる発見が予想されるという話を読んでワクワクしてきた。(評価:前者B、後者A)
購入:
「ギリシア人の物語Ⅰ」(塩野七生)、「戦略がすべて」(瀧本哲史)、「銀河系惑星学の挑戦」(松井孝典)